貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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6702 富士通

東証P
2,807.0円
前日比
-53.0
-1.85%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
24.0 2.93 1.00 3.49
時価総額 58,136億円
比較される銘柄
NEC, 
日立, 
パナHD

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本格起動する「量子コンピューター関連株」、新技術の進展で再脚光 <株探トップ特集>


―見えてきた次のステージ、創薬、エネルギー、金融などの領域でかつてない革新へ―

 まるで古代の航海士が新大陸を見つけた時の衝撃、そんな歴史的な発見や偉大な気づきが次々と生まれる未来が迫っている。次世代コンピューティング分野で、その導き手となるのがまさに「量子コンピューター」である。現在普及しているスーパーコンピューターでさえ何年もかかるような複雑で膨大な計算を、ほんのわずかな時間で完了するというのは驚異を通り越して神秘的といってもよい。足もとでさまざまな技術開発が進んでいることも明らかとなっており、株式市場でも投資テーマとして注目度が一段と高まっている状況だ。量子コンピューター関連の銘柄群を改めてマークしたい。

●日本がゲームチェンジャーとなる可能性

 実用化に向けて大きな動きを見せている量子コンピューター。これまで未来の技術として語られることが多かったが、その進展はまさに革命的といえる。直近の動きで注目すべきは、大阪大学と富士通 <6702> [東証P]が共同発表した「STARアーキテクチャ」だ。無敵のイメージがある量子コンピューターも、実は計算中にエラーが発生しやすいという課題を抱えていることは大前提として認識しておくべきポイントである。この課題を克服するためには、100万量子ビットが必要と言われていた。しかし、大阪大学と富士通が共同発表した新しい量子計算方式は、従来想定よりも大幅に少ない6万量子ビットで、従来コンピューターで約5年かかる計算をわずか10時間で完了させることが可能という。

 更に、この量子コンピューターの実用化競争には、東京大学発のスタートアップOptQC(オプトキューシー)も参戦。2026年度中に光量子コンピューターを商用化すると発表(25年度中に1号機をつくる予定)したばかりだ。光を使った量子コンピューターは、動作環境の安定感のほか、拡張能力、エネルギー効率にも優れており、開発が順調に進めば、日本がゲームチェンジャーとなる可能性も大いにある。

●人類の幸福に貢献する革新の源泉に

 量子コンピューターに関する領域では更に刮目すべきニュースが続いている。日立製作所 <6501> [東証P]は6月に、量子コンピューターにおける心臓と称される「量子ビット」の寿命を、従来より100倍以上延ばす技術を開発したことを発表。日立が開発しているのはシリコン量子コンピューターだが、この技術開発は量子ビットの大規模集積化に向けた大きな一歩となるものだ。また、理化学研究所は量子コンピューターの計算能力を最大100倍に引き上げる技術について発表した。端的に成果を説明すれば、前述した通りエラーを防止するには100万量子ビット必要なはずが、1万程度の量子ビットがあれば「誤り耐性型」と呼ばれる量子コンピューターを実現させる可能性が生まれたということになる。

 量子コンピューターは、創薬、エネルギー、金融などさまざまな産業や領域でかつてない革新をもたらすことが期待されている。特に、材料開発やエネルギー効率の向上は、地球環境の課題解決にもつながっていく。現在の技術では不可能だった新薬発見、複雑な分子構造の解析が加速すれば人類の幸福・発展に大いに貢献することは想像に難くない。日本の企業や大学が次々と技術開発で成果を上げている事実は、今後の展開への期待感を一段と大きく膨らませている。

●FスターズやエヌエフHDなどが代表的

 「量子コンピューター」関連の銘柄に光を当てた場合、中核となるのは、富士通、日立、NEC <6701> [東証P]、三菱電機 <6503> [東証P]など大手電機メーカーや、NTT <9432> [東証P]などの大手通信会社がまず挙げられる。

 一方、材料性のある中小型株としては、21年から量子アニーリングクラウドFixstars Amplifyにおいて、量子アニーリングと相互運用できるGPUベースの高性能な計算基盤を提供するフィックスターズ <3687> [東証P]のほか、量子アニーリング方式コンピューターシステムにおいて、量子ビットを制御するための信号源「マルチチャネル低雑音任意波形発生システム」を手掛けるエヌエフホールディングス <6864> [東証S]。また、テラスカイ <3915> [東証P]は、子会社のQuemix(キューミックス)が量子コンピューターの研究開発を行っている。これらは既に関連有力銘柄としてマーケットで認知されている。今回のトップ特集では、そのほかのカギを握る企業を取り上げた。

●量子コンピューター分野で注目したい6銘柄

◆伊藤忠商事 <8001> [東証P]~昨年完全子会社化した伊藤忠テクノソリューションズでは、量子コンピューティングの活用に向けたサービス「CUVIC for Quantum」を提供している。このほか、アプリケーション、クラウド型プラットフォーム、マネージドサービス、人材教育サービスなどを支援する。

◆SCREENホールディングス <7735> [東証P]~半導体・フラットパネルディスプレー製造装置の製造・販売を手掛ける。同社は23年12月、東北大学発スタートアップのシグマアイと資本提携した。シグマアイは量子アニーリング技術を有しており、24年7月には新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「量子・古典ハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業」の実施予定先として採択された。

◆味の素 <2802> [東証P]~総合食品大手であるが、高機能CPUのスタンダードになった「層間絶縁材料 味の素ビルドアップフィルム(ABF)」を手掛けている。ICT領域の事業戦略として、アミノサイエンスをベースに、ABFを中心としたテクノロジーにより、量子コンピューティングなど先端ITモダリティーの実装と未来社会への貢献を目指している。

◆人・夢・技術グループ <9248> [東証P]~総合建設コンサルタントの長大が前身である。同社では量子コンピューターをはじめとした量子技術を活用し、未来に向けた社会課題解決の実現を目指す「クオンタムシティ構想」に取り組んでいる。データセンター事業、AI・量子分野の教育・人材育成サービスに取り組んでおり、24年5月には「NexTech Week2024」の「AI・人工知能EXPO」と「量子コンピューティングEXPO」の2つのEXPOにブース出展した。

◆BIPROGY <8056> [東証P]~システムインテグレーター準大手。同社と大日本印刷 <7912> [東証P]は、NEDOが公募した「量子・AIハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業」に採択されている。採択されたテーマでは、量子インスパイアード技術を含む量子アニーリングと、古典AI技術を組み合わせた「量子・AIハイブリッド技術」を活用した最適化アプリケーションを開発する。これにより、物流・交通分野における配送計画の最適化や、倉庫内のピッキング計画の最適化などの課題に適用する計画である。

◆ブレインパッド <3655> [東証P]~ビッグデータ活用サービスを手掛ける。チャットGPTに代表される生成AI・LLM(大規模言語モデル)の社会実装を支援するための技術的知見を蓄積するために、技術研究プロジェクトを複数立ち上げている。LLMの学習や推論の高速化や効率化に関する論文、とりわけ量子化技術について取り上げた論文を中心にレビューを行っている。

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