貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価15分ディレイ → リアルタイムに変更

3082 きちりホールディングス

東証S
909円
前日比
+1
+0.11%
PTS
908.8円
14:55 11/14
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
22.9 5.80 0.83 4.28
時価総額 103億円
比較される銘柄
一家HD, 
ヴィアHD, 
テンアライド

銘柄ニュース

戻る
 

きちりHD Research Memo(3):業態開発力と人材採用・育成力、ITを店舗運営に積極的に生かす先進性が強み


■きちりホールディングス<3082>の事業概要

2. 同社の強み
同社の強みとして、立地条件に合わせて収益性の高い業態を開発する企画開発力を持つことと、人材の採用力・育成力に優れていることに加えて、先進的なITシステムを店舗運営に積極的に活用する先進性を持っている点が挙げられる。

(1) 業態開発力
同社は主力の「KICHIRI」を2002年に出店以降、現在までブランド・コンテンツ活用型店舗も含めて30以上の業態を開発している。出店エリアは都市型からモール・郊外型へと展開し、業態も居酒屋からレストラン、カフェ、テイクアウト、グローサラント※と幅広い。店舗コンセプトについても非日常型から日常型と多彩な業態開発を行っていることが特徴である。

※ グロッサリーとレストランを合わせた造語で、主にスーパーで売られている食材を調理して、その場で食べられる飲食業態のこと。

商業施設内に出店するレストラン業態では「いしがまやハンバーグ」や「VEGEGO」、ダイニングバー業態では「ajito」「igu&Peace」、グローサラント業態では「Merca」など収益性の高い業態開発に相次いで成功してきた。コロナ禍以降も2021年7月に本厚木駅直結の商業施設内にフードホール「FLDK(エフ・エル・ディー・ケー)」や焼肉業態でロードサイド型店舗となる「肉の満牛萬」をオープンしたほか、直近では2023年4月に非連結子会社の(株)レストランXがテイクアウト・デリバリー専門店「客席のないレストラン」(東京・初台)をオープンするなど、新規業態の開発に積極的に取り組んでいる。社内で業態開発を行う人材が育ってきたことが、多彩な業態開発を可能にしているものと思われる。

とりわけ、「いしがまやハンバーグ」や「VEGEGO」については、商業施設内に出店している飲食店舗のなかでも坪当たり月商が常時、上位にランキングされる人気店となっている※。デベロッパーからの評価も高く、新規施設の開発の際には声が掛かるほどの信用が得られている。

※ 坪当たり月商で見ると、商業施設店舗の平均に対して「いしがまやハンバーグ」が1.57倍、「VEGEGO」が1.24倍の実績を挙げている。

(2) 人材採用力と育成力
同社の強みの1つとして人材採用力と育成力が挙げられる。新人社員の多くは当初、店舗に配属されるため、1店舗当たり新人社員1人の配属で、アルバイト数名分を賄うことが可能となる。飲食業界ではアルバイトの減少によってホールスタッフの人材不足が慢性化しており、サービス品質が低下している店舗も多いが、同社においては新卒社員で賄うことで一定水準以上のサービス品質を維持しており、他社との差別化につながっている。

同業他社と比較して同社が順調に新入社員を採用できている理由としては、独自の教育制度やキャリアプランに加えて、飲食事業だけでなくPFS事業等の多彩な事業ポートフォリオを展開していることも要因と考えられる。また、アルバイトスタッフ(パートナー)に対しても、学生を対象とした「就職支援制度」や退職者に対する「パートナー卒業式」を毎年開催するなど、自由闊達な雰囲気と同時に、関わる人すべてを大切にする「おもてなし」スピリットが浸透している企業として学生に認知されていることも一因と考えられる。また、ここ数年は外国人の採用も進めており、正社員の2割強を占めるまでになっている。

人材育成力に関しては、「きちりMBA」制度や「立候補制度」など同社独自の制度を導入している。「きちりMBA」の講師は社内スタッフで構成されており、全従業員がオンラインでも受講できる。「理念研修」から「ビジネススキル」「おもてなし」といった日々の現場で必要となるスキルを身に付けることができるほか、「マネジメント」や「リーダーシップ」など幹部候補生向けのプログラムも用意されており、社員一人ひとりのスキルアップが図られている。

(3) ITの導入を積極推進
同社は2016年以降、ITベンチャー企業等との戦略的業務提携を積極的に進めてきたほか、2018年以降は子会社のApplyNowで開発されたDXサービスも取り入れている。そのほか、具体的な取り組みとしては、2016年3月にiPadを活用したSaaS型POSレジシステム「ユビレジ」を展開する(株)ユビレジと資本業務提携を行い、「ユビレジ」をサービスメニューに加えたほか、同年9月にはFinTechベンチャーの(株)BEARTAIL(現 (株)TOKIUM)と業務提携を発表。BEARTAILが提供する「RECEIPT POST(現 TOKIUM経費精算)」※の導入・提供を開始した。

※ スマートフォンで領収書を撮影し、スマートフォンアプリまたはWebブラウザからアップロードするだけでデータ化され、入力オペレータが同データの入力代行を行うサービス。従来と比べて経費精算にかかる手間が大幅に削減できるといったメリットがある。

2018年7月には動画プラットフォーム事業を手掛けるピーシーフェーズ(株)と資本業務提携を締結し、動画コンテンツを用いたクラウド人材育成サービス「shouin(しょういん)」の共同開発及び販売を行うことを発表したほか、2019年11月には従業員のクラウドシフト管理サービス「らくしふ」を提供する(株)クロスビットと業務提携し、「らくしふ」の開発・販売で協力することになった。

2020年10月に次世代植物肉「ミラクルミート」を開発するDAIZ(株)と資本業務提携契約を締結し、「ミラクルミート」を使った商品メニューの開発・販売に取り組んでいる。具体的には、「客席のないレストラン」で提供するメニューの食材として採り入れ、マーケティングに活用している。将来的には「いしがまやハンバーグ」などの肉料理専門店で提供する考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均