四電工 Research Memo(4):2025年3月期中間期は工事が順調に進捗したほか、工事採算性も向上
■四電工<1939>の業績動向
1. 2025年3月期中間期連結業績の概要
2025年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比20.9%増の49,618百万円、営業利益が同51.3%増の4,545百万円、経常利益が同47.2%増の4,768百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同28.4%増の2,745百万円と大幅増収増益となり、中間期として過去最高業績となった。電気・計装工事を中心に大型工事が順調に進捗したことに加え、資機材の安定調達や徹底した原価管理などによる工事採算性の向上などが寄与した。なお受注高は同3.7%減の52,138百万円と、前期の大型案件受注の反動で小幅に減少したが、中間期としては過去2番目の水準となった。
売上高の内訳は、完成工事高が前年同期比22.7%増の46,951百万円、その他の事業売上高が同2.8%減の2,666百万円となった。全社の売上総利益は同22.7%増加し、売上総利益率は同0.3ポイント上昇して18.9%(うち完成工事総利益率は同0.3ポイント上昇して17.8%)となった。販管費は同4.3%増加したが、販管費比率は同1.5ポイント低下して9.8%となった。この結果、営業利益率は同1.9ポイント上昇して9.2%となった。
2. セグメント別・工事種類別・得意先別の動向
報告セグメント別(セグメント間内部取引消去等調整前)では、設備工事業は売上高が前年同期比22.5%増の46,984百万円で営業利益が同62.1%増の3,704百万円、リース事業は売上高が同9.2%減の1,405百万円で営業利益が同6.2%増の137百万円、太陽光発電事業は売上高が同3.9%増の1,261百万円で営業利益が同19.8%増の599百万円、その他は売上高が同5.5%増の617百万円で営業利益が同17.6%増の107百万円となった。主力の設備工事業は電気・計装工事における大型案件が寄与して大幅増収増益となり、営業利益率は資機材の安定調達や徹底した原価管理などが寄与して同1.9ポイント上昇した。リース事業、太陽光発電事業、その他もおおむね堅調に推移した。
工事種類別の売上高(単体ベース)は、配電工事が前年同期比8.0%増の17,264百万円、送電・土木工事が同18.4%減の2,004百万円、電気・計装工事が同82.6%増の16,362百万円、空調・管工事が同30.3%増の5,526百万円、情報通信工事が同50.0%増の1,960百万円、兼業事業が同12.5%増の654百万円、合計が同30.5%増の43,772百万円となった。送電・土木工事が減収となったものの、配電工事が順調に拡大した。四国エリアにおける大型案件工事の進捗が順調だった。電気・計装工事のほか、空調・管工事、情報通信工事が大幅増収となった。得意先別の売上高(単体ベース)は、四国電力グループ向けが同5.5%増の19,553百万円、官公庁が同18.3%増の3,359百万円、一般民間が同71.4%増の20,859百万円となった。一般民間は大型案件が寄与して大幅伸長した。また四国電力グループ向けが堅調に推移し、官公庁も伸長した。なお2025年3月期中間期末時点の繰越工事残高(単体ベース)は同7.3%減の56,661百万円となった。大型案件の順調な進捗により減少したが、引き続き高水準を維持している。
2025年3月期中間期の主な完成物件としては、済生会西条病院本館改築及び既存改修工事(電気・空調・管工事、愛媛県)、赤坂グリーンクロス新築工事(電気工事、東京都)、アキュラホーム本社屋新築工事(空調・管工事、埼玉県)、琴平グランドホテル ペットホテル増築及び紅梅亭改修工事(電気・空調・管工事、香川県)、阿波銀行鴨島センター 太陽光設備設置工事(電気工事、徳島県)、坂出バイオマス線新設 管路工事(送電・土木工事、香川県)などがある。
自己資本比率が上昇し、財務健全性が高まる
3. 財務の状況
財務面では、2025年3月期中間期末の資産合計は前期末比11,359百万円減少して91,845百万円となった。受取手形・完成工事未収入金等が1,037百万円増加した一方で、現金及び預金が2,455百万円減少、関係会社預け金が10,300百万円減少、投資有価証券が505百万円減少した。
負債合計は前期末比12,463百万円減少して28,945百万円となった。未成工事受入金が502百万円増加した一方で、支払手形・工事未払金等が4,412百万円減少、未払金が4,854百万円、未払法人税等が658百万円減少した。有利子負債残高(長短借入金、社債)は824百万減少して6,227百万円となった。
純資産合計は前期末比1,104百万円増加して62,900百万円となった。主に利益剰余金が1,485百万円増加、その他有価証券評価差額金が336百万円減少した。流動資産及び流動負債は大幅に変動したが、これは手形による支払いを廃止して現金による支払いに方針変更した結果、変更前に振り出した手形等の支払いと変更に伴う現金振込の増加分が同時期に発生したためである。この結果、自己資本比率は8.6ポイント上昇して68.4%となった。キャッシュ・フローの状況にも特に懸念される点が見当たらないことを勘案すれば、同社の財務の健全性は高まっていると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
《HN》
提供:フィスコ