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6855 日本電子材料

東証S
2,069円
前日比
-21
-1.00%
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
10.9 0.99 2.66 55.14
時価総額 262億円

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株価変貌の初動につけ! 先端半導体「HBM」で化ける最強6銘柄 <株探トップ特集>


―生成AI市場急拡大でにわかに脚光、GPUとともに新たな成長のステージへ―

 東京株式市場では5月に入ってから日経平均株価が一進一退、3万8000円台での往来を繰り返している。方向感の定まらない地合いが続いているが、5日・25日・75日移動平均線がいずれも3万8000円台半ばで収れんする動きにあり、もみ合い圏離脱の機は熟しつつある。世界の株式市場に目を向ければ5月は総じて強気相場が繰り広げられており、欧州や米国では軒並み主要株価指数が史上最高値を更新するなどリスクオンを強く印象づける。相対的に出遅れる日本株のキャッチアップが期待されるところだ。

 3月決算企業の決算発表が概ね終了し、ここからは再びテーマ買いの動きが復活しそうだ。米国株市場ではNYダウに先立ってナスダック総合株価指数が最高値を更新したが、その原動力となったのはエヌビディア<NVDA>を筆頭とする半導体主力株の一角。生成AI市場の拡大はとどまることを知らず、それに付随してAI用半導体が爆需を発生させ関連銘柄の株価を強く刺激している。AI用半導体では超高速の特殊メモリーである「HBM」が存在感を高め、ここにきてがぜん輝きを増してきた。新たな成長シナリオ創出への期待を背景に、東京市場でも同関連株に投資マネーの本格攻勢が近い。

●超高速DRAM技術を代表するHBM

 HBMとは「High Bandwidth Memory」の頭文字をとったもので超高速DRAM技術を代表するデバイスとしてマーケットの視線を集めている。今から10年ほど前に 半導体市場で注目され始め、これまでに第1世代(HBM)、第2世代(HBM2)、第3世代(HBM2E)と進化の過程をたどり、現在の主戦場となっている「HBM3」は第4世代である。更に次の第5世代である「HBM3E」では世界の大手半導体メーカーが主導権を握るべく鎬(しのぎ)を削っている状況だ。

 HBM市場で首位を走るのが韓国のSKハイニックスで、これを猛追しているのが同じく韓国のサムスン電子。この2社が双璧であり、このほかではSKとサムスンの後塵を拝しているものの、米半導体メモリー大手マイクロン・テクノロジー<MU>が3番手として同分野での展開を強めている。HBMの市場規模は一部調査機関によると2024年時点では25億ドル(約3880億円)と推定されるが、29年までに80億ドル(約1兆2400億円)弱に達するとも予測されており、周辺企業も含めると半導体産業全体への経済効果は非常に大きなものとなる。

●生成AI市場拡大で強烈なニーズ発現

 では、HBMが今なぜ耳目を集めているのか。それは 生成AIの爆発的な普及が影響している。まず、生成AI市場の拡大によってデータセンター増設需要が喚起されているが、これは正確には生成AI利用に際してデータセンター内のAIサーバーを経由する必要がある、ということである。我々が目にする生成AIは、サーバー上で質問に対する回答を導き出すためにデータ(質問内容)に含有される特徴やパターンをディープラーニングして、そこで得たデータを基点に新たな情報コンテンツを生成するという手順を踏んでいる。

 ディープラーニングではいうまでもなく大量のデータを高速処理する必要があり、その際に複数の計算を高速かつ並列で行うことができる画像処理半導体(GPU)が脚光を浴びた。GPUで圧倒的商品シェアを有するエヌビディアが業績を変貌させ、一躍株式市場でもスターダムにのし上がる背景となった。このGPUがディープラーニングを実行している最中、それを一時的に記憶するデバイスが必須となり、その役割を担うのがHBMである。いわばGPUとHBMはセットでニーズが発生し、実際にも並列隣接させる形で一緒にパッケージングされる。「GPUの需要が伸びれば、そのままHBMの需要にも連動する仕組み」(中堅証券アナリスト)である。

●半導体製造装置や半導体材料は日本のお家芸

 HBM自体は韓国勢が現在圧倒的なシェアを握っているが、高性能化のプロセスにおいてビジネスチャンスはその周辺企業にも加速度的に広がっている。特に日本は半導体製造装置や半導体材料で世界でも存在感を放つ企業の宝庫であり、HBMは新たな成長のキーワードとして認知される可能性が十分にある。一例を挙げれば、HBMはTSV(シリコン貫通電極)と呼ばれる技術を使用した高密度配線と垂直方向のメモリー積層によって作られるが、その際にウエハーとウエハーを接合するボンディング装置が必要となり、同装置は東京エレクトロン <8035> [東証P]が世界シェアの過半を占めている。

 近年では、「東エレクのボンディング装置の供給が需要に追い付かず、HBMが払底したケースもあった。また、ディスコ <6146> [東証P]のグラインダー(ウエハーの底面を削る装置)も精密加工が必要なHBMでは必須商品で引き合いが強い」(中堅証券アナリスト)という。裏を返せば日本の製造装置メーカーはHBM特需を満喫できるポジションにある。

 当然ながら、このほかにも日本ではニッチトップの実力を持つ半導体関連企業がひしめいている。今回のトップ特集では、生成AI市場の拡大とともににわかにクローズアップされているHBM関連として活躍機会が見込まれ、株価の居どころも大きく変える可能性を秘めた有望株6銘柄をエントリーした。

●業績も株価も飛躍期待のHBM関連6銘柄

◎アドバンテスト <6857> [東証P]

 アドテストは半導体テスター(検査装置)で世界屈指の存在であり、DRAM向けでは世界トップシェアを誇る。米エヌビディアとは創業時から取引関係を築き上げ、エヌビディアが製造するGPU向け納入実績で群を抜いている。半導体メーカーにとって高速アクセス・大容量に対応したHBMの歩留まり改善が課題視されるなか、HBM向けテスター需要も想定を上回る状況にあり商機が膨らんでいる。SKハイニックス、サムスン電子など韓国勢によるHBM増産の動きもアドテストにとって強力なフォローの風となっている。24年3月期は世界的なスマートフォン販売不振の影響で大幅減益となったものの、25年3月期はGPUやHBMなどAI用半導体向けのテスター需要が加速するなか、急回復へと向かう可能性大。今期は営業利益段階で前期比10%増の900億円予想と2ケタ成長を見込むが、かなり保守的で増額修正が期待できる。株価は3月以降大幅な調整局面を強いられたものの、足もとでは売り物をこなし切り出直り初動にある。今年2月16日につけた上場来高値7456円は年内に再チャレンジも視界に入りそうだ。

◎ADEKA <4401> [東証P]

 ADEKAは自動車向け樹脂添加剤、半導体向け情報・電子化学品、業務用食用油などを手掛ける化学メーカーで、半導体分野では先端技術を駆使した製品を提供し、特にメモリー用高誘電材料で業界シェア50%超の圧倒的競争力はHBM向けでも健在だ。主要顧客に韓国サムスン電子など世界的企業を抱え、先端半導体分野のキーカンパニーとして存在感を示す。半導体材料には今後一段と注力していく計画で、27年3月期を最終年度とする中期経営計画ではメモリーだけでなく、最先端のロジック半導体材料にも経営資源を注ぎ成長戦略を推進する構え。また、半導体の微細化が進展するなか、EUV向け光酸発生剤などでも持ち前の高技術力で需要を開拓している。営業利益は24年3月期の9%増益に続き、25年3月期も5%増益の373億円を見込み、伸び率こそ目立たないがピーク利益を連続更新する見通しだ。株価は今月10日に3446円の上場来高値をつけた後に押し目を形成したが、13週移動平均線が約1年にわたる強力な下値支持線として機能しており、同移動平均線を踏み台に最高値圏への仕切り直しが期待される。

◎日本マイクロニクス <6871> [東証P]

 日本マイクロは半導体検査器具のプローブカードで世界屈指の商品競争力を誇る。特にメモリー向けでは世界首位級の実力を有するが、ロジック向けでも矢継ぎ早に新製品を投入し需要獲得を進める。先端技術を駆使したアドバンストプローブカードでも顧客獲得を進めている。データセンターのAIサーバー用半導体需要が盛り上がりをみせるなか、HBMを含む高水準のメモリー向け需要を受注に結実させ、24年1~3月期はメモリー向け受注高が過去最高を記録した。足もと会社側の想定を上回る好調な収益を受けて、24年12月期上期(24年1~6月)業績予想を増額、売上高は期初見通しの244億円から260億円(前年同期比53%増)、営業利益は期初見通しの45億円から59億円(同3.4倍)に大幅に上乗せした。なお、23年12月期通期の営業利益が53億1200万円であり、今期は前半でこれを上回る水準となる。株価は業績予想の大幅上方修正を材料出尽くしとみた売りで下値を探ったが、これはミストレードといってよく、7000円近辺は強気に買いで対処して報われる公算が大きい。

◎レゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]

 レゾナックは総合化学メーカー大手で、23年に昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)が統合し、持ち株会社に移行し現社名となった経緯がある。電炉用黒鉛電極で世界トップシェアを有するほか、半導体材料でも歴史と実績を積み重ねている。HBM用材料では、高性能半導体に向けた絶縁接着フィルムNCFが好調で収益に大きく寄与しているもよう。NCFはHBMを接続しながら多段に積層する際に使われ、極めて高度な品質が求められる。業績も急回復局面にあり、24年12月期は営業利益が470億円の黒字(前期は37億6400万円の赤字)を見込んでおり、25年12月期も利益成長トレンドが続く公算が大きい。なお、石油化学事業については26年をめどにスピンオフを検討しており、これに伴い半導体材料の売り上げ構成比が40%近くまで高まる方向で、半導体関連企業としての位置づけが強まる。株価はCB発行を嫌気されて4月24日にマドを開けて売られたが、絶好の買い場提供となった。その後は戻り足をみせ新値街道復帰をうかがうが、中期で4000円台を地相場とする強調展開が視野に。

◎TOWA <6315> [東証P]

 TOWAは樹脂封止装置(モールディング装置)を主力とする半導体製造装置メーカーの大手で、高技術力を背景に半導体製造用の精密金型などでも高い実績を有する。特に独自のコンプレッション(圧縮)方式によって摩擦を起こさず空気も残さずにHBMを樹脂で封止する装置でニッチトップの実力を開花させ、業績に反映させている。同封止装置の本格寄与は27年3月期からともみられており、成長の伸びしろが大きい。このほか半導体高集積化を担う新技術チップレット用装置も製品化に漕ぎ着けている。25年3月期は売上高が前期比19%増の600億円、営業利益が同46%増の126億円と急拡大を見込み、いずれも過去最高を更新する見通しだ。株価は今月14日に1万3690円の上場来高値を形成した後、利益確定売りでひと押し入れた。ただ13週移動平均線をサポートラインとした中長期上昇トレンドは当分続く可能性が高く、同移動平均線へのサヤ寄せ場面は押し目買いで対処したい。株式需給面では信用買い残の整理が進捗しており上値はその分軽い。3000億円台の時価総額は更なる変貌余地がある。

◎日本電子材料 <6855> [東証S]

 電子材料はプローブカード専業大手で開発や設計も手掛け、売り上げの99%を同商品分野で占める。また、売り上げの4割は海外で、米国や欧州のほか台湾などアジアに拠点を展開。そのなか、台湾のTSMC<TSM>向け受注拡大を念頭に置き、熊本の生産ラインを増設してプローブカードの製造能力を段階的に高め、ロングタームで3倍化させる方針を打ち出している。4月中旬に、SKハイニックスはTSMCと次世代HBMの生産及び高度なパッケージング技術によるロジックとHBMの統合に関して協力していく覚書を締結したと発表しており、26年から量産予定の第6世代の「HBM4」の開発を進める予定。これに伴い同社にもビジネスチャンスが膨らむ公算が大きい。業績も急回復トレンドに入っており、25年3月期営業利益は前期比2.8倍の24億円を見込んでいるが、26年3月期以降は一段の収益成長に期待が募る。株価は機関投資家とみられる大口の実需買いで4月下旬以降急速に上値を指向、直近で上場来高値を更新した。青空圏突入となれば戻り売り圧力から解放され上げ足に弾みがつく可能性も。

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