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6310 井関農機

東証P
943円
前日比
-7
-0.74%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.31 3.18 7.04
時価総額 217億円
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井関農 Research Memo(3):2025年に創立100年を迎える農業機械総合専業メーカー(2)


■井関農機<6310>の会社概要

2. 事業内容
(1) 整地用機械
整地用機械カテゴリーでは、農業において作付け前の整地に使用するトラクタ、耕うん機、防除などに使用される乗用管理機などを扱っている。特に欧米においては景観整備業者、ホビー農家や一般消費者向けに土木作業用トラクタ・景観整備用トラクタ・乗用芝刈機などの販売が好調に推移している。2024年12月期第2四半期の全社売上高に占める割合は39.7%と最大で、海外売上高においては整地用機械が65.6%を占めている。

トラクタカテゴリーにおけるフラッグシップモデルは「T.Japan(TJ)」シリーズで、65~130馬力のレンジに「TJV5シリーズ」「TJX3シリーズ」「TJW3シリーズ」と3つのシリーズをラインナップしている。どのシリーズも「高精度・高能率・高耐久」を実現していることに加え、ICTも導入されている点が特徴だ。例えば、「TJV5シリーズ」と「TJW3シリーズ」は農機に搭載したGPSアンテナ及び通信端末を用いて農機の情報を収集できることに加え、盗難抑止機能や稼働情報管理ツールが装備されている。また、「TJX3シリーズ」においても、ICTの活用により「作業管理サポート」と「機械管理サポート」を提供するAGRI-SUPPORTを農機に導入できる。2023年6月にはボリュームゾーンである中型クラスの新型トラクタ「BFシリーズ」の発売を開始した。大型クラスのみならず中型クラスにおいてもニーズの高い直進アシストやマップデータとの連動に対応しているほか、無段階変速機構や座り心地の良いサスペンションシートの搭載、シートベルト・リマインダの採用など居住性・操作性・安全性を追求した製品設計となっている。顧客からの評価も高く、新規契約も順調に獲得している状況であることから、今後の業績拡大への寄与が期待される新商品である。さらに、2024年5月には、120馬力クラスで国内初の有人監視型ロボットトラクタとなる「TJW1233-R」の発売を開始した。GPSの位置情報に複数の補正情報を組み合わせることで有人監視下での高度な自動走行を可能にしており、形が不整形な圃場での作業も行える。そのほか、自動走行終了時に指定した位置に自動で戻るHome位置誘導機能なども有している。これらのICTを活用した農機を市場に投入することにより、農作業の効率化、省力化に大きく貢献している。

(2) 収穫調製用機械
収穫調製用機械カテゴリーでは、穀物の刈り取りと脱穀を合わせて行うコンバイン・ハーベスタ、収穫した籾を乾燥させる乾燥機、籾すり機、野菜収穫機などを扱っている。2024年12月期第2四半期の全社売上高に占める割合は5.1%となっている。また、海外においては0.5%の売上を占めている。

同カテゴリーにおけるフラッグシップモデルはコンバインの「HJ」シリーズだ。トラクタと同じく「高精度・高能率・高耐久」を実現していることはもちろんのこと、最新のICTにより効率的な作業管理と機械管理を可能にするAGRI-SUPPORTを標準装備している。タイプによっては、遠隔監視による農機の盗難抑止、稼働情報の管理サービスを提供する「ISEKIリモート」も装備している。さらに、2022年12月には、農機の自動操舵に対するニーズの高まりに応え、直進アシストシステムを新たに搭載した新商品「HJ6130-Z」を発売開始した。直進アシストシステムの導入により、作業者の疲労を軽減し、より快適な農作業環境の実現を可能にしている。コンバインカテゴリーに直進アシスト機能を搭載した製品が誕生したことにより、田植機・トラクタ・コンバインの主要製品カテゴリーにおいて直進アシストモデルのラインナップが揃った格好だ。また、2024年3月には、4条刈りコンバインHFRシリーズの低価格モデルとして「HFR4042/4050」の発売を開始した。同社コンバインの高い基本性能は維持しつつも、機能を厳選することによりシンプルかつ低価格を実現したモデルだ。農業に必要な生産資材の価格が高騰するなか、同農機に対するニーズが好調に推移することが想定される。

(3) 栽培用機械
栽培用機械カテゴリーでは、水田に苗を移植する際に使用する田植機や野菜移植機などの製品を扱っている。2024年12月期第2四半期の全社売上高に占める同カテゴリーの割合は5.9%と整地用機械、作業機・補修用部品・修理収入、その他農業関連に次ぐ売上である。

同カテゴリーにおけるフラッグシップモデルは、「さなえPRJ8」と「同ロボット田植機」だ。「高精度・高能率・高耐久」に加えて、「さなえPRJ8」にはGPS技術を用いた操舵アシストシステム「ISEKI直進&旋回アシストシステム」が搭載されている。また、「さなえPRJ8ロボット田植機」は有人監視下でリモコン操作による無人作業を可能にする機能を備えている。

2021年12月期、田植機のラインナップにJapanシリーズが追加されたことにより、トラクタ、コンバイン、田植機の主力製品カテゴリーすべてでJapanを冠した製品が揃った。これらはすべて大型農機に分類される。今後農地の大規模化が進むなかでJapanシリーズの販売を伸ばし、農業の効率化、省力化に貢献していくことが期待される。また、2023年12月期上期には、大型の10条田植機「さなえPJ10」を新たに市場投入した。特徴の1つは、機体設計を基本から見直し、エンジンを前方に配置していることだ。エンジンを前方に配置することで湿田での走破性が向上し、圃場条件の過酷な海外市場での今後の展開も期待できる商品である。

(4) 作業機・補修用部品・修理収入
作業機とは農機本体につける作業器具のことで、耕耘作業の際に使用するロータリなどが該当する。そのほか、修理に関しては販売した農機の故障対応や故障の発生を防ぐためのメンテナンス修理などの対応を全国の整備拠点で行っている。2024年12月期第2四半期の全社売上高に占める同カテゴリーの割合は39.7%と、整地用機械に次ぐ売上規模を誇っている。万全なメンテナンス修理を行い故障の発生を防ぐことによって顧客からの信頼を獲得できること、天候不順など外部環境に左右されることなく安定した収益をあげられることなどの理由から、近時、修理・メンテナンスなど付帯サービスにも注力し売上を増加させている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《HN》

 提供:フィスコ

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