セレンディップ Research Memo(3):「事業承継(投資)×モノづくり(経営)」を領域に事業展開
■会社概要
2. 事業内容
セレンディップ・ホールディングス<7318>は、事業承継を目的としたM&Aにより中堅・中小のモノづくり企業を中心に同社傘下に収める「事業承継(投資)」と、複雑化・高度化した経営執行を支援することで企業価値の回復・向上を図る「モノづくり(経営)」を主軸とした、企業だけでなく雇用や技術も守る社会性の高い事業を展開している。事業承継に関わるニーズは様々のため、モノづくり事業(経営と長期投資)、プロフェッショナル・ソリューション事業(経営)、インベストメント事業(経営と投資)の3つの切り口によりアプローチしている。こうした事業を支え、事業承継のトータルソリューションカンパニーとしてシナジーを生んでいるのが、事業投資会社で経営コンサルティングを行っている同社のほか、事業承継を目的にM&Aを実施した製造業5社、エンジニア派遣業1社、協働ロボットレンタル業1社、投資・ファイナンシャルアドバイザリー事業1社によるグループ力である。
(1) モノづくり事業
モノづくり事業では、事業承継を目的に高い技術力を持つモノづくり企業へのM&Aを実施し、同社のノウハウによって経営の近代化を進めて収益強化を推進し、オーガニックな利益成長を享受するビジネスである。基本的に売却をすることはない。現在、自動車内外装部品メーカーの三井屋工業(株)、自動車精密部品メーカーの佐藤工業(株)、FA装置メーカーの天竜精機(株)、試作品製作の(株)アペックス、業務用美容機器の(株)レディーバードの5社を擁している。三井屋工業は、吸遮音性と軽量化を追求した材料は高い評価を得ており、長年トヨタ自動車<7203>を主要顧客としている。佐藤工業は高度な精密プレス量産加工技術を持ち、トヨタ自動車系のアイシン<7259>を主要顧客としている。天竜精機は工場の製造工程を自動化・省力化するコネクタや電池関連の自動組立機やクリームはんだ印刷機などを主力としている。アペックスは機械加工から電子制御、デザイン、アプリ開発まで一貫製作できる技術力を強みとしているため、グループシナジーの要となっている。2024年3月にグループインしたレディーバードは、完成品市場という新たな領域を切り開く端緒となることが期待されている。同社はこれまでM&Aに失敗したことがなく、すべての企業が同社の成長に貢献している。
(2) プロフェッショナル・ソリューション事業
プロフェッショナル・ソリューション事業では、事業承継などの経営課題を抱えた中堅・中小企業や、技術的な課題を持つモノづくり企業に対し、複雑で高度な経営課題に対応できるプロ経営者や専門性の高いエンジニアなどプロフェッショナルなチーム(または個人)を派遣し、課題を解消するためのソリューションを提供している。そのほかソフトウェアの受託開発や経営コンサルティングも行っているが、特にコンサルティングは、急速に進化するDX化や、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下コロナ禍)で業績が悪化した中堅・中小企業の経営改善に対するニーズが急速に拡大しており、人材強化など事業拡大を推進しているところである。
(3) インベストメント事業
インベストメント事業は、金融機関などと連携した共同投資(ファンド)やマイノリティ出資、フィナンシャル・アドバイザリーによって、多様化する事業承継問題に柔軟かつ機動的に対応している。ビジネスモデルは、フィナンシャル・アドバイザリーの提供や、共同投資先企業の経営へ深く関与することによって経営改革を促進し企業価値を向上させたのちに売却しキャピタルゲインを獲得するというものである。現在、SBIホールディングス<8473>グループの新生企業投資と「日本ものづくり事業承継基金1号投資事業有限責任組合(以下、ものづくりファンド)」という共同ファンドを組成するなど、事業規模の拡大を進めているところである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《HN》
提供:フィスコ