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5262 日本ヒューム

東証P
1,285円
前日比
+13
+1.02%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.5 0.73 2.96 21.59
時価総額 377億円
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豪雨シーズン突入、「防災・減災関連株」押し寄せる投資マネーの行先 <株探トップ特集>


―激甚化する自然災害、待ったなしの国土強靱化で改めて関連株を点検―

 日本列島が梅雨入りした。5月21日、沖縄地方・奄美地方が早くも梅雨を迎え、もうすぐ本州にも本格的な大雨の季節が訪れる。今月2日には、東京都でもゲリラ豪雨が発生し、23区で今年初となる大雨警報が出た。河川の氾濫など自然災害に警戒が必要になるが、かつて豪雨被害と言えば秋の 台風シーズンの代名詞だった。しかし、気候変動の影響から近年では梅雨入りから7月にかけても甚大な被害をもたらす自然災害が頻繁に発生するようになった。こうしたなか、東京都知事選挙が20日の告示を経て、投票日に向け火ぶたを切ることになるが、直下型巨大地震の発生が危惧される首都・東京なだけに、ここでも大きな争点のひとつとして「防災・減災」対策が浮上する可能性がある。きょう午前6時半ごろには、能登半島で震度5強の揺れを観測している。「防災・減災」関連株を点検した。

●過去10年で98%の市町村が水害土砂災害

 地球温暖化による気候変動の影響は、日本列島にも大型の台風や豪雨による河川の氾濫や堤防の決壊、土砂災害など災害リスクを増大させている。かつて水害といえば、9~10月の台風シーズンがすぐに思い浮かんだものだが、いまや6月から7月にかけても豪雨などによる大規模水害が頻発する状況となっている。

 記憶に新しい「令和2年7月豪雨」では九州で記録的な大雨となり、熊本県の球磨川流域でも河川の氾濫が相次ぎ多くの死者・行方不明者を出した。また、2021年7月には東海地方・関東地方南部を中心に大雨が降り、静岡県熱海市で土石流が発生し大きな被害を出している。昨年も同時期に台風などによる大規模水害、土砂災害が日本各地で発生し甚大な被害を生むこととなった。国土交通省の「河川事業概要2024」によれば、過去10年間に約98%の市町村で水害土砂災害が発生したとしており、災害対策は喫緊の課題となっている。

●かつては「電線地中化」関連に思惑買いも

 もちろん台風シーズン本番の秋口での被害は大きい。19年9月には、台風15号が関東に上陸し千葉県や神奈川県を中心に大規模停電が発生。電気や水道の供給がストップしたことで大規模な混乱を招き社会生活に大きな影響を及ぼした。強風で電柱の倒壊も相次いだ。こうしたなか、豪雨による2次災害を引き起こしやすい電柱の撤去が急務であるという思惑から、株式市場では共同溝などコンクリート2次製品を手掛けるイトーヨーギョー <5287> [東証S]をはじめいわゆる「電線地中化」関連株に関心が向かった。

 今回の東京都知事選挙では、いまだ出馬を明らかにしていない小池百合子都知事だが、電線地中化関連株は同氏関連株として広く知られている。前回の東京都知事選挙は小池氏が圧勝する形で再選されたが、開票日翌日の株式市場では、注力している無電柱化政策を改めて買う流れとなった。イトヨーギョが急伸したほか、同業のベルテクスコーポレーション <5290> [東証S]、電力鉄塔大手の那須電機鉄工 <5922> [東証S]などにも思惑買いが向かった。同関連株としては、コンクリート2次製品を手掛ける日本ヒューム <5262> [東証P]、建設コンサルタントのオオバ <9765> [東証P]、いわゆる電線御三家の古河電気工業 <5801> [東証P]、住友電気工業 <5802> [東証P]、フジクラ <5803> [東証P]などが挙げられる。

 水害だけではない。日本は地震大国でもあり、高い確率での南海トラフ地震、首都直下型地震などの発生が予測されている。年初には、能登半島地震も起きており甚大な被害を出した。けさも復旧半ばの能登半島で、震度5強の地震が発生している。防災・減災に向けた取り組みは待ったなしの状況だ。

●強調展開続くNJS

 NJS <2325> [東証P]の株価が強調展開を続けている。同社は、上下水道コンサルを中心に、さまざまな防災・減災対策を手掛けており、上下水道施設をメインに、地震や浸水、津波対策の策定や、ICTと浸水シミュレーション技術を活用したリアルタイム浸水対策システムなどを提供。能登半島地震においても、多くの上下水道施設の被害調査と復旧設計を実施するなど、インフラの再構築に向けた調査・設計業務、災害対策業務に取り組む。株価は最高値圏を舞うものの過熱感には乏しく、今後の展開からは目が離せない。業績も好調だ。5月13日に発表した24年12月期第1四半期の連結営業利益は、前年同期比73.3%増の27億600万円となり、通期計画(前期比42.1%増)の23億円をすでに上回っている。

●応用地質、防災・減災支援業務が好調

 地質調査大手の応用地質 <9755> [東証P]は、最先端のAIやIoT、地盤3次元化技術などを駆使し、さまざまな防災・減災ソリューションを提供している。公共投資の比率も大きく、国や自治体の防災計画に係る地震・津波・火災などの被害予測、防災計画の策定支援なども手掛ける。4月には、豪雨による土砂災害の予防保全などを目的に、地盤表層の傾きを計測する表層傾斜計「クリノポール NEO」を発売した。5月14日に発表した24年12月期第1四半期連結決算は、営業利益が前年同期比61.4%増の20億1700万円で着地。通期計画35億円(前期比23.2%増)に対する進捗率は57.6%となった。自然災害に対する防災・減災支援関連業務や、洋上風力発電関連事業が大型案件の受注も含め好調に推移した。株価は上昇継続で、連日の年初来高値更新となっている。

●技研製は採用案件が順調推移

 杭圧入引抜機トップの技研製作所 <6289> [東証P]は、被災時の堤防の損壊を防ぐ「インプラント堤防」を手掛け、河川氾濫対策関連として注目度が高い。同堤防は、鋼矢板や鋼管杭など剛性の高い許容構造部材を地中に連続して打ち込み、地震による液状化、地盤沈下、側方流動や津波、巨大台風などに粘り強く耐え、堤防機能を維持する。災害復旧・復興事業や防災・減災対策、 国土強靱化関係を中心にインプラント工法の普及拡大に取り組んだ結果、採用案件数は順調に推移しているという。24年8月期上期の連結営業利益は、前年同期比12.6%増の24億1700万円で着地。通期計画の33億円(前期比10.6%増)に対する進捗率は73.2%に達している。株価は下値模索の展開が続くが、じわり値ごろ感も。

●上値指向を継続する日基技

 日本基礎技術 <1914> [東証S]は基礎工事の大手で、地盤改良や地すべり対策工事に強みを持ち、防災・減災分野でも力を発揮している。地震や台風などによる地盤の液状化や斜面崩壊、洪水や土砂崩れといった自然災害に対し、多目的な防災技術・新工法を数多く開発している点も見逃せない。25年3月期の連結営業利益は、前期比38.3%増の14億円を計画。4期連続の増益となる見通しだ。株価は、きょうも上値指向を継続しており、新値追いとなっている。

●ヤマックス、大豊建、いであにも注目

 コンクリート2次製品メーカーで九州最大手のヤマックス <5285> [東証S]だが、自然災害への対応を強化し、国や自治体の国土強靱化計画に基づく防災・減災対策分野でも活躍の場を広げている。また、同社の本社所在地である熊本県では、半導体関連産業の集積に伴う産業用地の整備や周辺の道路整備などの公共事業投資、関連産業の民間設備投資が急増している点も注目ポイントだ。こうしたなか、大型案件の受注獲得に向けて攻勢を強めている。25年3月期の連結営業利益は、前期比9.6%増の20億円を計画しており、過去最高益を更新する見込みだ。

 大豊建設 <1822> [東証S]は、シールド工法や無人化掘削工法で大型土木工事に強みを持つが、こうした高い技術力を生かし雨水貯留施設を手掛ける。気候変動の影響は異常気象につながり、局所的な集中豪雨に加え、急速な都市化にともなう雨水の浸透量減少が原因の「都市型水害」が全国で頻発。浸水対策として、雨水を一時的に貯水する雨水貯留施設の必要性が高まっているだけに、目を配っておきたい。24年3月期の連結営業利益は、特定の国内土木工事で採算悪化が見込まれたことから、工事損失引当金を計上したため大幅な減益となったが、続く25年3月期の同利益は大きく回復する見通しだ。

 いであ <9768> [東証S]は建設コンサルに加え環境コンサルを主体としており、国土強靱化に向けたムーブメントが活発化するなか、ハードとソフト一体となった流域治水対策、防災・減災対策で一層の活躍期待が膨らむ。24年12月期の連結営業利益は、前期比11.1%増の31億円を見込む。第1四半期の同利益は前年同期比12.7%増の12億4500万円と順調なスタートとなった。

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