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激動の「キオクシア」、IPO延期も日の丸半導体の存在感一段と高まる <株探トップ特集>


―関連企業は中期成長力の伸びしろ際立つ、米国をバックに国策の一丁目一番地に立つ銘柄群を追え―

 半導体メモリーのキオクシアホールディングスと取引関係のある周辺銘柄への注目度が高まっている。キオクシアは2020年に東京証券取引所から承認を受けてIPOを予定していたが、米中貿易摩擦の激化を理由に直前で中止。翌年も報道ベースで上場に向けた動きが伝わったものの結局実現せず、今回浮上した上場観測は三度目の正直となるはずだった。ところが、日本時間24日にロイター通信が、同社が10月の新規上場計画を撤回したと報じた。これが事実なら、関連銘柄には足もと逆風が強まる可能性があるが、ファンダメンタルズ面ではマイナス要素が発生しているわけではない。その後に上場方針は維持し11月以降に早期上場を目指すとも伝わっている。仮に投げ売りが生じれば文字通りバーゲンセールとなる可能性があり、そこは悪目買いのチャンスと心得ておきたい。

●日の丸半導体は米国の半導体政策の虎の子に

 キオクシアを国策として支援する動きは鮮明だ。20日には金融機関から新たに1200億円のコミットメントライン(融資枠)を設定したと発表している。調達資金は岩手県の北上工場で25年から人工知能(AI)向けの最先端半導体 を量産するための設備投資費用に充てる計画で、このほか三重県の四日市工場の生産設備増強に充当すると伝わっている。三井住友銀行、三菱UFJ銀行、三井住友ファイナンス&リースとの間で設備投資用の融資枠を締結し、協業先の米ウエスタン・デジタル<WDC>と合わせて最先端メモリーに約7300億円を投資する計画という。株式公開による資金調達は当面見込めない点はネガティブだが、キオクシアやラピダスを中心とした日の丸半導体が本格離陸期に突入していることに相違はない。米国にとっても日本は半導体政策における虎の子と化している。

 足もとのキオクシアの業績は好調だ。8月に発表した25年3月期第1四半期連結決算は、売上高が4285億円(前年同期2511億円)、営業損益が1259億円の黒字(同1308億円の赤字)と大幅増収・営業黒字転換で着地した。半導体市況の低迷などを受けてここしばらくは損益の赤字が続いてきたが、前四半期の24年3月期第4四半期から黒字に転じ改善傾向を鮮明にしつつある。需給バランスの改善による販売単価上昇やフラッシュメモリー需要の回復による出荷増、円安の進行が寄与した。今後は顧客在庫の正常化やスマートフォン向け需要の回復に加え、AIの普及に伴う需要増が更なる追い風となる見通しだ。

●株価を急動意させた2銘柄

 キオクシア関連株として、まず注目したいのがクエスト <2332> [東証S]とティアンドエスグループ <4055> [東証G]だ。キオクシアの上場観測が報じられた先月、両銘柄は株価を急動意させ投資家の注目を浴びた。

 クエストは製造業や金融分野向けに展開するシステム開発会社。キオクシアを主要取引先とし、同社向けの売上高は全体の約2割(24年3月期)を占める。企業のデジタル投資を背景とした良好な事業環境が続き、24年3月期は売上高、営業利益とも過去最高を記録。25年3月期も引き続き増収増益を予想する。今年6月に策定した中期経営計画では最終年度の27年3月期に売上高168億円(今期150億円)とする目標を掲げた。連結配当性向は35%以上を目指す。足もとのPBRは1倍前後、配当利回りは3%台後半に位置する。

 T&S・Gも製造業向けにシステム開発を手掛ける。主要取引先はキオクシアをはじめ、東芝、日立グループと盤石な顧客基盤を持つ。取引先別の売上高比率(23年11月期)はキオクシアが約3割、東芝と日立がそれぞれ約2割前後だ。24年9月期(10カ月変則決算)の配当予想は年8円(前23年11月期は6円55銭)と増配トレンド継続を見込む。

●関連銘柄さまざま、業績は好調

 キオクシア向けを主力に事業を行う企業はまだまだ存在する。その一つがジャパンマテリアル <6055> [東証P]だ。同社は半導体製造向けに特殊ガス供給装置を製造。キオクシアに加え、ソニーグループ <6758> [東証P]などが出資する台湾TSMC<TSM>熊本工場の運営会社向けの売り上げが大きい。業績は拡大基調を続けており、第1四半期の営業利益は前年同期比48%増の20億100万円で着地。通期でも増益を見込み、増配も計画している。

 日本電子材料 <6855> [東証S]はプローブカードなど半導体検査器具の大手。キオクシアとウエスタン・デジタルの合弁会社を主要取引先に持つ。24年3月期は生成AI向け需要が高まった一方、スマホやパソコン需要の低迷で半導体市況全体としては厳しい状況が継続。同社の業績も大きく落ち込んだが、今期はV字回復を果たしそうだ。高付加価値製品などが寄与し、第1四半期は営業4.6倍増益と好スタートを切った。

 フィックスターズ <3687> [東証P]は企業向けにソフトウェア開発を手掛ける。同社はAIや量子コンピューター関連の有力株として注目されるが、業績の柱は半導体を含む製造業向けのソフト・アルゴリズム開発や高速化サービスだ。売上高の3割弱(23年9月期)をキオクシア向けで稼ぐ。成長路線を進み、24年9月期は前期に続き営業最高益と増配を見込む。

 このほか、キオクシアと取引関係がある特殊ガス大手の関東電化工業 <4047> [東証P]も見逃せない。また、キオクシア株を保有する東芝に出資しているローム <6963> [東証P]やオリックス <8591> [東証P]、キオクシア株を直接保有するHOYA <7741> [東証P]などもマークしておきたい。

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