貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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7735 スクリン

東証P
9,067円
前日比
-31
-0.34%
PTS
9,080円
23:58 11/22
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.0 2.23 2.72 11.41
時価総額 9,211億円
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【和島英樹のマーケット・フォーキャスト】─注目される半導体関連の決算動向


「注目される半導体関連の決算動向」

●鍵を握る企業の利益上昇、日銀短観に注視

 4月の東京株式市場は、引き続き堅調な展開が予想される。日本銀行がマイナス金利解除後も緩和的な政策を続ける方向であることや、米国でもFRB(米連邦準備制度理事会)が年内3回の利下げ方針を示すなど、政策面の安心感が広がっている。需給面では4月は過去、外国人投資家の買いが入りやすいというアノマリーがある。一方、日経平均株価のPERが3年ぶりの高水準に達するなど、上値の余地はやや限られている感もある。日経平均株価の予想レンジは3万9500円~4万1500円。

 4月の最大の関心材料は、下旬から本格化する3月期決算企業の決算発表だ。会社側が2025年3月期の業績予想をどのように打ち出してくるか。3月22日時点で日経平均株価の1株利益は2352円。PERは17.3倍となっている。日経平均株価のPERの17倍乗せは約3年ぶり。決算発表が進むとともに1株利益がどの程度上昇するかが重要だ。この点では、まずは4月1日の日銀短観が注目される。アンケート方式の回答で、24年度の利益見通しや為替前提、設備投資動向などが公表される。また、4月5日には安川電機 <6506> [東証P]が2月期本決算を製造業としていち早く発表する。

 決算発表の開票とともに日経平均株価の1株利益が上昇すれば買い安心感につながる半面、会社側が慎重姿勢なら株価の上値が抑えられる可能性がある。増配など株主還元の強化策が出るかも重要になる。

 主なスケジュールはいずれも米国で、1日にISM製造業景気指数、3日にISM非製造業景気指数、5日に雇用統計、10日に消費者物価指数(CPI)、11日にFOMC議事要旨、15日に小売売上高などが予定されている。金融政策関連ではECB理事会が11日、日銀金融政策決定会合は25日~26日、FOMCが30日~5月1日。今回は、金融政策でサプライズが出る可能性は低いとみられる。

●業績回復により半導体関連の割高感は薄れるか

 株式市場の主要テーマである半導体関連企業の決算動向が注目される。半導体製造装置で世界3位の東京エレクトロン <8035> [東証P]、最終検査装置世界大手のアドバンテスト <6857> [東証P]、半導体の「切る」、「削る」、「磨く」装置で世界首位のディスコ <6146> [東証P]などはメモリー(記憶)、ロジック(演算)半導体の市況悪化などを背景に24年3月期は減益見通しの企業が少なくない。PER面でもやや割高に買われている企業も少なくなく、25年3月期の業績回復でPERが低下するか。

 このほか、主力ではシリコンウエハの信越化学工業 <4063> [東証P]、ウエハ洗浄装置のSCREENホールディングス <7735> [東証P]、ウエハテスターの東京精密 <7729> [東証P]、超純水装置の野村マイクロ・サイエンス <6254> [東証P]、後工程用製造装置のTOWA <6315> [東証P]などもウォッチしておきたい。

 EV(電気自動車)向けに需要が伸びている次世代のSiCパワー半導体関連では切断加工のタカトリ <6338> [東証S]、エピウエハなどのレゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]>、等方性黒鉛の東洋炭素 <5310> [東証P]などの業績にも関心を払いたい。

 また、バリュー株では銀行の株主還元姿勢に関心が高い。株価の上昇で配当利回りが低下傾向だが、25年3月期が増配なら再度妙味が高まる可能性がある。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]はいずれも24年3月期まで3期連続増配であり、株主還元に前向きだ。

 個別セクターではデフレ脱却で大手不動産株に妙味があると考えている。投資の教科書的には金利の上昇は不動産企業にとっては、資金調達コストの上昇に直結するために逆風とみられている。ただ、日本は長期のデフレ下からの脱却で、ようやくゼロ金利が解除されたばかりの段階にある。経済の正常化はオフィスビル需要の増加、分譲不動産への購入意欲の高まりなどにつながるため、むしろ追い風になっていることが評価ポイントだ。

不動産の中でも、オフィス賃貸、分譲、ホテル事業、再開発などを総合的に手掛けている大手不動産が経済拡大で受ける恩恵が大きいといえる。オフィス空室率は低下傾向にあり、今年のマンション分譲の発売戸数は増加する見通しにある。人流の回復やインバウンド増でホテルの稼働率は回復基調が続く。また、再開発による街の活性化は賃貸不動産の含み益拡大につながっている。三井不動産 <8801> [東証P]、三菱地所 <8802> [東証P]、住友不動産 <8830> [東証P]のほか、東京建物 <8804> [東証P]、東急不動産ホールディングス <3289> [東証P]などの総合大手にビジネスチャンスが大きいとみる。

(3月28日 記/次回は4月28日配信予定)

■和島英樹(Hideki Wajima)
株式ジャーナリスト
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。


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