【杉村富生の短期相場観測】 ─高値波乱下の投資戦術!狙うのは?
「高値波乱下の投資戦術!狙うのは?」
●需給悪のピークは今・来週に通過する!
東京、米国市場ともに、高値波乱商状に陥っている。アメリカは6月利下げ開始、年内3回の利下げ説が怪しくなってきたほか、世界的に地政学上のリスク(イスラエルの暴走→イランが参戦?)の高まりがある。これを受け、VIX(恐怖)指数が上昇、ニューヨークの金先物価格は1トロイオンス=2300ドルを突破している。
金が買われるのは通貨不安、国家破綻、国際情勢の緊迫化など景況感悪化の局面だが、今回はどれも違う。人々は何に脅えているのだろうか。いずれにせよ、ここはとりあえず、住友金属鉱山 <5713> [東証P]だ。世界有数の菱刈金山(鹿児島)を有し、カナダでの金鉱山開発を進めている。不振の 電子材料の底入れは近いと思う。
原油(WTI)価格は1バレル=86ドル台に上昇してきた。イスラエル軍がシリアのイラン大使館周辺を空爆、これにイランが反発している。過去の第1次オイルショック、第2次オイルショックにはイランが絡んでいるだけに、警戒が怠れない。この関連ではINPEX <1605> [東証P]、K&Oエナジーグループ <1663> [東証P]に注目できる。
なお、INPEXのPBRは0.74倍、K&OエナジーグループのPBRは0.91倍だ。ともに1倍を割り込んでいる。ENEOSホールディングス <5020> [東証P]のPERは9.1倍、PBRは0.71倍と出遅れが著しい。子会社(上場を計画)がレアメタル、電子材料を手掛けている。
このほか、4日には水素エネルギー関連の岩谷産業 <8088> [東証P]が上場来高値に買われ、東京電力ホールディングス <9501> [東証P]が2011年以来、13年ぶりに1000円の大台に乗せた。柏崎刈羽原発の再稼働が秒読み、との観測である。地政学上のリスクの高まりがエネルギー問題を再認識させている面があろう。
●割り切って個別材料株を攻める!
米FRB(連邦準備制度理事会)の利下げあとズレは労働需給の逼迫に加え、景気が良好なことにある。製造業の新規受注、ISM製造業景況感指数(3月は50.3と市場予想の48.4を上回るとともに、2022年9月以来の水準)などがそうだ。要するに、アメリカ景気は絶好調である。しかし、これは悪い話ではない。利下げを迫られるよりもましではないか。
ちなみに、2000年以降、3回の大幅利下げ局面をみると、いずれもS&P500指数は下落している。これは当然だろう。景気後退、企業業績の悪化だ。だから、利下げをする。すなわち、1回目は2001年1月~2003年6月(FFレートは6.5%→1.0%)、2回目は2007年9月~2008年12月(同5.25%→0.25%)である。
3回目は2019年7月~2020年3月(2.5%→0.25%)だ。まあ、筆者が主張したいのはマーケットが「利下げ、利下げ」と催促しているのはちょっとおかしくないか、ということ。利下げ、超金融緩和はずっと先の話だ。仮に、そんな状況が出現した場合には世界の株式市場がショック安に見舞われているのは間違いないだろう。
個別銘柄ではリニア中央新幹線のアルプストンネル工事の早期着工を手掛かりにシールド材のケー・エフ・シー <3420> [東証S]、残業規制を受け人手不足が深刻な建設業界向け技術者派遣のコプロ・ホールディングス <7059> [東証P]、食品・生命科学研究所を持ち、切り口多彩ないであ <9768> [東証S]などに妙味あり、と判断する。
さらに、マイクロソフト<MSFT>のパートナーのFIXER <5129> [東証G]、サービスナウ<NOW>の最高ランクのパートナー称号を持つロココ <5868> [東証S]は絶好の押し目を形成している。ロココは3月12日に1488円の上場来高値があった。1000円絡みまでの急落は信用取引の投げによるもの。売りは一巡しつつある。
材料株を攻める戦術も有効だろう。さくらインターネット <3778> [東証P]は3月7日に1万0980円の高値をつけた。黄金分割による下値メドは4190円だ。QPS研究所 <5595> [東証G]は3月22日の4975円を高値に急落している。下値のメドは3000円絡みになる。ともに、国策銘柄である。東京市場の需給悪のピークは今・来週に終了する。
2024年4月5日 記
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