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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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9412 スカパーJ

東証P
833円
前日比
-6
-0.72%
PTS
835円
23:20 11/21
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.1 0.85 2.64 186
時価総額 2,480億円
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米中摩擦は新局面、G7危機共有の「経済安保」で覇道高予感の銘柄群 <株探トップ特集>


―警戒感強まる中国の「過剰生産問題」、産業競争力の強化と供給網再構築が急務に―

 中国の「過剰生産問題」が世界経済を混乱させる――。こうしたリスクを指摘する声が日増しに強まっている。中国側は自国景気のテコ入れに躍起になっているが、「デフレの輸出」による悪影響が世界全体に及ぶ恐れがあるだけに、西側諸国は自制を強く求めている。米国政府からは中国に対する追加関税が打ち出され、日本を含め主要7カ国(G7)は経済安全保障分野で協調する姿勢をみせている。日本政府も経済安保の観点から、自国産業の競争力の強化に向けた施策を相次いで打ち出しており、新たな需要を補捉した企業の株価は上昇圧力が強まりやすい状況にある。

●太陽光パネル・EVで悪影響表面化

 不動産市況の低迷にあえぐ中国が景気浮揚の手段として、製造業の過剰生産能力を活用した輸出拡大策に舵を切り始めた。電気自動車(EV)や太陽光パネルの関連業界、鉄鋼業界ではすでに悪影響が表面化しており、EVメーカーのテスラ<TSLA>は中国メーカーとの価格競争を余儀なくされ、欧州では太陽光パネルメーカーの在庫が積み上がった状況となっている。

 5月下旬に開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議では、中国の過剰生産問題に関して懸念が示され、共同声明では「世界貿易機関(WTO)の原則に沿って、公平な競争条件を確保するための措置を講じることを検討する」との文言が加わった。中国政府は共同声明で指摘された過剰生産の問題に関し、事実を歪曲していると反発。西側諸国との対立構図が一段と浮き彫りとなっている。

 これに先立ち、米国のバイデン政権は5月14日、中国製のEVや太陽光パネル、鉄鋼製品などについて、関税を引き上げると発表。EVへの関税については25%から100%に見直す方針が示された。大統領選でライバルとなるトランプ氏も、中国からの輸入品に対し60%超の関税を課す構えをみせている。自国企業へのダメージが次々と明るみに出るようなら、次期大統領がトランプ氏であれバイデン氏であれ、中国への強硬姿勢を一段と強める公算が大きい。

●供給網再構築でグローバルサウス諸国と連携強化へ

 EU(欧州連合)もこのほど、中国製のEVに対する関税を引き上げる方針を公表したが、これらの措置と並行して、西側諸国はインドやブラジル、南アフリカなど「グローバルサウス」諸国と連携し、中国に依存しないサプライチェーンの構築に取り組んでいる。日本政府も経済安保の観点から、グローバルサウス諸国に進出する日本企業への支援の強化や、政府開発援助(ODA)の拡充に向けた施策の検討を進めている。

 更に、日本政府は自国の防衛力や産業の競争力を維持すべく、補助金などを通じ AI 半導体、次世代電池、宇宙関連など先端領域に携わる企業の生産・研究活動を支援する動きを活発化させている。例えば、「政府クラウド」の提供事業者となったさくらインターネット <3778> [東証P]にAI開発用スーパーコンピューターの整備費用の一部を補助するほか、半導体の安定調達に向けてルネサスエレクトロニクス <6723> [東証P]やキヤノン <7751> [東証P]、SUMCO <3436> [東証P]、レゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]など関連企業への支援と事業環境の整備に動いている。

 重要物資や先端技術に関連する企業に対して、政府が重点的にリソースを配分する流れは不可逆的なものとなりつつある。エネルギー資源の確保も経済安保上、対策が不可欠な分野であるのは言うまでもないだろう。このほか、今後はグローバルサウス諸国との連携強化に伴うインフラ整備に関連する需要の拡大が期待されるうえ、知的財産の保護やセキュリティークリアランスに絡んだサービスを展開する企業も商機が広がると予想される。これらの観点で、株価に浮揚力が働くと期待される銘柄をピックアップしていく。

●「経済安保」関連で要注目の7銘柄

◎三井海洋開発 <6269> [東証P]

 資源確保の面において、同社は「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレート開発で中核的な立場にあり、浮体生産設備の設計・オペレーションとともに採掘・揚収作業でのノウハウを蓄積している。南鳥島周辺で発見されたレアアース泥の採掘時にも同社の技術力が発揮される公算が大きい。日本周辺以外にも、グローバルサウス諸国と日本が連携を強化しようとする足もとの潮流は、洋上風力発電分野を含めて新規の受注拡大に寄与しそうだ。5月に三井E&S <7003> [東証P]による株式の売り出しを発表し、需給悪化の懸念で株価に下押し圧力が掛かったものの、調整を経てエントリーポイントが到来したとみることもできる。

◎スカパーJSATホールディングス <9412> [東証P]

 CS放送のイメージが強い同社だが、利益の大半を稼ぐのは通信衛星を活用した宇宙事業であり、今後は安保分野への取り組みを強化して、同事業で一段の成長を図る構えだ。25年3月期の最終利益は過去最高だった前期を上回る見込み。また、NTT <9432> [東証P]と設立した合弁会社のSpace Compassは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「経済安全保障重要技術育成プログラム」のうち、衛星コンステレーションの基盤技術の開発・実証活動に代表企業として参画している。株価は3月までの騰勢に一服感が出ているが、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回った状況にあるのは注目ポイントだ。

◎マクセル <6810> [東証P]

 経済安全保障推進法に基づき蓄電池は半導体とともに「特定重要物資」と位置付けられている。マクセルが開発した全固体電池は小型で高出力かつ長寿命という特長を持つ。将来的には医療機器やウェアラブルデバイス、先進運転支援システム(ADAS)での車載センサーのバックアップ電源用途などでの採用拡大が期待されており、日本の製造業の競争力を高めるうえで重要な役割を担う企業とみられている。株価は5月以降、騰勢を強めたが、それでもPBRは0.9倍台。2017年につけた上場来高値2817円からみて1800円台で推移する株価にはなお修正余地が見込めそうだ。

◎FRONTEO <2158> [東証G]

 AIを活用した訴訟の証拠開示支援サービスを手掛ける同社は、経済安保領域でも事業展開を加速し、サプライチェーン解析ソリューションを手掛ける。取引先の調達先をたどって、海外政府当局の制裁リストの対象企業の有無などを把握するといったニーズに合致するソリューションで、政府から経済安保上の対策を迫られる企業による更なる引き合いの増加に期待が膨らむ。株価は21年の水準から大きく切り下がり600円台で推移しているが、業績の底入れの兆しが鮮明となれば、見直し買いを集めて反騰攻勢を強めそうだ。

◎FFRIセキュリティ <3692> [東証G]

 純国産のサイバーセキュリティー対策製品を開発・販売する。NTT傘下のNTTコミュニケーションズとの合弁会社を通じ、高度セキュリティー人材の育成などにも注力している。政府による防衛予算の増額そのものは同社の事業に追い風となるとされ、業績を順調に伸ばしている。25年3月期の最終利益予想は連続最高益の計画ながら増益率は0.2%にとどまり、やや物足りないとの印象から株価は押し目を形成したが、200日移動平均線は上向きを維持している。

◎フィックスターズ <3687> [東証P]

 ソフトウェアの高速化に向けた技術を持ち、量子コンピューティングクラウド事業などを展開。コンテナ型水冷データセンターも今年10月に稼働させる予定とあって、AI時代に求められる超高速データ処理の関連領域で絶好のポジショニングにある。さくらネットのGPUクラウド上での大規模言語モデル(LLM)の開発環境の高速化に向けて、同社と共同研究開発にも臨んでいる。成長期待の高さゆえPER(株価収益率)は40倍台。金利上昇時のバリュー株選好の流れが強まった局面では逆風が吹くものの、直近で25日移動平均線を上抜けて株価に底入れの兆しがみえつつある。24年9月期の最終利益は連続最高益更新を計画する。

◎東京エネシス <1945> [東証P]

 発電所設備関連のエンジニアリングを展開。経済安保の観点でグローバルサウスとの連携が今後深まるとみられるなか、温室効果ガスの削減につながる小型原子力発電所を海外で設置し、現地での脱炭素化を支援する機運が高まるとの期待は根強い。日本国内での原発の再稼働に加え、日本企業が関与する形での小型原発の海外での導入シナリオが現実味を帯びるようになった場合、同社の技術的なノウハウの活用に期待が膨らむ。PBRは0.6倍台と資本効率の向上に向けた新たな一手が出るか注目されるほか、配当利回りは4%近辺と投資妙味を感じさせる。

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