為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、米利下げぺース減速の思惑残る
【今週の概況】
■米インフレ緩和ぺース減速でリスク回避のドル売り縮小
今週のドル・円はやや強含み。米国のインフレ緩和ペースの減速などを意識してリスク回避的な米ドル売り・円買いは縮小し、米ドル・円は149円台半ばまで買われる場面があった。週前半は中東地域における地政学的リスクの高まりや中国経済の減速を警戒して米ドル売り・円買いがやや優勢となったが、ハリス米副大統領は10月10日、「パレスチナ自治区ガザとレバノンでの戦闘で長く緊張状態にある中東地域には緊張緩和が必要」との見解を示したことを受けてリスク回避の米ドル売りは縮小。同日発表された9月米消費者物価コア指数(CPI)は前月比+0.2%、前年比+3.3%と市場予想を上回ったことからドル買い材料となり、米ドル・円は149円台半ばまで上昇した。
11日のニューヨーク外為市場でドル・円は149円28銭まで反発した。この日発表された9月米生産者物価コア指数(PPI)は市場予想を上回り、インフレ緩和のペースは減速していないとの見方が広がった。米長期金利は上昇し、リスク選好的な米ドル買い・円売りがやや優勢となった。米ドル・円は149円16銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:147円35銭-149円55銭。
【来週の見通し】
■ドルは底堅い値動きか、米利下げぺース減速の思惑残る
来週のドル・円は底堅い値動きか。中東情勢の不透明感でリスクオフのムードが広がり、安全通貨とされる円が選好されやすい。ただ、米金融緩和は想定ほど進まないとの見方から、ドルは売りづらい。また、日本のインフレ鈍化予想や解散・総選挙を控え日本銀行による追加利上げは遅れる見通しであることから、中東地域における地政学的リスクを意識した円買いは多少弱まることも予想される。
一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、複数の政策メンバーが大幅利下げに慎重だったことが明らかになった。連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースは想定より緩慢との見方から、ドル買いに振れやすい。10月10日の米9月消費者物価指数(CPI)はやや強い内容となり、利下げペースを緩やかにする要因に。直近発表の米雇用関連指標の改善を意識して米国経済のソフトランディングを期待したドル買いも入りやすい。
【米・9月小売売上高】(17日発表予定)
10月17日発表の9月小売売上高は前月比+0.2%と、8月実績の+0.1%から改善すれば米国経済のソフトランディング期待のドル買いにつながる。
【日・9月消費者物価指数(CPI)コア指数】(10月18日)
10月18日発表の日本の9月消費者物価指数(CPI)コア指数は前年比+2.3%と、8月実績+2.8%を下回る見込み。そのため、市場予想と一致しても日本銀行による追加利上げを見込んだ円買いは後退する可能性がある。
ドル・円の予想レンジ:147円50銭-151円50銭
《FA》
提供:フィスコ