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トライSTG Research Memo(5):17/2期通期は増収減益と期初予想を据え置く


■今後の見通し

(1) 2017年2月期の業績見通し

トライステージ<2178>の2017年2月期の連結業績は売上高が前期比9.0%増の40,478百万円、営業利益が同34.8%減の585百万円、経常利益が同40.8%減の526百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同78.3%減の103百万円と期初計画を据え置いている。上期を上方修正したにも関わらず通期業績見通しを据え置いた理由は、下期の顧客の出稿意欲が不確定なこと、中長期的な成長に向けての投資を下期に積極的に投下する可能性があること、上期に予定していた人員増に伴う人件費や採用費等の下期ズレ込み(約80百万円)などが挙げられる。

このうち、顧客の出稿意欲については9月も旺盛で、需要に対する放送枠の仕入れが7割強程度とタイトな状況が続いている。このため、今後市場環境に大きな変化がなければ通期業績も会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。

(2)セグメント別の見通しと施策について

a)ダイレクトマーケティング支援事業
ダイレクトマーケティング支援事業の売上高は前期比10.0%増の31,129百万円を見込んでいる。第2四半期までに計画を13億円強上回って推移しており、下期も市場環境に変化がなければ計画を上回って推移する可能性が高い。各事業の取り組みについては以下のとおり。

○テレビ事業
テレビ事業については2016年3月より社長が営業部門を管掌し、営業体制の強化を図っている。具体的には、営業部門を再編成し顧客のフォロー体制を見直したほか、社長自らがスモールミーティング形式で全社員に対して営業マインドや将来ビジョンなどを伝達し、会社としての営業方針の浸透を図った。また、社長自ら顧客への訪問も行うなど積極的な営業活動も実施している。

一方、収益性の安定化・向上施策としては、ここ数年、放送枠ごとの販売実績に基づいた効果指標をデータベース化し、放送枠の適正な仕入販売価格の設定や顧客ごとに最適なメディア枠の振り分けを自動で行えるシステムづくりを行ってきた。従来は、月間に仕入れる約3万枠の放送枠に対して、社員が手作業で顧客に振り分けしてきたが、これをシステム化することで仕入販売価格の安定化並びに、生産性の向上が期待される。システム化については上期でほぼ50%まで達成できており、今期中にすべてシステム化される見通しとなっている。また、今後も放送枠の割振りを迅速化するなど精度向上のためのシステム開発を継続し、収益性の向上を目指していく考えだ。

○WEB事業
WEB事業では、ロックオン<3690>と共同開発し、2016年9月にサービス提供を開始したリアルタイム広告効果測定ツール「TVエビス」が注目される。テレビ通販番組を視聴した消費者がWEB経由で商品を購入する行動の可視化を実現したサービスとなる。従来もオフラインアトリビューションとして過去の実績を分析したサービスは行っていたが、リアルタイムでその効果を可視化し分析できるようになったことで、顧客に対しての訴求力向上につながるサービスとして期待される。

同サービスの仕組みは、同社が放送したテレビ通販番組の地域や時間などのデータベースと、放送後4時間以内に発生した当該商品のWEBサイトへのアクセス記録を連携することで、WEBでの商品注文におけるテレビ通販番組の効果を測定するものとなっている。

ここ数年は、EC市場の拡大により企業の広告費用の配分がテレビからWEBに流れる傾向が続いてきたが、同社の調べではテレビを視聴してWEBで注文する消費者層が一定割合存在しており、広告費用の配分が最適化されていない(テレビ媒体の過小評価)との認識を持っている。実際、既存顧客でトライアル的にテレビとWEB広告の費用配分を効果測定後に見直した結果、従来よりも20?30%の販売増につながったという結果も出ている。

「TVエビス」については10月より本格的に販売キャンペーンを開始している。月額利用料は20?40万円と同社収益に与える影響は軽微なものの、同サービスを活用することでテレビ通販番組の媒体価値が再評価される可能性が高く、テレビ事業の売上増につながるものと期待される。また、同時に顧客に対してはテレビ番組と連動した効果的なWEB広告の提案も行っていく予定で、WEB広告の売上増も今後期待される。

○海外事業
海外事業については前期から東南アジアでの投資を活発化している。上期にASEAN最大手のテレビ通販会社であるタイのTV Directの株式を15%取得し、役員を1名派遣して持分適用法関連会社としたほか、9月にはシンガポールのテレビ通販会社、JMLの株式を75%取得し、子会社化した。また、インドネシアのMERDISについても8月に追加出資(出資比率26.0%→37.3%)をしたのに続き、12月には既存株主から株式を取得し、出資比率で74.0%となり子会社することを予定している。同社が中期経営計画で設定している海外事業の投資枠40億円に対して投資実績が着実に積みあがっていると見られる。

連結業績への影響としては第3四半期より、JML が加わるほか、第4四半期より持分法適用関連会社であったMERDISが子会社対象となることで、売上高から加算されることを見込んでいる。また、TV Directは持分法適用関連会社として下期から寄与する格好となる。JMLについては2015年12月期の売上規模が約9億円なので、当下半期にはその半分程度が売上に寄与する見通しだ。損益面については若干の黒字になっているとみられる。また、MERDISについては第4四半期から子会社化する予定となっている。売上規模は2015年12月期で458百万円となっているが、連結ベースでは700~800百万円程度と見られ、今期はその4分の1程度が加算される可能性がある。また、利益面では単独ベースでは黒字となっているものの、連結ではのれん償却の影響で若干の赤字となっているが、影響は軽微と見られる。また、持分法適用関連会社になる予定のTV Directについては、2015年12月期に一時的に赤字となったものの、2016年度上半期の業績は復調しており、税引後利益で約2億円の黒字となっていることから、今期は持分法投資利益の計上が見込まれる。また、TV Directについては現在、同社が筆頭株主となっている。

以上から、今期の海外事業の売上高は子会社化の時期がやや後ずれしたこともあり、期初計画の1,164百万円を下回る可能性がある。しかし、2018年2月期以降はこれら子会社の業績が年間でフルに寄与することや、日本から各国へ商品販売の拡大が期待できることから、売上高の成長が見込まれる。

b)ダイレクトメール発送代行事業
ダイレクトメール発送代行事業の売上高は前期比5.8%減の8,319百万円を計画していたが、前述したように上期の売上高が計画を上回って好調に推移したことから、通期でも計画を上回ることが予想される。特に、トライステージとの営業連携による受注成約案件が上期から少しずつ増え始めるなど、シナジー効果がようやく顕在化しつつあり、今後の一段の収益拡大が期待される。

課題は収益性の向上が挙げられるが、引き続き直販比率の向上や企画・印刷工程など川上分野まで取引内容を広げていくことで付加価値の向上に取り組んでいく考えだ。特に、売上高の大半を占める販売代理店経由の売上総利益率は2%程度の低水準にとどまるが、直接取引では10%程度の利益率が見込めるだけに、直販比率上昇による収益性の改善効果は大きい。

c)その他事業
その他事業の売上高は1,030百万円を見込んでいる。上期の進捗率が51.2%に達していることや、下期は上期に出店した3店舗がフルに売上に寄与することから、売上高は若干の上乗せが見込まれる。今後はリピート客を増やす取り組みを進めていく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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