テラスカイ Research Memo(8):ソリューション事業は増収増益、製品事業は損失が継続(2)
■テラスカイ<3915>の業績動向
(2) 製品事業
製品事業の売上高は前期比10.5%増の1,684百万円、セグメント損失(営業損失)は190百万円(前期はセグメント損失138百万円)を計上した。売上高は2期ぶりの増収に転じたが、前期の減収は収益認識会計基準等の適用によるもので、実質は3期連続の増収となり、大型案件の貢献により過去最高売上を記録した2020年2月期の1,689百万円の水準にほぼ並んだ。サブスクリプション収入の売上構成比は2020年2月期の5割強から2024年2月期は9割強に上昇しており、金額ベースでは約2倍に拡大するなど順調に収益基盤の拡大が進んでいると言える。
売上高は「mitoco」が前期比11%増となるなど、全製品のサブスクリプション収入が増加した。「mitoco」については伸び率が前期の35%から鈍化したが、比較的規模の大きかった1件の解約があったことが影響したようで、新規契約は順調に獲得できている。勤怠管理や経費清算など「mitoco Work」の契約も着実に増加しているもようだ。
利益面では、「DataSpider Cloud」を自社単独サービス「mitoco X」とする費用(権利取得費用)や、Salesforceの大型イベント「Dreamforce2023」への参加費用、「mitoco ERP」のプロモーション費用などが発生したことにより損失が続いた。2023年9月より新クラウドサービスとして提供を開始した「mitoco ERP」は、従来の「mitoco」の機能に加えて新たにリリースした財務会計や今後開発する人事給与の機能を追加し、販売・購買・在庫管理システムの「Fujitsu GLOVIA OM」を統合したサービスとなる。クラウドERP業界のなかで中堅規模のSalesforceユーザー企業をメインターゲットとして拡販していく戦略だ。マーケティング・営業人員を新たに10数名採用し、人件費が約80百万円増加したほか、タクシー内動画広告を中心に広告宣伝費用20~30百万円を投下した。なお、子会社のエノキについては売上高で数千万円と小さいものの、「mitoco」のチャットボット機能である「mitocoアシスタント」を手掛けるなどしており、若干の営業利益を計上した。
2023年7月に同社はテクノスジャパン<3666>と資本業務提携契約を締結した。業務提携の内容は、テクノスジャパンが提供する企業間協調プラットフォーム「CBP」と同社の「mitoco」「Fuyjitus GLOVIA OM」を連携・開発することで付加価値の高いERP総合ソリューションの提供を両社で行うこと、両社の既存マーケットに対する営業、エンジニアの協業、北米市場においてテクノスジャパンの現地子会社を通じて、同社製品並びに連携ソリューションを販売、SAP関連事業を行うBeeXとテクノスジャパンとの協業体制構築の4点となる。なお、資本提携については、両社が相互の株式を1億円程度取得することで合意している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《HN》
提供:フィスコ