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2122 インタースペース

東証S
955円
前日比
-35
-3.54%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.9 1.06 3.14
時価総額 66.5億円
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決算発表予定日

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Iスペース Research Memo(4):広告規制の影響等によりインターネット広告事業が2ケタ減益に


■インタースペース<2122>の業績動向

2. 事業セグメント別の動向
(1) インターネット広告事業
インターネット広告事業の売上高は前期比0.8%増の27,315百万円、営業利益は同29.6%減の676百万円となり、3期ぶりの減益に転じた。前述したように第3四半期以降、大手メディアで一部の商材(eコマースのコスメ、サプリメント及び金融商品)の広告規制を実施したことにより、同メディアを通じて獲得していた成果報酬案件が第4四半期にかけて急失速したことが主因となっている。第4四半期だけで見た売上高は前年同期比13.0%減の6,462百万円、営業利益は同88.4%減の28百万円となっている。

売上高の内訳を見ると、アフィリエイト広告が前期比1.7%増の22,439百万円、SFAが同6.7%減の3,519百万円、その他(ネイティブ広告、その他広告商材)が同9.0%増の1,356百万円となった。アフィリエイト広告におけるカテゴリー別売上高の前期比増減率を見ると、金融・保険が8%増、eコマースが2%増、サービスが3%増と主力カテゴリーが増収を維持した一方で、エンターテイメントが同48%減、その他が同16%減とそれぞれ縮小した。

第4四半期だけで見ると、アフィリエイト広告の売上高は前年同期比で10.8%減となっており、カテゴリー別では前年同期に大幅伸長を見せたeコマースが同18%減と落ち込んだことが減収要因となっている。また、金融・保険については同1%増と増収を維持しているものの、前四半期比で見ると16%減と落ち込んだ。

SFAについてはスマートフォン向けセキュリティ商品を扱う「NWノートンストア」の販売件数が堅調だったものの、従来の商品が契約時の一括売上計上方式だったのに対して、同商品は月額売上計上方式のため、見かけ上の売上高としては減収要因となっている。ただ、同商品はストック型収益として積み上がっていくため、今後は安定収益源につながる商品として期待される。その他については「X-lift」によるネイティブ広告の販売が大幅伸長した。大手メディアを中心に配信在庫の確保に努めたことや取扱広告案件数を増やしたことが増収要因となっている。ただ、配信枠の仕入原価が高く収益性に関してはまだ厳しい状況が続いており、今後の課題となっている。

なお、海外事業についてはアフィリエイトサービスを展開するタイ、ベトナム、インドネシア合計で売上高が約2.5億円と前期比2倍強の伸びとなった。このうち、タイとベトナムで黒字化を達成している。タイについては金融関連、ベトナムについては旅行関連やeコマース関連の商材が好調に推移している。また、インドネシアについてはLINEポイントが好調なものの、収益化までには至っておらず、今後テコ入れしていく予定になっている。

その他、新たな取り組みとして台湾やベトナム向け越境ECのコンサルティングサービス(メディア運用やアフィリエイト広告の配信等)も開始し、順調に伸びている。特に、台湾向けに関しては2018年2月にプログラム数で10件(健康食品等)であったが、同年9月時点では40件まで拡大している。また、2017年9月期に業務提携を発表した米CJ Affiliate,LLC(以下、CJ)※との連携も順調に進んでおり、東南アジアでの展開だけでなく国内においてもCJの顧客の取り扱いが増加している。売上規模としては月間10百万円程度まで拡大していると見られる。

※アフィリエイトサービス企業の大手。売上高は同社の10倍程度の規模があると見られる。


(2) メディア運営事業
メディア運営事業の売上高は前期比39.3%増の925百万円、営業利益は同9.6%増の122百万円となった。売上高の内訳を見ると、メディア広告売上については4MEEEを第2四半期より子会社化したこともあり前期比73.5%増の510百万円に、コンテンツ売上については同10.7%増の404百万円となった。

メディア広告のうち主力の「ママスタジアム」については、月間UU数が2018年9月期第4四半期に1,042万人(前年同期は830万人)まで拡大するなど媒体価値の向上が続いており、また、「4MEEE」「4yuuu!」を中心としたその他媒体についても月間UUが着実に増加し、タイアップ広告やネットワーク広告の増加につながった。

一方、ネイティブアプリ等を提供するコンテンツ事業は、第4四半期にアップストアの規制が強化されたことで※、予定していた新規タイトルのリリースできずにやや伸び悩んだが、通期で見れば女性向け恋愛カジュアルアプリが欧州を中心に海外で伸長し、2ケタ増収となった。

※欧州で2018年5月に施行されたGDPR(一般データ保護規則)に伴い、アップストアではレギュレーションを変更し、同一会社で類似アプリの登録審査が厳しくなった。


利益率が低下しているのは、相対的に利益率の低いタイアップ広告の構成比が上昇したことや、4MEEEにおいて一部案件の売上が期ズレしたこと、メディアの認知度向上を目的に「4MEEE」の雑誌を発売するなどプロモーションを強化したことなどが要因となっている。


無借金経営で財務の健全性は高いが、収益性の回復が課題に
3. 財務状況と経営指標
2018年9月期末の総資産は前期末比30百万円減少の8,826百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が101百万円、売掛金が139百万円それぞれ減少した。固定資産では本社の改装に伴い有形固定資産が14百万円増加したほか、X-liftの開発に伴いソフトウェアが45百万円増加した。

負債合計は前期末比439百万円減少の4,188百万円となった。インターネット広告売上の2018年9月期第4四半期売上が減少したことに伴い買掛金が251百万円減少したほか、利益減に伴い未払法人税等が225百万円減少した。純資産合計は同408百万円増加の4,638百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益510百万円の計上と、配当金の支出94百万円による。

経営指標を見ると、純資産が増加したことに伴い自己資本比率が前期末の47.7%から52.5%に上昇した。無借金経営で現金及び預金の残高も40億円超と潤沢にあることから、財務の健全性は高いと判断される。一方、収益性については前述したようにインターネット広告事業が期後半にかけて失速したことから、売上高営業利益率は前期比1.1ポイント低下し、また、ROAやROEについてもそれぞれ低下した。2019年9月期についても業績は減収減益となる見通しで、収益性についても引き続き低下する見込みとなっており、今後の経営課題となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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