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【緊急インタビュー】与党過半割れでどうなる日本株 三菱UFJアセットマネジメント・石金淳氏 <相場観特集>


―衆院選後の「ブラックマンデー」回避も、政治情勢の不安定化で強まる慎重姿勢―

 10月27日投開票の衆院選で自民・公明の与党が議席数の過半数を確保できず、大敗を喫した。石破茂首相は28日の記者会見で続投する意向を表明したが、党内融和や今後の政権運営面で取り組むべき課題は山積している。週明け28日の東京市場では売り方の買い戻しが入りショック安は回避されたものの、政治の安定という株高の前提の一つが失われた事実は重い。今後の相場展望について、マーケット関係者に緊急インタビューを行った。

●「閣外協力の方向性注視、財政拡張シナリオも」

石金淳氏(三菱UFJアセットマネジメント チーフファンドマネジャー)

 衆院選の結果は日本株にとって、懸念されるほど大きな影響はもたらさないだろう。2009年の政権交代時の自民党のほうがもっと負け方はひどかった。今回は大敗したといっても第1党は維持している。加えて、政策がバラバラである野党同士が連立を組むシナリオは描きにくい。野党の国民民主党が与党の連立の枠組みに入るのは一筋縄ではいかないとみているが、政策面での閣外協力は十分あり得るだろう。自民党としては連立の維持が早急の課題である以上、党内で内輪揉めをしている場合ではなく、石破首相による政権運営が続くこととなるに違いない。そもそも09年の衆院選ではリーマン・ショックの後の日本経済の低迷がクローズアップされた。今回は物価が上がったとはいえ賃上げも進み、当時と比べて深刻度合いが大きく異なる。

 一方、米大統領選では民主党候補のハリス氏と共和党候補のトランプ氏のどちらが次期大統領となっても、財政拡張路線となる公算が大きく、米国景気の腰折れリスクは低い。日本国内においても減税を訴える国民民主党が議席数を増やす形となっており、閣外協力の枠組みなどを通じ、財政拡張の方向に進むことも見込まれる。国内景気にとって悪い話ではなく、日本株の下値を支えそうだ。短期的には政治情勢の不透明感から国内の債券利回りが上がりにくい状況が続く可能性があるものの、財政拡張となればいずれ金利に上昇圧力が掛かってくるに違いない。更に、経常収支が黒字で、日銀による金融政策の正常化に向けた流れに変化がないとなれば、1ドル=160円を上回って一段と円安が進むシナリオは見込みにくい。

 日本株は需給面での「しこり」が存在することもあって右肩上がりというわけにはいかず、日経平均株価が3万7000円から4万円のレンジを上抜けるには時間が掛かりそうだ。セクターに関しては、半導体株はAIに関連する銘柄とそうでない銘柄とでパフォーマンスに差が出ている。調整が進んだ半導体関連株については、押し目買いスタンスでいいのではないか。また、地政学リスクの高まりが警戒される環境下において、防衛関連株は引き続き強い動きとなると想定される。

(聞き手・長田善行)

<プロフィール>(いしがね・きよし)
1988年慶応義塾大学卒業、ユニバーサル証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)入社。2000年にパートナーズ投信(現三菱UFJアセットマネジメント)転籍。16年12月より現職。

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