オーケーエム:環境規制対応バルブのトップメーカー、株価に割安感も強い
オーケーエム<6229>は製品開発やカスタマイズを強みとするバルブメーカー。販売代理店を通じ、国内外の幅広い業界にバルブを提供している。バルブは流体を「流す」「止める」「絞る (調節する)」ための機器で、時代のニーズに合わせて進化し、さまざまな用途で使用されてきた。流体が通る空間の開閉や流体の制御・調整などができる可動機構を持つ機器(弁)が「バルブ」と総称され、工場やビル、車、船、宇宙ロケットなど幅広い分野で活躍している。同社は、コンパクトで汎用性の高いバタフライバルブを主力製品とし、流体や制御条件に合わせて最適なバルブを提案している。同社の強みは約20種類の型式に加え、サイズ、部品、材質などの組み合わせで10万種類以上のカスタマイズに対応できる点で、これにより顧客の多様なニーズに応えている。過去には製紙用バルブの特許取得を契機に製紙業界でその名を知られる存在となった。また、国内ビル空調システムで90%以上のシェアを誇る山武ハネウエル(現・アズビル)と技術提携し、建築空調設備に進出。造船業界でも国内主要造船所の70%以上に製品を納入している。近年では、世界No.1の舶用エンジンライセンサーであるMAN社と共同で環境規制対応バルブを開発。船舶排ガス用バルブとして世界シェア約40%、日本シェア90%超を実現している。また、水素、アンモニア、LNGなど次世代燃料に対応する製品開発にも注力。いち早く市場のトレンドを捉え、独創的な技術を活用して、さまざまな業界の顧客に高付加価値のカスタマイズバルブを提供する企業である。
2025年3月期の中間期決算は、売上高の累計で前年同期比13.8%増の5,060百万円、営業利益で同65.5%増の476百万円と大幅増収増益を達成した。売上高は上期として過去最高を達成し、得意とするカスタマイズ製品の納入が1Qに集中したことで利益率が大幅に高まった。海外売上高比率は前年同期比1.3pt増の19.6%。中国では経済に先行き懸念がある一方で、半導体工場の水処理向けの需要が旺盛であり、大幅増収を達成している。受注高は前年同期比8.5%増の5,345百万円、舶用を中心に堅調に推移し、高水準を維持。売上高、営業利益ともに期初の上期予想を下回ったものの、上期に計上予定だった案件の一部が下期にずれ込んだことが要因であり、通期予想に対する進捗は順調との認識が示されている。通期予想は売上高で前期同期比7.0%増の10,150百万円、営業利益で同17.5%増の785百万円が見込まれている。
世界の環境規制対応船の建造増加に伴い、今後も売上は拡大していく見込みである状況下、足もとでは2031年3月期に連結売上高20,000百万円を目指す中長期ビジョン「Create 200」を推進中である。前期実績で5.4%であったROEも、安定して8%以上の達成を目指す。IRも積極化しており、PBRは0.57倍、PER9.8倍、配当利回り3.29%と割安感のある株価には注目が集まる局面であろう。
《NH》
提供:フィスコ