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3858 ユビキタスAI

東証S
334円
前日比
-8
-2.34%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
1.53 216
時価総額 34.9億円
決算発表予定日

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ユビAI Research Memo(1):2社続けてのM&Aにより成長・事業基盤を強化


■要約

ユビキタスAI<3858>は、組込みソフトウェア※の自社開発製品及び海外のソフトウェアベンダー製品の販売、テクニカルサポート、エンジニアリングサービスを展開し、大手電子・電気機器製造・開発企業を中心とした1,000社以上の顧客が必要とする最適なソフトウェアテクノロジー・サービスを提供している。また、多数の大手製造業顧客と国内ベンチャー・スタートアップ企業、海外パートナーなどをつなぐB2Bテクノロジービジネスプラットフォーム「HEXAGON(ヘキサゴン)」を運営している。

※組込みソフトウェア:家電製品や産業機器、自動車などに搭載される、特定の機能を実現するためのコンピュータシステムで動作するソフトウェアのことで、装置の制御や動作の受付けなどを高信頼性かつリアルタイム性をもって行うことが求められる。


1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高3,478百万円(前期比79.5%増)、営業利益71百万円(前期は84百万円の損失)、経常利益87百万円(同76百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益32百万円(同148百万円の損失)と前期比約1.8倍の増収となり、営業損益も大きく改善した。2023年4月に子会社化した(株)ライトストーンの通期の売上と、同年10月に子会社化した(株)グレープシステムの半期の売上が増収に大きく寄与した。両社のM&Aにより技術、取引先、人材などの経営リソースを共有し、成長・事業基盤強化のステップが大きく進んだと言えよう。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)やウクライナ情勢による半導体・自動車・民生機器などのサプライチェーンの混乱が軽減したことも追い風となった。営業損益も、新規の契約時一時金の増加、採算を重視した受託開発売上の増加、単価アップなどにより同社単体の利益が大幅に改善したほか、ライトストーンの利益も加わり、前期を155百万円上回り黒字で着地した。のれんの償却費66百万円を加味すると、実質的には前期を222百万円上回った。なお、2024年2月に公表した修正計画に対して売上高は上振れたが、営業利益は下回った。グレープシステムが連結前に計上していた資産の価値が失われ、これを計画外で費用処理したことが要因であり、当期純利益は32百万円となった。

2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高4,022百万円(前期比15.6%増)、営業利益40百万円(同44.1%減)、経常利益38百万円(同56.6%減)、親会社株主に帰属する当期純損失22百万円(前期は32百万円の利益)と増収減益の見通しだ。売上は、前期は半期分だったグレープシステムの売上が通期で寄与する。2024年8月に吸収合併する子会社(株)エイムとグレープシステムのオフィスを統合し受託開発の連携・受注強化を進めるほか、成長が見込めるIoT機器のセキュリティ対策など品質向上支援ツール群の販売強化を進める計画だ。損益面では、強化した収益力をさらなる成長につなげるための人材開発、研究開発、販促強化などへの積極的な投資を計画しているため減益を見込んでいるが、のれん償却前の営業利益は133百万円と前期の償却前利益より5百万円下回る水準で推移する見通しだ。ただし、のれんの償却費は税法上損金算入されず法人税などが膨らむため当期純損失を予想する。

3. 中期経営計画の進捗状況
同社はポストコロナを見据えて次の10年で「Big Change」を実現するため、2022年6月に新たなビジョン及び3ヶ年(2023年3月期?2025年3月期)の中期経営計画を公表した。テクノロジーに関わるすべてが宝物であり収益の源泉となると考え、それらを探し続けることで社会の進歩に貢献することを意味する「Exploring Everything」をスローガンとして、2027年3月期に売上高5,000百万円を達成するために、2025年3月期に売上高4,022百万円、営業利益40百万円を実現する目標を掲げた。2023年3月期の実績は当初の目標値を下回ったが、M&Aの実現により2025年3月期の数値目標を上方修正した。スローガンを実現するために、組込みソフトウェア開発・販売会社から顧客が必要とするテクノロジー・サービスを提供する会社として事業領域拡大を目指し、M&Aによる教育・研究機関を対象にしたデータアナリティクス事業への参入、受託開発における事業領域拡大と着実に実績を積み上げている。2022年6月に立ち上げた製造業向けB2Bビジネスプラットフォーム「HEXAGON」の運営、2023年11月に北九州市と連携し、研究開発・ビジネス拠点「北九州ビジネスイノベーションセンター」を開設するなど新たな事業機会の創出に向けた積極的な取り組みも進めている。「HEXAGON」の賛同企業・団体は2023年5月の46から直近で79まで拡大した。引き続きM&A、資本提携などに積極的に取り組んでおり、2027年3月期の数値目標達成の蓋然性は一段と高まっていると評価したい。

■Key Points
・2社続けてのM&Aにより成長・事業基盤を強化
・2024年3月期の売上高は前期比約1.8倍、営業利益は大幅改善し黒字化
・2025年3月期は人材・研究開発投資、子会社間の事業連携を進め増収・減益予想

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)

《HN》

 提供:フィスコ

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