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8095 アステナHD

東証P
529円
前日比
+4
+0.76%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
26.6 0.74 3.40 38.63
時価総額 217億円
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決算発表予定日

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コーア商事HD Research Memo(3):ジェネリック医薬品の安定供給に貢献(2)


■コーア商事ホールディングス<9273>の会社概要

3. 事業内容
同社グループは、商社機能と製造機能を併せ持つ独自のビジネスモデルを有している。商社機能としては、コーア商事が原薬メーカーから原薬(医薬品原料)を輸入し、製薬会社及びコーアイセイに販売している。また製造機能としては、コーアイセイが製薬会社から医薬品の製造を受託製造し、また医薬品を医薬品卸・販社に販売しており、その後、医薬品は医療機関を通じて患者に提供される。

2024年6月期のセグメント別売上高と営業利益の構成比は、原薬セグメントが売上高の64.8%、営業利益の62.0%を占めており、医薬品セグメントは売上高の35.2%、営業利益の38.0%を占めるに留まり、現状は原薬セグメントのウェイトが大きい。一方、営業利益率は、原薬セグメントが17.9%に対し、医薬品は20.2%と高い。推進中の長期事業計画(2021年6月期~2030年6月期)では、医薬品セグメントの成長・拡大によって両セグメントの営業利益が同規模になることを目指す。

同社グループの競合会社としては、同様に原薬と医薬品を扱う会社としてダイト<4577>が挙げられる。ただ、原薬では同社グループは輸入中心であるのに対し、ダイトは自社で製造販売している。また、医薬品では同社グループはシリンジ(製造時点で薬剤が封入してある使い捨てタイプの注射器)に注力しているのに対し、ダイトは内服剤中心であるなどの違いがある。同様に、アステナホールディングス<8095>も原薬と医薬品を扱うが、原薬は国内製造が中心であり、医薬品では注射剤は扱うがシリンジは扱っていないなどの違いがある。各社は競合関係にあるだけでなく、業界として協力し合い対応する面もある。

(1) 原薬セグメント
コーア商事を通じて医薬品の有効成分である原薬を輸入販売しており、商社でありながら、専用の分析機器を備えた医薬分析センターを保有し、輸入した原薬の分析を自社で行うことで品質を担保し、スピーディーな対応が可能である。海外サプライヤーとの信頼関係があり、出発原料から豊富な情報を持ってサプライヤーを選ぶことができる調査能力がある。品質保証部門には薬事業務の経験が豊富なスタッフが揃っており、製販業者の承認許可サポートや申請後のフォローまできめ細かく対応している。知識と設備を備え、顧客の薬機法(医薬品医療機器等法)対応まで幅広くフォローできることが特徴である。

原薬セグメントでは以下の4つの優位性を有する。第1に、医薬品原薬の専門商社として、国内トップクラスの取引基盤・取扱商品数を持つ。世界10ヶ国90社以上の海外原薬メーカーと取引があり、100社以上の国内製薬会社や商社、化学メーカー等に、安心、安全、安価な原薬の安定供給を行っている。第2に、少数精鋭の営業とスペシャリストによる充実したサポート体制を構築している。2024年6月末時点で、営業部門で16名、開発部門、品質保証部門、医薬分析センター、業務管理部門(物流・倉庫管理など)で合計60名を有する。

第3に、開発初期段階から安心・安全な原薬の提案を可能とする専門部隊を持つ。海外原薬メーカーに対しては、特許を回避した製法の提案、日本の市場予測の提供、日本当局の査察基準に適合する管理体制の指導、日本の要求基準を満たす原薬の品質改良・新精製法の技術提案、低コストで合成できる製造法の技術提案などを行う。また、国内製薬会社に対しては、特許見解書の提供、市場性や既存のラインナップを意識した顧客ニーズに合った提案、信頼のおける原薬製造所の紹介、製剤に合わせた特性を有する原薬の提供、製剤開発に役立つ技術情報提供などを行っている。

第4に、国内東西2拠点の倉庫による安定供給と、最先端の機器を用いた厳しい品質管理を行っている。海外原薬メーカーから輸入した原薬の倉庫として横浜と大阪の東西2拠点を有しており、医薬分析センターでは、一般的な商社が外注・省略する品質試験を自社で実施することで、コスト減、納期短縮、信頼性向上を実現している。また、品質試験方法・規格の確立から、当局審査対応までサポートすることで、顧客(国内製薬会社)の開発業務負担の軽減も担っている。

(2) 医薬品セグメント
コーアイセイ及びコーアバイオテックベイでは、医療用医薬品や一般用医薬品の製造販売、仕入販売及び製造業務受託を行っている。医薬品の開発から製造まで一貫して受託可能な体制を整えていることに加え、高度な技術と投資が必要な高薬理活性注射剤を少量多品種製造可能な生産設備を保有することで、同社グループ独自の分野の開発・製造受託を行うことが可能である。

医薬品セグメントには、以下の3つの優位性がある。第1は、長年にわたる注射剤の製造経験及び凍結乾燥技術、内服剤と注射剤3剤形(バイアル(薬剤を入れた後ゴム栓をしたもので、注射器でゴム栓から薬液を取れる)、アンプル(薬液を充填した後に末端を溶かして閉じたもの)、プレフィルドシリンジ(あらかじめ薬液が充填された状態の注射器))へ対応である。コーアイセイは本社工場と蔵王工場を持ち、本社工場には内服剤ライン、注射剤アンプルライン、注射剤バイアルライン、蔵王工場には注射剤シリンジライン、注射剤バイアルラインがある。

第2は、製品の優位性である。「炭酸ランタンOD錠」は、慢性腎臓病患者の高リン血症の改善用に使用される医薬品で、ジェネリック医薬品では唯一水なしでも服用可能な口腔内崩壊錠であり、水分摂取制限のある透析患者に有用だ。また、「マキサカルシトール注射剤」は、副甲状腺ホルモンの合成・分泌を抑え、血中の副甲状腺ホルモン濃度を下げる薬で、通常は透析患者の二次性副甲状腺機能亢進症の治療に用いられる医薬品である。先発品の中外製薬<4519>をはじめ数社が販売しているが、他社の製剤はすべてアンプルであるのに対し、同社の製剤はシリンジである。プレフィルドシリンジの製剤は、感染予防と医療従事者の安全性と作業効率向上の観点から有用である。

第3は、少量多品種、高薬理活性、高品質・安全性を誇る蔵王第1工場の存在である。すなわち、シングルユース対応のフレキシブルな生産体制、ケミカルハザードのカテゴリー(高薬理活性化合物の曝露管理レベル)5を実現、アイソレーター対応の無菌充填システム採用などで、治験薬(安全性や治療法などを確認する目的で行われる臨床試験に用いる薬)から最終製品まで製造可能である。同工場への投資総額は約50億円、製造能力(1ml換算)はシリンジ製剤で約340万本/年、バイアル製剤(液)で約90万本/年、凍結乾燥製剤で約60万本/年である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《EY》

 提供:フィスコ

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