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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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8007 高島

東証P
1,215円
前日比
+16
+1.33%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.0 0.86 6.58 34.72
時価総額 210億円
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高島 Research Memo(8):プライム上場維持基準の全項目を1年前倒しで充足(2)


■中長期の成長戦略

2. 上場維持基準の適合に向けた取り組みと進捗状況
高島<8007>は、2026年3月期末までにプライム市場の上場維持基準を充たすことを目標に、これまでの堅実経営から、戦略的投資を実行することで持続的成長企業への転換を志向してきた。2022年11月に続き、2023年12月には同計画書の数値目標を再度上方修正し、2026年3月期までに親会社株主に帰属する当期純利益19億円(当初予想比4億円増)、ROE8.0%以上、ROIC6.0%以上、流通株式時価総額100億円以上、1日平均売買代金2,000万円以上を目標として掲げた。また、上場維持基準の経過措置終了時期が2025年3月末に決定したことを受け、2023年5月には流通株式時価総額基準の達成を2025年3月末に前倒しすることを決定している。既述のとおり、中期経営計画を土台として、資本コストを意識した成長戦略を着実に推進してきたことにより、上場維持基準に関してはすべての項目への充足を1年前倒しで完了している。今後も引き続き、「資本配分方針」「投資リターンを伴う持続的な利益成長」「株主還元策の充実」「IR体制の確立」「コーポレートガバナンス・コードへの対応」の観点から資本収益性の向上と企業価値の増大に注力していく方針だ。

(1) 資本配分方針・投資リターンを伴う持続的な利益成長・株主還元策の充実
これまでの事業活動の結果、財務基盤は安定していることから、有利子負債などの外部資金を活用した投資を実行し、利益創出と株主還元の充実を図る。具体的には、投資枠として150億円を確保している。ROICを意識しながら戦略領域(将来投資事業及び基盤拡大注力事業)を中心に設備、人財、ITシステムなどへの投資、各事業の周辺領域及び機能強化のM&Aに資金を振り向け、事業構造改革とカーボンニュートラル社会到来を見据えたビジネスチャンスへの戦略的アプローチを行っていく方針だ。この方針に基づき、2022年4月に(株)日産ユーズドカーセンターと連携し、中古EV、V2Hの販売において協業を開始している。2022年12月には、新エネルギー流通システム及び信防エディックスを子会社化した。また、直近では2023年6月、岩水開発を子会社化している。岩水開発は、創業から60年近い歴史を有し、底堅い市場推移が見込まれる住宅市場及び安定した成長が見込まれる非住宅市場の基礎補強・地盤改良分野において、高い専門性に基づくハイレベルな技術・サービスを軸として、岡山県をはじめとする中四国地方を中心にリーディングカンパニーの地位を確立している企業である。同企業の買収によって、中期経営計画「サステナV(バリュー)」で建材セグメントの基盤拡大注力事業として定める大型物流倉庫の地盤改良工事などの分野をはじめとして、協業によるシナジー効果を創出していく構えだ。2024年3月期通期においてもこれらのM&A先企業が業績の拡大に寄与しており、戦略領域でのM&A実行がトップラインの成長と収益性の向上に結実していることが窺える。

株主還元では、2023年3月期より中間配当を実施しているほか、連結配当性向40%以上、機動的な自己株式の取得・消却の実施、総還元額の下限設定(5億円)により、総還元性向50%を目指している。この方針の下、2024年3月期の株主還元実績は、総還元性向40.4%、連結配当性向22.0%となった。総還元性向と連結配当性向が目標値を下回る結果となったものの、これは2024年1月に実施した固定資産の譲渡に伴い特別利益を計上したことが要因であり、同社の株主還元を重視する姿勢に変わりはない。実際、2023年12月には総額800百万円を上限に自己株式の取得を決議しており、2024年5月8日をもって取得を完了している。

(2) IR体制の確立
IR体制の確立としては、機関投資家(特に中小型株・バリュー投資型アクティブファンド)・アナリストを対象に、「資本市場での認知度向上」「投資家の理解促進」「適正な株価形成」「適正な株主構成形成」を目的にコミュニケーションの質と量を充実させていく。2022年1月にIR・広報ユニットを新設し、投資家向けミーティングの開催や投資家向けイベントへの参加などを実施している。また、2022年3月期より決算短信、決算説明資料、統合報告書を日本語と英語で開示しているほか、2022年6月にはホームページをリニューアルした。個人投資家に対するコミュニケーションも強化しており、各種オンラインセミナーなどに参加し、会社説明を行っている。

(3) コーポレートガバナンス・コードへの対応
日本取引所グループが2021年11月に実施したコーポレートガバナンス・コードの改訂に併せて、同社は積極的な対応を行っている。「サステナの先進商社」として省エネ化・省力化をキーワードに事業を展開しているほか、持続可能な開発目標(SDGs)に対応した経営をさらに進化させるべく、2022年1月に「サステナビリティ委員会」を設置した。また、SDGsの各目標と自社の事業との関連付けや、気候変動に係るリスク及び収益機会が同社事業に与える影響をTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に準拠した形で開示する方針を掲げており、2022年6月発行の統合報告書で開示している。このほか、議決権電子行使プラットフォームの導入、各種開示資料の英文開示も始めている。政策保有株式については、保有する合理性がない、または保有する意義が希薄化した銘柄については速やかに売却することを基本方針として掲げ、積極的な売却を実施している。純資産比率10.0%未満の水準へ政策保有株式を縮減していく方針だ。さらに2023年12月には、中期経営計画の更新に合わせて、資本コストと株価を意識した経営をさらに強力に推し進めることを新たに追記している。なお、政策保有株式の純資産比率に関しては、2024年3月期末時点において10.0%未満は未達であるものの、おおむね目標どおりの水準となっている。これは、株式市場全体が上昇基調をたどるなかで、同社が保有する株式の価格も上昇していることが要因だ。政策保有株式を縮減し、資本生産性を向上させる方針に変わりはなく、今後も縮減に取り組んでいく。

これらの活動を確実に実行してきた結果、2024年3月31日時点において流通株式数109,247単位、流通株式時価総額143.7億円、流通株式比率61.5%、1日平均売買代金7,180百万円(2023年12月31日時点)となった。すべての項目に関して基準を充足した形だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《HN》

 提供:フィスコ

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