ダイキアクシス Research Memo(9):2030年ビジョン達成に向け2025年12月期までの中計を推進(1)
■中長期的な方向性
1. 中期経営計画の概要
ダイキアクシス<4245>は、2025年12月期を最終年度とする5ヶ年の中期経営計画「PROTECT × CHANGE」を推進しており3年が経過した。2030年ビジョンである、1) グローバルな舞台で期待を超える活躍、2) 世界から「環境の未来」を期待される企業への躍進、3) 得意分野の拡大と新領域への挑戦、4) 新型コロナウイルス感染症の影響によるニューノーマルに対応した柔軟な組織の確立に向けて、6つの成長戦略とその基盤となるIT推進に取り組んでいる。
2. 数値計画とその前提
最終年度である2025年12月期の数値目標として、売上高45,000百万円(5年間の平均成長率は5.4%)、営業利益2,000百万円(同13.9%)、営業利益率4.4%を目指している。
2023年12月期比の増収額(2,319百万円)への寄与は、「環境機器関連事業」が990百万円の増加、「住宅機器関連事業」が2,508百万円の増加、「再生可能エネルギー関連事業」が246百万円の減少となる。一方、営業利益の増加額(1,340百万円)については、「環境機器関連事業」が896百万円の増加、「住宅機器関連事業」が422百万円の増加、「再生可能エネルギー関連事業」が441百万円増加を見込んでいる。特に「環境機器関連事業」における海外売上高は4,000百万円(2023年12月期比2,508百万円増)※に大きく伸びる想定であり、事業の拡大及び先行投資負担の緩和とともに収益性の向上を目指している。
※このうち半分をインドが占める計画となっている。
3. 成長戦略とこれまでの進捗
成長戦略として、1) 海外展開(環境機器関連事業)、2) ストックビジネスの拡大、3) 安定から成長への転化(住宅機器関連事業)、4) 再生可能エネルギー関連事業、5) 技術力・製品開発力の向上、6) M&Aの推進の6つを掲げている。また、戦略遂行を支える基盤整備として7) IT推進にも取り組んでいる。それぞれの方針とこれまでの進捗、及び自己評価については以下のとおりである。
(1) 海外展開(環境機器関連事業)
a) 需要の高いエリアでの現地生産体制を構築するとともに、b) 海外人財の採用も積極的に行うほか、c) 海外事業に伴う制度やルールの見直し、新規制定にも取り組んでいる。a) については、ポテンシャルの大きなインド及びスリランカに新工場を建設するとともに、b) の人財採用も継続的に実施している。インド工場では製造人員の育成にやや時間を要しているものの、拡大する需要に対応する体制が整いつつある。今後は、スリランカ同様に立ち上がりの早い組立工場などを含め、第3工場以降の取り組みを検討する。一方、インドネシア工場についてはインド向け輸出分がなくなったことから、現地企業の開拓により工場稼働率の維持に努める。また、2024年1月にはバングラデシュに子会社を設立し、法整備において政府と連携を図る。以上から、インド工場での人財育成のもたつきなどを勘案し、現在までの自己評価は「△」としている。
(2) ストックビジネスの拡大
安定的な利益基盤となるストックビジネスの拡大に取り組んでいる。地下水飲料化事業において、原価管理の再徹底やエスコ契約に限らない機器売りにも注力し、受注が増加しているほか、排水処理メンテナンスも好調に推移している。以上から、現在までの自己評価は「〇」としている。
(3) 安定から成長への転化(住宅機器関連事業)
a) ホームセンター向け営業の商圏拡大(全国対応)、b) 新規店開拓、新規商材導入及び販売、新規工事業の取り組み、c)人財育成(営業力強化)、d) バックオフィスを含めた各事業の見える化と平準化(社員同士の相互補完の実現)などにより成長軌道へと転化させる方針だ。a) については東日本において苦戦を強いられている一方、b) については新規店開拓が予定通りであるほか、集中購買制による仕入コストの削減も順調に進んでいる。また、DCM関係子会社の商材販売が軌道に乗り、順次利益貢献の見込みである。c) 人財育成やd) 社員同士の相互補完の取り組みも順調にあり、2025年に計画していた組織の若年化を前倒しで実現できた。以上から、a) の状況などを鑑み、現在までの自己評価は「△」としている。
(4) 再生可能エネルギー関連事業
a) バイオディーゼル販売量及び自治体とも連携した廃油回収エリアの拡大、b) 再エネ先進企業の動向調査・協業・提案などに取り組んでいる。a) については、B5軽油の販売や廃油回収エリアの拡大が順調に進捗している。b) についても順調に進んでおり、既存取引先にも協力を依頼している。以上から、現在までの自己評価は「〇」としている。
(5) 技術力・製品開発力の向上
a) 製造過程で生じるクレーム撲滅の徹底、b) 人財育成(専門性強化)、c) 風力・太陽光発電サイトの継続的開発・運用安定、d) さらなる環境負荷の低減、蓄電技術等を進化させ、防・減災対策、地産地消へも資するポストFITを見据えた高付加価値事業の提案に取り組んでいる。a) のクレーム撲滅に向けては依然として改善余地がある。b) については、国内の「環境機器開発事業」において開発人員が不足している一方、海外では人財を積極的に採用し、やや育成に時間を要したものの、足元では着実に成果が現れ始めている。c) についても、風力・太陽光発電サイトの継続的な開発・安定運用は順調に進行中である。d) では、再エネと発電所のセットでのビジネスモデル展開を予定した発電所の建設や、バイオディーゼル燃料の製造施設の建設などが順調に進んでいる。以上から、a) の状況やインドでの人財育成のもたつきなどを鑑み、現在までの自己評価は「△」としている。
(6) M&Aの推進
M&Aを活用した商圏・取扱い商材の拡大に取り組んでいる。2023年12月期は2件のM&Aを実現し、「住宅機器関連事業」及び「再生エネルギー関連事業」における事業基盤を拡充できた。以上から、現在までの自己評価は「〇」としている。
(7) IT推進
IT推進は業務面、組織・人材面でも影響が大きい重要施策と認識し、「提案の高付加価値化による利益率向上」を目指している。アナログ作業を置き換えることで重複する単純作業などを排除し、高付加価値業務に注力できる体制づくりを推進中であるほか、心理的安全性のある風土づくりのためのコミュニケーションツールを導入する予定である。ただ、まだ成果を体現するには至らず、現在までの自己評価は「△」としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《HH》
提供:フィスコ