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田部井美彦氏【日米ともに政治の正念場、ここは買いか売りか】(2) <相場観特集>


―3万9000円近辺で右往左往、視界不良の東京市場―

 21日の東京株式市場は、朝方は売りが優勢で日経平均株価は下値を試したが、その後はプラス圏に切り返すなど頑強な値動きをみせた。しかし、上値の重さも相変わらずで3万9000円近辺のもみ合いに終始し、結局マイナス圏で引けている。27日に衆議院総選挙、そして11月5日には米大統領選を控え、日米株式市場も思惑が錯綜する局面。国内政局など不透明感は強いものの、東京市場は出遅れ感が強いだけに買い向かう好機にも見える。ここはどういうスタンスで臨むべきか、経験豊富なマーケット関係者2人に意見を聞いた。

●「日米選挙を経て日経平均4万1000円も」

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

 当面は日本と米国の政治動向が相場を左右しそうだ。日本では27日に総選挙の投開票が行われるが、基本的には自民党・公明党の与党が過半数を維持するとみている。もし、与党が過半数割れとなっても、国民民主党あるいは日本維新の会などを取り込むことで自民党が政権を維持する展開が見込まれる。選挙で苦戦しても政権が維持されれば、金融所得課税などは後回しとなり、市場に優しい政策が打たれることが期待できる。

 また、11月5日の米大統領選に関しては、共和党候補のトランプ氏が勝利することを予想している。同氏が勝利すれば、減税のほか関税引き上げなど「米国第一主義」に向けた政策が打たれる見通しだ。トランプ氏の勝利を株式市場は前向きに受け止めるだろう。もし、民主党候補のハリス氏が勝利した場合は市場への影響は「中立」だとみている。

 こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均株価の予想レンジは3万8000~4万1000円前後を見込んでいる。足もとでは不透明感は強いが、相場は上昇基調が期待できると思う。ただし、総選挙で自民党が大敗した場合は3万5000円前後までの下落もあり得るとみている。

 個別銘柄では、生成AIに絡む半導体関連株でディスコ <6146> [東証P]や信越化学工業 <4063> [東証P]には上昇余地があるとみている。また、今後一段の成長が期待されるアニメやキャラクターの輸出関連でソニーグループ <6758> [東証P]やサンリオ <8136> [東証P]。電力不足が懸念視されるなか、電力関連設備投資に絡む住友電気工業 <5802> [東証P]やSWCC <5805> [東証P]。それに、防衛関連で三菱重工業 <7011> [東証P]などに注目している。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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