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新興市場見通し:直近IPO銘柄中心の物色は続くが、新年度入りで主力処にも資金が向かうか


 

■IPO中心の日替わり物色で主力銘柄へ関心が向かわず


今週の新興市場は下落。同時期の騰落率は、日経平均が-1.27%だったのに対して、東証グロース市場指数は-1.12%、東証グロース市場250指数は-1.16%とほぼ同じような動きとなった。3月期末に伴う需給に絡んだ売買が東証プライム市場中心に入った一方、新興市場はIPO(新規株式公開)中心の日替わり物色で主力銘柄への関心は向かいにくくなった。東証グロース市場指数、東証グロース市場250指数ともに25日移動平均線より下を推移し200日移動平均線水準でのもみ合いとなった。


個別銘柄では、NTT<9432>傘下のNTTアグリテクノロジー(東京都新宿区)との協業を開始すると発表したファンデリー<3137>が急騰したほか、順天堂大学と生成AIを活用した「医療DX」の共同研究を開始したと発表したFIXER<5129>も買われた。また、メンタルヘルステクノロジーズ<9218>は好業績が材料視されて上昇。一方、24年12月期業績予想を未定に修正したほか、有報の提出期限延長申請を発表したENECHANGE<4169>が急落したほか、外傷性脳損傷対象の再生細胞薬SB623の日本認可が大幅に遅延する可能性が高まったことからサンバイオ<4592>も売りに押された。


今週のIPOは12社。コロンビア・ワークス<146A>がスタンダードに上場したほか、他11社がグロース市場に上場したことで、直近IPO銘柄も加えてにぎわった。3月29日に上場したマテリアルグループ<156A>以外は、初値が公開価格を上回り、ソラコム<147A>は上場来高値を連日で更新する強い動きを見せた。一方、ソラコム、コロンビア・ワークス、ダイブ<151A>以外は、初値を下回って週末の取引を終えた(情報戦略テクノロジー<155A>は初値と同値)。

■直近IPO物色続くとともに主力株へも資金向かうか、IPOは1社


来週の新興市場は、直近IPO銘柄中心とした日替わり物色は続きながらも、新年度入りで徐々に主力株に資金が向かい、東証グロース市場指数、東証グロース市場250指数はともに持ち直す展開を想定する。両指数ともに200日移動平均線がサポートラインとして機能しており、下への動きは限定的と考える。


3月21日に上場したトライアルHD<141A>が連日、上場来高値を更新しており、29日時点の時価総額は3435億円と、グロース市場トップだったフリー<4478>の2064億円(29日時点)を大きく上回った。指数にまだ採用されていないことから、トライアルHDやソラコムが高値を更新しても指数への寄与は無いが、投資家のモメンタムは強気に傾くだろう。一方、初値を割り込んだ直近IPOが多いのは気がかりだが、投資家のモメンタムが良好であれば、上場後、1-2週間で見直す動きも徐々に出てくると想定する。


来週はスタンダード市場にシニア事業や不動産事業を手掛けているアズパートナーズ<160A>が上場する。足元のプライム市場では不動産株が買われているため人気化する可能性はある。

《FA》

 提供:フィスコ

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