インテグループ:業績好調な完全成功報酬制のM&A仲介専門会社
インテグループ<192A>は創業以来、中小企業を中心としたM&A仲介サービスを提供している。6月18日に東証グロース市場に新規上場した。
同社は、完全成功報酬制の料金体系(着手金ゼロ・中間金ゼロ)、低廉な最低成功報酬額、売買金額ベースの成功報酬算定方式などが特徴として挙げられている。売り手・買い手ともに完全成功報酬制のM&A仲介専門会社で、大手M&A仲介専門会社4社と比較して低水準の料金に加えて、国内中小企業M&A市場のボリュームゾーンである小規模案件セグメントにおいて価格競争力を有している。
24年5月期の売上高は前期比72.6%増の21.97億円、営業利益は同4.1倍の9.83億円で着地した。広告出稿に加えて、ダイレクトマーケティング、潜在顧客へ効率的にアプローチするインテントマーケティングの強化に取り組み、M&A案件の発掘を積極的に進めたという。成約組数は53組(前期47組)、成約1組当たりの売上高0.41億円(同0.27億円)、コンサルタント1人当たりの成約組数1.8組(同1.8組)、平均コンサルタント数30人(同26.5人)となった。また、25年5月期業績予想も開示しており、売上高は前期比31.9%増の28.97億円、経常利益は同20.3%増の11.83億円と増収増益見通し。1組当たり売上高及び1人当たり成約組数を維持し、コンサルタント数を増加させることで業績拡大を図る。
24年3月期の成約1組当たりの売上高が大きく増加した要因としては2点挙げられる。23年7月に最低成功報酬を1500万円に値上げしたことから、過年度比較で値上げ効果が売上高の増加につながった。また、小規模案件だけでなく、競合との価格競争で一部優位になり中規模・大規模案件も実施することで売上高が増加している背景がある。そのほか、同社には、レベルの高いコンサルタントを早期に育成できる教育体制が整備されており、働きやすい職場環境を提供しているため、今後も平均コンサルタント数は着実に伸長することが想定できる。
政府がM&A仲介手数料にメスを入れるとの報道で、6月10日を境にM&A仲介関連銘柄は警戒感で売り優勢となっていた。同社への影響も気がかりだが、もともと低廉な最低成功報酬額を特徴としており、価格設定も控えめになっていることから影響は軽微と推察できる。また、国内では中?企業を中心に事業承継の必要性が高まっている。大手M&A仲介会社とのすみ分けができているなか、事業環境の追い風とともに今後も業績の2桁成長を想定しやすいだろう。
《NH》
提供:フィスコ