Mimaki Research Memo(11):ROEとROICを改善し、PER向上に取り組む
■中長期成長戦略
2. 資本コストと株価を意識した経営
ミマキエンジニアリング<6638>はこれまでの評価として、
1) PBRは1倍程度で不安定な推移、PERは市場に対して低位にある
2) 成長投資や株主還元が不十分で資本効率が悪いと見なされている
3) PBRの向上にはROEとPERの改善が重要
4) ROE改善には当期利益率の上昇と財務レバレッジの適正化が必要
5) 資本コストに対して低位にあるROICの改善も重要
6) 低PERは期待成長率、株主還元期待、利益の不安定性などが要因
と考えている。このため、取り組みの方向性として資本コストと株価を意識した経営を強化することで、各部門が成長と改善を追求してROEとROICを改善する一方で、本社主体でPERの向上に取り組むこととした。その対策として、
1) 「Mimaki V10」目標の達成による収益改善
2) 将来成長実現に向けた戦略的な投資
3) 在庫及び借入金の適正化による財務基盤の強化
4) 企業価値向上に資する役員報酬制度の導入
5) 株主還元方針に基づく安定的・継続的な配当
6) 投資家との対話促進による資本コストの低減
という6つの施策を推進する計画である。そのため、2025年3月期初に組織変更を行い、コーポレート機能を充実した。
具体的には、「Mimaki V10」目標の達成による収益改善では、資本収益性指標の分子の基となる営業利益の水準を引き上げ、資本コストと株価を意識した経営を実践する。将来成長実現に向けた戦略的な投資では、売上高比率7~8%の水準で研究開発投資を継続するとともに、事業拡大に備えて国内で開発・技術・生産機能強化に向けた設備投資を実施、持続的成長の要となる人的資本の確保・育成に向けた投資も強化する。在庫及び借入金の適正化による財務基盤の強化では、幅広い製品ラインナップを維持しつつ、全社プロジェクトで滞留在庫や不動在庫を一掃して在庫適正化を実現するとともに、サービスなど高付加価値ビジネスの販売比率を引き上げていく。また、在庫の適正化や売掛債権回収の早期化など運転資金を効率化することでキャッシュ・フローを改善して財務体質の強化と借入金の適正化を実現する一方、資本コストを意識して株主資本と借入金の最適バランスを保つ。
企業価値向上に資する役員報酬制度の導入では、コーポレート機能を充実するとともに、株主との価値共有を目的に中長期的な企業価値向上につながる役員報酬制度の導入を検討している。株主還元方針に基づく安定的・継続的な配当では、引き続き株主に対する利益還元を経営の重要政策と位置づけ、今後は業績の成長に見合った成果の配分を安定的かつ継続的に行っていくことを基本方針とする。投資家との対話促進による資本コストの低減では、決算説明会や会社説明会、取材対応、英文開示など従来のIR活動を着実に続けることに加え、機関投資家向けに国内スモールミーティングや海外オンラインミーティングを開催、会社説明会や英文開示も強化していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《SO》
提供:フィスコ