TKP Research Memo(8):貸会議室事業と宿泊事業を2本柱として本格的に成長軌道に回帰させていく計画(1)
■中期経営計画
ティーケーピー<3479>は、リージャス事業の売却に踏み切ったことや貸会議室・宿泊需要の回復が進んできたこと、仕入れ環境も追い風に向かっていることを踏まえ、アフターコロナを見据えた中期経営計画(3ヶ年)を2023年4月に公表し2年目を迎えている。
1. 基本方針
1) 貸会議室の床面積を積極拡大しながら周辺事業を取り込み、シェア拡大と対象市場の拡張を図る、2) 経営効率の最適化を推進し、過去最高の利益を達成する、3) 積極性と合理性のバランスがとれた成長投資を柔軟に実施し、中長期的な企業価値向上への投資機会を逃さない、を基本方針に掲げ、貸会議室事業と宿泊事業を2本柱として本格的に成長軌道に回帰させていく計画である。
2. 環境認識
事業環境は仕入面並びに需要面ともに追い風である。特に仕入面ではコロナ禍でオフィスの流動性が高まるなか、2023年は東京におけるオフィス新規供給面積が過去5年間で2020年に次いで多い1年となった。賃貸オフィスマーケットは安定推移しており、空室率の変動はわずかに留まった。経済活動の再開後、オフィスの在り方の変化やオフィス再編の動きが需要を下支えしたとの見方もある。今後4年間の年平均供給量も一定の水準が見込まれており、言うまでもなくオフィス市況の軟化は同社にとって絶好の仕入れ機会となる。一方、需要面でも、貸会議室や懇親会の回復に加え、都心のスペースをフレキシブルに活用する動きは様々な分野で広がっている(例えば、職住融合を見据えた居住空間や商業・レジャー施設など)。そのような環境下、貸会議室事業には競合先も存在するが、圧倒的な規模で全国に幅広いネットワークを展開しているのは同社のみであることに加え、豊富な周辺サービスや柔軟なオペレーションが差別化要因となっており、特に大企業が全国で会場を一括手配する際には、同社が唯一の選択肢となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《HN》
提供:フィスコ