為替週間見通し:ドルは下げ渋りか、日米金利差の早期縮小観測は後退
今週のドル・円は反発。日米金利差の段階的な縮小を想定して米ドル・円は週初に139円58銭まで売られたが、複数の米経済指標の改善を受けてリスク回避のドル売りは縮小し、18日にかけて142円台後半まで反発。9月17-18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利が0.5pt引き下げられたことから、18日のニューヨーク市場で米ドル・円は一時140円台半ばまで反落した。しかしながら、米連邦準備制度利理事会(FRB)のパウエル議長が会見で経済や消費に楽観的な見解を示し、金利引き下げを急いでいないとの見方を伝えたことから、ドルを買い戻す動きが広がった。この結果、19日にかけて143円95銭までドル高円安が進行した。20日の東京市場で米ドル・円は一時141円台後半まで売られたが、日本銀行の植田総裁は金融政策決定会合の終了後に行われた会見で「米国経済を中心とする世界経済の不透明感、従って、すぐ利上げということにはならない」との見方を伝えたことから、日米金利差縮小観測は後退し、リスク選好的な円売りが再び活発となった。
20日のニューヨーク外為市場でドル・円は143円50銭まで下落後、144円49銭まで上昇した。米景気見通しの改善で金利上昇に伴うドル買いが優勢となったが、米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事が「労働市場が悪化した場合、再度0.5ptの利下げの可能性がある」との見方を示したことから、リスク選好的な米ドル買いは一服。米ドル・円は143円91銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:139円58銭-144円49銭。
【来週の見通し】
■ドルは下げ渋りか、日米金利差の早期縮小観測は後退
来週のドル・円は下げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)は9月17-18日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で4年超ぶりに政策金利の引き下げを決定。利下げ幅は0.50ptと、市場が当初想定していた0.25ptを上回った。直近発表の米経済指標は強弱まちまちながら低調なデータも含まれており、米国経済の減速懸念は消えていないことから、11月と12月の会合でも追加利下げが確実視されている。
ただ、日本銀行植田総裁は追加利上げを急がない姿勢を示し、日米金利差の早期縮小観測は後退した。また、自民党総裁選の結果次第で日銀による追加利上げ観測は一段と後退する可能性もあることから、目先的に金融正常化をにらんだ円買いは弱まり、ドルなど主要通貨をサポートしそうだ。
【自民党総裁選】(27日実施予定)
自民党は9月27日、任期満了に伴い退任する岸田首相(党総裁)の後任を選出する。新政権は次期総選挙に向けすみやかに始動するとみられ、早期追加利上げの思惑は後退するとの見方が多いことから、金融正常化観測の一服で円買いは後退しよう。
【米・8月コアPCE価格指数】(27日発表予定)
9月27日発表予定の8月米コアPCE価格指数は、7月分から一段のインフレ鈍化が確認されるか、注目される。市場予想を下回った場合、減速懸念は根強いため追加利下げに思惑が広がり、ドル売り材料となりそうだ。
ドル・円の予想レンジ:141円50銭-145円50銭
《FA》
提供:フィスコ