C&R社 Research Memo(1):AI/DX分野等で2025年2月期も過去最高業績の更新を目指す
■要約
クリーク・アンド・リバー社<4763>は、プロフェッショナル(専門職)のエージェンシーとして、プロデュース事業(開発・請負)、エージェンシー事業(派遣・紹介)、ライツマネジメント事業(知的財産の企画開発・流通)の3つの事業を、クリエイティブ分野(テレビ・映画、ゲーム、Web、広告・出版等)や医療、会計、法曹など様々な分野で展開している。プロフェッショナル人材のネットワークはグループ全体で39万人超、顧客数は5万社を数える。
1. 2024年2月期の業績概要
2024年2月期の連結業績は、売上高で前期比12.9%増の49,799百万円、営業利益で同3.7%増の4,103百万円と過去最高を連続更新した。前期の収益に貢献した新型コロナウイルスワクチン接種案件の一巡や積極的な人材投資に伴う人件費増、並びに新設子会社の立ち上げ負担増があったものの、増収効果でカバーした。会社計画(売上高50,000百万円、営業利益4,500百万円)に対して利益面で未達となったのは、新卒社員の稼働時期が想定よりもやや遅れたことやゲーム、Web分野の収益性低下に加え、一部子会社で予定したプロジェクトの検収時期が先送りされたことが影響した。
2. 2025年2月期業績見通し
2025年2月期の連結業績は、売上高で前期比10.4%増の55,000百万円、営業利益で同17.0%増の4,800百万円と増収増益を見込んでおり、過去最高業績の更新を目指す。主力のクリエイティブ分野(日本)が引き続きけん引するほか、先行投資段階であった子会社の収益改善も進む見通しである。特に需要が旺盛なAI/DX分野に注力するほか、円安メリットを生かして海外のゲーム開発市場の開拓を本格的に進める。2025年2月期の売上目標は数億円規模だが、海外売上を拡大したい考えで、今後の収益貢献が期待される。第1四半期は新卒社員の人件費や教育費の負担増等で若干の減益を想定しているが、第2四半期以降はこれら人材が戦力化することで増益基調に転じる見通しである。
3. 中期経営計画
同社は、「プロフェッショナル分野のさらなる拡大」「新規サービスの創出」「経営人材の創出」「コーポレート・ガバナンスの強化」を重点施策として取り組み、2026年2月期に売上高605億円、営業利益56.5億円を目標として掲げている。プロフェッショナル分野はM&Aも活用しながら現在の18分野から将来的に50分野まで拡大していく。AI/DX分野に加えてXR(VR/AR/MR)など先進技術を活用した新規サービスならびにプロフェッショナル人材の育成をM&Aも活用しながら強化しており、今後の成長が期待される状況となってきている。プロフェッショナル分野の領域拡大と人材ネットワークの拡大並びに新規サービスを育成していくことで、長期目標である売上高1,000億円、営業利益100億円の達成も視野に入ってくると思われる。なお、2025年2月期の1株当たり配当金は配当方針30%以上を目安に、前期比2.0円増配の43.0円(配当性向30.5%)と14期連続増配を予定している。また、自己株式取得についても適宜検討しており、直近では2024年4月12日から8月31日までの期間で取得株数30万株、取得総額500百万円を上限に実施することを発表している。
■Key Points
・2024年2月期は売上高、営業利益、経常利益で過去最高を連続更新
・AI/DX分野に注力し2025年2月期は2ケタ増収増益と過去最高業績の更新を目指す
・2026年2月期の業績目標は売上高605億円、営業利益56.5億円と当初計画を維持
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《SO》
提供:フィスコ