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佐藤正和氏【荒れ模様の東京市場、年末に向けてのシナリオは】(2) <相場観特集>


―政局流動化と為替市場もハイボラティリティで思惑錯綜―

 週明け18日の東京株式市場では、前週末の米国株市場がハイテク株中心に大幅下落となったことを受け、日経平均株価も大きく売り先行でスタートしたが、その後は押し目買いや買い戻しで下げ渋る動きをみせた。しかし、方向感は定まらず乱高下を繰り返した。日経平均は前週は週間で800円以上も水準を切り下げた。今週も不透明材料が多いなか上値の重さが意識されやすいところだ。外国為替市場もドル円相場が乱高下しており、相場の不安定要因となっている。今回は、株式市場の展望と個別銘柄について雨宮総研代表の雨宮京子氏に、また為替動向については外為オンラインの佐藤正和氏にそれぞれ意見を聞いた。

●「1ドル=157円のドル高も、トランプ次期政権の動向注視」

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

 足もとのドル高・円安の基調は続くとみている。先週末15日は、トランプトレードの巻き戻しでドル安方向に振れたが、基本的な基調は崩れていない。今後、1ヵ月程度の相場では、1ドル=157円00銭近辺までのドル高もあり得るとみている。下値は152円00銭前後だろう。

 米国の経済指標は予想以上に堅調で、懸念されていた労働市場も底堅くなってきた。今後の米雇用統計や消費者物価指数(CPI)を確かめる必要はあるが、12月17~18日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利下げの見送りもあり得るとみている。市場では0.25%利下げが有力視されているが、もし利下げが見送られた場合、ドル高・円安が進むことも考えられる。

 来年1月のトランプ次期政権の発足に向けた動向は要注目で、実際に大幅な関税引き上げや減税に踏み切るかが気になる。ただ、大統領に加え上下両院も共和党が制する「トリプルレッド」が実現したことから、公約実現に伴う米国債の増発とそれによるインフレ再燃は警戒せざるを得ないだろう。財務長官に誰が指名されるかも注目され、次期トランプ政権の発足に向けてボラティリティの大きな相場も予想される。日本も12月の日銀金融政策決定会合に向けて、追加利上げが行われるかが注目される。追加利上げはないとみているが、日銀の金融政策は円安がどこまで進行するかにも左右されそうだ。

 ユーロは、軟調な値動きを予想する。今後1ヵ月程度のレンジは、対ドルでは1ユーロ=1.02~1.08ドル、対円では1ユーロ=158円00~166円00銭前後を予想する。基調はいずれもユーロ安だろう。基軸国であるドイツの経済状況は厳しく、ショルツ政権への退陣圧力が高まっている。欧州への影響が大きいウクライナ情勢も不透明感が強まっている。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(さとう・まさかず)
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。

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