CDG Research Memo(5):無借金経営で財務の健全性は高く、収益性向上が今後の課題
■業績動向
3. 財務状況と経営指標
CDG<2487>の2023年12月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比436百万円増加の7,987百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産は現金及び預金が335百万円減少した一方で、受取手形及び売掛金が307百万円増加したほか、CLホールディングスへの短期貸付金500百万円を計上した。固定資産は有形固定資産が20百万円増加した一方で、ソフトウェアが8百万円、保険積立金が73百万円、繰延税金資産が39百万円それぞれ減少した。
負債合計は前期末比125百万円増加の1,835百万円となった。流動負債で支払手形及び買掛金が213百万円増加し、未払法人税等が56百万円減少、固定負債で退職給付に係る負債が26百万円、役員株式給付金が8百万円それぞれ増加した。純資産は同310百万円増加の6,152百万円となった。配当金90百万円を支出した一方で親会社株主に帰属する当期純利益378百万円を計上したことにより利益剰余金が287百万円増加した。
経営指標を見ると、経営の安全性を示す自己資本比率は77.0%と高水準で推移し、無借金経営で現金及び預金も40億円強と潤沢で、財務の健全性は高いと判断される。収益性については売上高営業利益率が4.1%と若干上昇したものの、過去には1ケタ台後半の水準を維持していたことからすると、改善の余地があると言える。
収益性が低下した要因としては、需要が拡大しているデジタルプロモーション領域の強化を図るべく、2019年3月期以降、専門人材の採用・育成に取り組むなど人財投資を継続した一方で、デジタルとリアルを組み合わせた難易度の高い複合型案件が増加し、見積もりに対してコストが増加するなど個別の収益管理が難しくなったことが背景にある。改善策として、SFAツールを導入して案件ごとに収益管理を徹底し、また、その他ITツールの導入で業務効率化を図った効果が、2023年12月期以降は顕在化しはじめると弊社では見ている。現在ではSFAツールとPM(プロジェクトマネジメント)ツールの連携の構築を進めており、引き続き生産性の向上の施策を推進している。また、ROEについても6.3%と前期比では上昇したものの、東証上場企業平均の9.1%(2022年度実績)を下回っていることから、同社では収益性のさらなる向上に取り組む方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《HH》
提供:フィスコ