丸運 Research Memo(9):株主還元の方針を大転換し2025年3月期は連続増配へ
■資本コストや株価を意識した経営を実現
1. ROEは5.5%以上にすることを目指す
長期ビジョンを実現するために、営業強化分野の事業基盤を強化するとともに、次期成長分野の事業を拡大していくことが企業価値向上のために重要と考え、丸運<9067>では、2030年に経常利益20億円の目標を立てた。これを踏まえ、ROEを2030年までのできるだけ早い段階に資本コストを安定的に上回る5.5%以上にすることを目指している。
具体的な施策として、収益力の向上を図るとともに株主還元の強化とIR活動の充実を掲げた。IR活動では、株主、投資家との対話を大切にし、サスティナビリティレポート、株主通信、ホームページなどによりIR関連情報の発信に取り組んでいく。
2. 株主還元の基本方針を見直す、2025年3月期は連続増配に
同社は、利益還元を経営の最重要事項の1つと位置付けたうえで、財務体質の強化と事業展開に必要な内部留保の充実を図りつつ、安定した配当を実施することを基本方針としてきたが、これを見直した。今後は連結配当性向50%以上を目途に配当を実施する。2023年3月期は年間8.0円の配当(配当性向73.1%)を実施し、2024年3月期は9.0円に増配(同62.4%)したが、2025年3月期は10.0円(同50.7%)へ連続増配を見込む。
なお、新しい方針では安定的な配当の継続にも配慮し、単年度8.0円を配当の下限としている。これまで同社は年8.0円の安定配当を続けていたが、株主還元に関して大きな方針転換を行ったことは注目であろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
《EY》
提供:フィスコ