ポラリスHD Research Memo(7):新たに2027年3月期を最終年度とする3ヶ年の新中期経営計画を発表
■成長戦略
1. 新中期経営計画の概要
ポラリス・ホールディングス<3010>は、これまでの「成長戦略プラン」の対象期間が終了したのを機に、新たに2027年3月期を最終年度とする3ヶ年の新中経を発表した。新たな経営理念としては、「変革・創造・挑戦」を掲げ、コロナ禍中の“守り”から“攻め”の経営姿勢へのシフトし、第二の創業の意気込みを宣言した。また長期ビジョンは、「ホテルオペレーターのTop Tierとしてステークホルダーから選ばれる企業へ」とし、顧客、従業員、投資家・オーナーからの視点を強調している。
2027年3月期の定量財務目標としては、連結売上高で250億円、連結営業利益で29億円、連結当期利益で25億円、ROEで15%、営業利益平均成長率で30%を目指す。2024年3月期には一時的に不動産売却益などの貢献で新中計目標を超えた指標もあったが、新中計では安定した成長による目標の達成を目指す。その他のKPIとしては、運営客室数10,000室、運営ホテル数60店舗、配当性向30%とした。株主還元に関しては、2025年3月期の復配(年3円、配当性向25.3%)を実現したうえで、財務体質の安定性を維持しつつ株主価値に配慮した施策を実施したい考えだ。
2. 成長ドライバー1:ホテル店舗数及び運営客室数の増大
新中計の中では2026年3月期にホテル店舗数51店舗、最終年度の2027年3月期にホテル店舗数60店舗、運営客室数10,000室を計画する。同社の最大の強みは、スターアジアグループのエコシステムの一員であることであり、これまでどおり、刻々と変動する資本市場及びホテルの需給環境のなかで、スポンサー・私募ファンドやリートの連携の中から機動的に商機をつかみ、運営するホテルの規模を拡大したい考えだ。“守り”の時期には運営委託型の契約を中心としてきたが、今後は“攻め”に転じ、よりリターンが大きい変動賃料型、固定賃料型、自社保有の構成比を増やしていく。自社保有においては、スポンサーとの共同投資やリートへのブリッジ機能提供など、グループでワンストップサービスを提供するなかでの重要な役割を同社は担う。
3. 成長ドライバー2:運営ホテルの収益力向上
新中計では利益の高い成長に焦点が当たっている。このために、同社では「レベニューマネジメント」や「効率的な運営手法」の徹底を進めている。「レベニューマネジメント」では本部の専門チームが現場、セールス、マーケティングチームと連携し、より精緻な管理を実践していく。またSNSなどを活用して主力のKOKO HOTELブランド強化やPRを行い認知度の向上を図る。「効率的な運営手法」では、飲食提供のアウトソーシングや立地特性を生かした人材マネジメントの効率化が計画されている。出店のドミナント戦略を前提にした近接ホテルでの人材の共通化やシフト効率化とマルチタスク化によるスタッフ数の最適化などが検討され、一部実行に移されている。その土台となるのは人財戦略である。新中計では従業員からも選ばれる企業となるべく、フレキシブルな採用方法、多様なキャリアパスに対応した育成プログラム、様々な従業員満足度(ES)向上施策などを行い、人財確保及び人材活用を強化する計画である。
4. 国内ホテル39店舗を運営するミナシア社への共同出資を発表
2024年6月、日本国内で39棟のホテルを運営する(株)ミナシアの全株式を取得するために設立した特別目的会社である合同会社Corridaに対し、同社スポンサーであるスターアジアグループと共同出資を行った。(株)ミナシアは、全国の主要都市で39店舗5,180室のリミテッドサービスホテルを運営するホテル運営会社であり、30年以上の歴史と高い認知度を有する「ウィングインターナショナル」や2020年に新しく立ち上げた「テンザホテル」ブランド等を冠したリミテッドサービスホテルを展開するホテル及びレストランの運営会社である。また(株)ミナシアは、独自のロイヤリティプログラムを持ちリピーターゲストが多い点や地域の特色を活かしてホテル内外でレストラン事業を展開いる点などに特長がある。(株)ミナシア社と同社の事業は類似性及び親和性が高く、成長において重要なファクターである規模の経済性追求が期待できる。同社(50棟、8,958室、運営客室数20位)と(株)ミナシア(39棟、5,180室、同27位)を合計すると、89棟、14,138室となり、国内オペレーター10位にランクインすることになる。なお、当社からの出資比率は5%未満であり、出資する新会社の業務執行の決定に関する権限を有するものではないため、子会社等の異動はない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
《HN》
提供:フィスコ