NSW Research Memo(10):「デジタル変革による社会と企業の持続的成長の両立」を目指す(3)
■中長期の成長戦略
4. サステナビリティへの取り組み
NSW<9739>では、企業理念である「Humanware By Systemware」に基づく事業活動を通じ、時代とともに変化する様々な社会課題の解決に取り組んできた。中期経営計画においても企業としての成長と社会課題の解決の両立を目指してESGをはじめとしたサステナビリティ(持続可能な社会の実現)経営を推進していく方針である。
環境への取り組みとしては2013年4月に環境方針を発表し、効率化・省力化のためのソリューションを提供することで環境負荷の軽減を目指すほか、オフィスの省エネ・省資源活動などに取り組んでいる。社会との関わりとしては、ダイバーシティを挙げている。創業以来、個性、感性、創造性など「ヒューマンウエア」を大切にし、従業員の多様性、人格、個性を尊重するとともに、安全で働きやすい環境づくりに努めており、仕事と家庭生活の両立を支援する様々な施策、各種制度の整備(フレックスタイムなどの勤務体系の整備、失効年休の利用制度、出産などを理由に退職した社員の再雇用制度)を実施してきた。ガバナンスでは従来からコーポレート・ガバナンスに注力しており、迅速かつ的確な意思決定を行うこと、並びに株主や投資家に対し、経営の透明性を高めていくことが企業としての重要課題であると認識している。そのために、取締役会構成員数の適正化、執行役員制度の導入、社外取締役の選任など、制度の見直しを適宜図っている。また、継続的なディスクローズ活動及びIR活動を通じて、株主や投資家の声を経営に反映する努力を続けている。
新たな取り組みとしては、2024年6月の株主総会を経て、女性取締役を1名選任する予定で、2030年目標の女性役員比率30%以上を先行達成する見通しだ。2024年4月の取締役会で指名・報酬委員会を設置し、取締役の指名・報酬等に関する手続きの公正性、決定プロセスの透明性や客観性を強化し、コーポレートガバナンスの充実を図る。さらに、投資有価証券について、2023年3月期の簿価ベース158百万円から、2024年3月期には1百万円に削減し、政策保有株式の実質解消を図る一方、ビジネス強化を目的とした戦略投資として新規に757百万円を取得している。
サステナビリティへの取り組みでは、同社の山梨ITセンターは、2023年4月には「やまなしSDGs推進企業」として登録されている。SDGsは環境改善によって持続可能な開発目標のことで、同社はSDGsに積極的に取り組む企業として認められたことを示す事例だ。さらに、同センター敷地内に太陽光パネルを設置し、2024年10月中旬より運用開始予定だ。データセンターの電力使用量の約20~30%を賄う計画で、非常時には地域住民向けに再エネ電力の一部を提供できるよう計画している。
近年、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に対する企業の取り組みを重視して投資銘柄を選定するESG投資が世界的に重視される傾向にあり、日本でも成長余地が大きいと見られる。その意味でも、環境・社会貢献活動に積極的に取り組む同社が注目される可能性は高いと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
《SO》
提供:フィスコ