タキロンCI Research Memo(9):単年度経営計画となった2024年3月期は一定の成果
■業績動向
1. 2024年3月期の業績動向
タキロンシーアイ<4215>の2024年3月期の業績は、売上高137,581百万円(前期比5.6%減)、営業利益6,228百万円(同7.5%増)、経常利益6,501百万円(同9.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,102百万円(同107.4%増)となった。期初計画との比較では、売上高で16,419百万円、営業利益で1,572百万円、経常利益で1,499百万円の未達となったが、親会社株主に帰属する当期純利益は102百万円の過達となった。親会社株主に帰属する当期純利益が大幅増益かつ過達となったのは、特別利益で農業用ポリオレフィンフィルム事業の承継に伴う負ののれん益と持合解消に伴う有価証券売却益が発生したことが要因である。
日本経済は、一部に足踏みが見られたものの、社会経済活動の正常化が進み、内需を中心に緩やかな持ち直しの動きが見られた。一方、エネルギー価格や原材料価格の上昇、世界的な金融引き締め、ウクライナ情勢の長期化、中国経済や中東地域をめぐる情勢の先行き懸念など、海外景気の下振れがリスクとなっており、先行きは依然として不透明な状況が続いている。事業環境は、マンション改修工事の需要が引き続き好調で、土木関連資材の一部で需要回復が見られたものの、金融引き締めなどを背景とした欧州市場の低迷長期化、前期に活況だった半導体市況の減速など予断を許さない状況が続いた。このような環境下、同社は単年度経営計画の基本方針に沿って事業活動を進めた。
この結果、売上面では、ハウエル管や回転成形製品など国内インフラ事業が回復、マンションリノベーションの堅調な需要に伴って床材が好調に推移したが、流通在庫調整による北米シュリンクフィルムの低迷、半導体市況の回復遅れによる高機能材の伸び悩みなどにより減収となった。利益面では、前期赤字だったインフラ事業の大幅な収益改善、それぞれの国に適合した製品価格改定により、北米と欧州での販売数量減や高機能材の伸び悩みを吸収して増益となった。期初計画との比較で未達になったのは、ひとえに北米と欧州の低迷及び高機能材の伸び悩みが原因である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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提供:フィスコ