リソル Research Memo(9):引き続きインバウンド需要の取り込みを強化、増収増益を目指す
■業績動向
3. 2025年3月期の業績見通し
リソルホールディングス<5261>は2025年3月期の業績見通しについて、売上高27,000百万円(前期比5.0%増)、営業利益2,200百万円(同3.6%増)、経常利益2,000百万円(同2.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,500百万円(同6.2%増)を見込んでいる。インバウンド需要が大きく拡大するなか、同社を取り巻く環境は好調が続くと見込まれる。このため同社は、ホテル運営事業をはじめゴルフ運営事業やリソルの森(CRCC)事業においてインバウンド需要の取り込みを加速する。人手不足による運営スタッフの採用強化やエネルギー・原材料などコスト高騰への対応は迫られるものの、インバウンド需要の取り込みに加え、前期に取得したゴルフ場の通期稼働、DXなどによる業務の効率化、仕入れの統一化やソーラーカーポート(自家消費型太陽光発電)の活用によるコスト削減を推進し、増収増益を継続する計画である。さらに、ゴルフ場の取得、ホテルの新規出店、フェアウェイフロントヴィラやリソルステイ、ペットヴィラなど、財務の健全性を意識しつつ、継続的な事業拡大を見据えた投資や新規事業を推進する。また、海外への事業進出の本格的な検討も進める。
セグメント別の見通しについて、ホテル運営事業では、インバウンド需要を積極的に取り込むとともに、独自の強みを生かした“ツーリストホテル”としてのブランディングを徹底的に強化し、SNSなどデジタルマーケティングによって情報発信していく。また、スマートフォンアプリを活用したグループ共通の会員制度を通した販促も、2024年10月以降に本格的に始動する予定である。これにより自社サイトを通じた販売を強化、直販比率の向上を進めて収益性の改善を図る。法人向けの販売も、個社別提案や定期的な情報配信などにより強化する。特にアプリについては、リソルの森(CRCC)事業を含めてホテル運営事業とゴルフ運営事業のポイントを共通化することで顧客利便性を高めるとともに、顧客属性に見合った販促やブランディング施策を展開できるため、販促を効果的に仕掛けて直販比率向上の決定打とする意向である。
ゴルフ運営事業では、当面は市場の活況が見込まれるものの、将来的に国内プレーヤーの人口減少が予測されていることから、その対策としてインバウンドゴルファーやシニア・レディースの需要を拡大する計画である。例えば、インバウンドゴルファー向けにはサインやメニューの外国語対応など業界に先駆けてサービスを整備、シニア・レディース向けにはシニアティーやレディースティーの新設・拡大を推進する。さらに、コース品質や接客サービスの向上、美味しい食事の提供などソフト面に加え、クラブハウス大改修やコース改造などハード面の品質も常にブラッシュアップすることで、単価の上昇につなげる意向である。一方、フェアウェイフロントヴィラ事業を強化し、内外・老若男女のゴルファーはもちろん、観光目的の旅行者にも対応したゴルフリゾートを目指す。「スパ&ゴルフリゾート久慈」でヴィラがすでに22棟に拡大するなど非常に好評のため、「大熱海国際ゴルフクラブ」では富士山とフェアウェイの眺望が堪能できるワンランク上の高級ヴィラを10棟計画することになった。
リソルの森(CRCC)事業のゴルフ部門では、コース品質の向上による顧客満足度の上昇、インバウンドゴルファーの獲得、広告宣伝強化によるゴルフ&ステイのブランド化を進め、ゴルフ会員権(第7期)の販売につなげる計画である。リゾート部門では、企業研修やスポーツ団体受注の強化、ドッグヴィラ「Dear Wan Spa Garden」のオープン(2024年10月)、不動産部門では、2024年7月にオープン予定のゴルフバケーションクラブ(16階プレミアムタイプ)の販売強化を推進する予定である。
福利厚生事業では、業界標準と異なる「精算ビジネスモデル」「プラスユアチョイス」「直営施設」のメリットを企業側に訴求するほか、キャンペーン施策による利用促進、検索横断システム導入による利便性向上、法人紹介ルートやOEM商品の強化などにより、新規契約件数と受注金額の増大を図る。ほかに、自社グループ施設への送客やグループ企業と会員企業との連携も強化する。
再生エネルギー事業では、ゴルフ場を中心とした地産地消型を展開、投資再生事業では、新規運営施設の取得や運営施設のバリューアップ・活性化を推進する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《SO》
提供:フィスコ