明日の株式相場に向けて=暗闇で旋回するジェットコースター相場
週明け9日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比175円安の3万6215円と続落。きょうの取引開始前の段階で先物は1200円あまりの下げで、3万5000円台割れも止むなしというムードが漂っていた。9月に入ってからの米国株の変調もさることながら、足もと外国為替市場で再び円高圧力が強まっており、それに日経平均先物をリンクさせたシステマチックな売りが全体相場に重くのしかかる状況にある。
しかし、相場はアマノジャクで全体にあきらめムードが漂うと案外下げないもの。きょうは前もって先物に投影されたように日経平均は一時1100円を超える急落をみせたのだが、そこを起点に一貫して下げ幅を縮小し、気が付けば3万6000円台に回帰、前週末終値まであと200円未満に迫る水準まで下げ渋った。かといってプラス圏までは戻し切れず、大引け間際まで下げ幅を広げたり縮めたりという、まさに前方視界不良、暗闇をハイスピードで旋回するジェットコースターの趣きである。
8月初旬の暴落は想定を超える苛烈さで投資家のマインドを凍り付かせたが、その後の戻り足も想定を超え、8月は月足でこれまで見たこともないような長い下ヒゲを形成した。しかし「二番底を警戒して、安いうちに買いポジションを高めることができた投資家は思った以上に少ない」(中堅証券ストラテジスト)という指摘もある。そのなか、「むしろもう一回、全体相場が仕切り直して(下げをみせて)くれれば買えるのに、、。」と思っていた向きも少なくなかったはずである。その仕切り直しが足もとで起こっているわけだが、いざ直面するとなかなか蛮勇を振るって買い向かうことができないのが人間心理というものだ。日経平均はこのまま横ばい圏でもみ合っていれば、黙っていても「日足一目均衡表」の雲抜けが迫っていた。ところが、広がる青空を目前に急降下、作っても作れないような漫画チックなチャートを形成している。
前週末発表された8月の米雇用統計は強弱入り交じる内容で、非農業部門の雇用者数の伸びはコンセンサスを下回ったが、失業率や平均時給は景気の冷え込みを示唆するものではなかった。しかし、過去にさかのぼって6月と7月発表分を下方修正したことが投資家の心証を悪くしたようだ。「FRBは(インフレ対応の時もそうだったが)またもや金融政策のタイミングを逃したのではないかという疑念が湧いた」(ネット証券アナリスト)ということだ。今週は10日のトランプVSハリスの大統領選・候補者テレビ討論と、11日の8月の米消費者物価指数(CPI)、そして12日には週間の米新規失業保険申請件数が注目の的となる。
一方、12日は国内では自民党総裁選の告示(27日に投開票)と、いよいよ次期総裁が誰になるかにマーケットの視線が釘付けとなる。今月の初め2日に“9月は小泉新総裁を織り込む相場”としたが、その流れが足もとで更に強まっている印象を受ける。関係者によると「キングメーカーは麻生氏ではなく菅氏の方で、菅氏が推す進次郎有利という見方が強い」という。フリーランス記者による「知的レベル云々」の直球ド真ん中の質問に見事にリターンエースを決めたような受け答えは、「出来過ぎている」つまり仕込みではないかという声も聞こえるが、としても解散総選挙をにらんで最強の人選という認識が菅元首相の後押しで永田町に広がっている雰囲気がある。
株式市場に目を向けると内需系小型株が優位の構図。個人消費周辺が強く、当欄で以前にも取り上げた100円ショップのワッツ<2735>のほか、「スーパーデリバリー」運営のラクーンホールディングス<3031>なども直近強調展開で年初来高値更新を射程にとらえており、注目しておきたい銘柄となる。
あすのスケジュールでは、8月のマネーストックが朝方取引開始前に日銀から開示されるほか、債券市場では午前中に5年物国債の入札が予定されている。午後取引時間中には7月の特定サービス産業動態統計が開示される。また、午後取引終了後には8月の工作機械受注額(速報値)が発表される予定でマーケットの関心が高い。海外では8月の中国貿易統計、8月の英失業率などが発表される。なお、この日から24日までの日程で第79回国連総会がニューヨークで行われる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
しかし、相場はアマノジャクで全体にあきらめムードが漂うと案外下げないもの。きょうは前もって先物に投影されたように日経平均は一時1100円を超える急落をみせたのだが、そこを起点に一貫して下げ幅を縮小し、気が付けば3万6000円台に回帰、前週末終値まであと200円未満に迫る水準まで下げ渋った。かといってプラス圏までは戻し切れず、大引け間際まで下げ幅を広げたり縮めたりという、まさに前方視界不良、暗闇をハイスピードで旋回するジェットコースターの趣きである。
8月初旬の暴落は想定を超える苛烈さで投資家のマインドを凍り付かせたが、その後の戻り足も想定を超え、8月は月足でこれまで見たこともないような長い下ヒゲを形成した。しかし「二番底を警戒して、安いうちに買いポジションを高めることができた投資家は思った以上に少ない」(中堅証券ストラテジスト)という指摘もある。そのなか、「むしろもう一回、全体相場が仕切り直して(下げをみせて)くれれば買えるのに、、。」と思っていた向きも少なくなかったはずである。その仕切り直しが足もとで起こっているわけだが、いざ直面するとなかなか蛮勇を振るって買い向かうことができないのが人間心理というものだ。日経平均はこのまま横ばい圏でもみ合っていれば、黙っていても「日足一目均衡表」の雲抜けが迫っていた。ところが、広がる青空を目前に急降下、作っても作れないような漫画チックなチャートを形成している。
前週末発表された8月の米雇用統計は強弱入り交じる内容で、非農業部門の雇用者数の伸びはコンセンサスを下回ったが、失業率や平均時給は景気の冷え込みを示唆するものではなかった。しかし、過去にさかのぼって6月と7月発表分を下方修正したことが投資家の心証を悪くしたようだ。「FRBは(インフレ対応の時もそうだったが)またもや金融政策のタイミングを逃したのではないかという疑念が湧いた」(ネット証券アナリスト)ということだ。今週は10日のトランプVSハリスの大統領選・候補者テレビ討論と、11日の8月の米消費者物価指数(CPI)、そして12日には週間の米新規失業保険申請件数が注目の的となる。
一方、12日は国内では自民党総裁選の告示(27日に投開票)と、いよいよ次期総裁が誰になるかにマーケットの視線が釘付けとなる。今月の初め2日に“9月は小泉新総裁を織り込む相場”としたが、その流れが足もとで更に強まっている印象を受ける。関係者によると「キングメーカーは麻生氏ではなく菅氏の方で、菅氏が推す進次郎有利という見方が強い」という。フリーランス記者による「知的レベル云々」の直球ド真ん中の質問に見事にリターンエースを決めたような受け答えは、「出来過ぎている」つまり仕込みではないかという声も聞こえるが、としても解散総選挙をにらんで最強の人選という認識が菅元首相の後押しで永田町に広がっている雰囲気がある。
株式市場に目を向けると内需系小型株が優位の構図。個人消費周辺が強く、当欄で以前にも取り上げた100円ショップのワッツ<2735>のほか、「スーパーデリバリー」運営のラクーンホールディングス<3031>なども直近強調展開で年初来高値更新を射程にとらえており、注目しておきたい銘柄となる。
あすのスケジュールでは、8月のマネーストックが朝方取引開始前に日銀から開示されるほか、債券市場では午前中に5年物国債の入札が予定されている。午後取引時間中には7月の特定サービス産業動態統計が開示される。また、午後取引終了後には8月の工作機械受注額(速報値)が発表される予定でマーケットの関心が高い。海外では8月の中国貿易統計、8月の英失業率などが発表される。なお、この日から24日までの日程で第79回国連総会がニューヨークで行われる。(銀)
出所:MINKABU PRESS