エフ・コード Research Memo(8):2024年12月期も大幅な増収増益を継続(2)
■エフ・コード<9211>の今後の見通し
2. 今後の展望
M&Aで獲得した各事業において、顧客数を伸ばし、クロスセルなどにより顧客単価向上を進める方針だ。顧客数拡大に向けては、各事業のオーガニック成長に加え、SNSサミットへの参加などマーケティング活動を展開する。顧客単価向上については、クロスセルのほか、提供サービスの拡充や伴走型支援を強化する。
(1) マーケティング活動
長年にわたりCX改善・デジタルマーケティング支援に取り組んだ成果や知見を各種セミナー・ウェビナーや展示会で紹介しており、今後も多岐にわたるテーマで継続して実施する。また、2023年9月に開催した「SNS SUMMIT 2023」は、SNS思考について語るイベントとして、5,000名のインフルエンサー・マーケターが参加した。当日は、現地会場、Web配信、SNSそれぞれで多くの著名人、芸能人が参加し、大盛況であったため2024年も開催を予定している。
そのほか、ソリューション導入事例・実績や業務改善の実績を積み上げ、順次リリースする。過去には以下のような事例を紹介している。
・モビリティサービスの企画立案から運営を担うホンダモビリティソリューションズ(株)(東京都港区)の提供するHondaのWeb/アプリから予約できるカーシェアサービス「EveryGo」および新規事業へ、広告戦略の設計、アプリプロモーションの立ち上げ、実際の運用、サイト改善までデジタルマーケティ ング支援サービスを提供した(2023年12月リリース)。
・中小企業支援機構のピーエムジー(株)(東京都新宿区)が、同社が運営する「資金調達ジャーナル」サービスサイトに、Web接客/離脱防止ツール「KaiU」およびチャット型Web接客ツール「sinclo」を導入した(2023年12月リリース)。
・SAKIYOMIが提供する、InstagramのDM配信を自動化するチャットボットツール「SAKIYOMIチャット」の導入実績が500件を突破した。また、新機能としてテキストや画像に加え、動画と音声も送信できるようになった(2024年1月リリース)。
・(株)つぼ八(北海道札幌市)の「居酒屋つぼ八」ホームページにチャットボット型Web接客ツール「sinclo」を 導入し、運用開始2か月でウェブ予約数が10倍以上に増加した(2024年2月リリース)。
また、プロダクトやサービス、採用活動において受賞した実績も積極的にリリースする。過去には以下の受賞実績を紹介している。
・2023年7月チャットボットツール「sinclo」が、IT製品レビュープラットフォーム「ITreview」に集まった約11万件のレビューをもとに、「ITreview Grid Award 2023 Summer」の「Webチャット」「オンライン商談」「チャットボットツール」の3部門で「Leader」に選出された。
・2023年10月チャットボットツール「KaiU」が、IT製品レビュープラットフォーム「ITreview」において、「ITreview Grid Award 2023 Fall」の「Web接客」「ヒートマップツール」の2部門で「High performer」に選出された。
・2023年12月SAKIYOMIが、ビジネスSNS「Wantedly」が発表した「Wantedly Awards 2023」において、登録する約39,000社の中から、採用ブランディングや共感採用といった観点で総合的な採用力を称えるBEST TEAM部門TOP100 Teamsに選出された。
(2) 販売パートナーとの提携
従来から同社のプロダクトの販売パートナーであった企業と、新しいプロダクトについても販売の業務提携を進め、クライアントを拡大する方針だ。2023年12月期は以下のような業務提携を進めた。
・2023年11月、同社の「f-tra EFO」や離脱防止SaaSの「KaiU」を自社のクライアントに提案していた(株)DYMと、新たにJITTが提供するHP制作ソリューション「Raven」「HUMMING BIRD」の販売パートナーシップも締結し、今後、主に中堅・中小企業クライアント向けに提供することとなった。
・2023年11月、SaaS ベンダーとして、同社よりプロダクトを提供し、そのプロダクトをDXソリューションとして 企業に提案していた(株)Wiz(ワイズ)に、新たにJITTのHP制作ソリューションも提供する契約を締結した。
(3) グループとしての提供価値の拡大
グループの顧客に対して、複数のサービスを提供するクロスセルにより売上単価の伸長を図る。2023年12月期においては、四半期毎に順次クロスセルを増やし、年間換算で50百万円以上のリカーリング収益を確保したが、まだその規模は小さく拡大の余地が大きい。また、企業のマーケティング活動を一気通貫でDX推進できるプロダクト、サービスを揃えており、単純なプロダクトのクロスセルだけでなく、グループとしてシナジー効果を高めて新しい価値の創造が求められよう。例えば、人員規模がさらに整えば、DXチームとして顧客の中に参画するような高付加価値のサービス提供も可能となりそうだ。なお、同社では、週次、月次と定期的に経営陣トップのミーティングが開催されており、シナジー効果が生まれる環境は着実に作り上げられているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
《SO》
提供:フィスコ