貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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9007 小田急電鉄

東証P
1,475.0円
前日比
-17.0
-1.14%
PTS
1,480円
23:53 12/11
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.0 1.08 2.03 49.85
時価総額 5,435億円
比較される銘柄
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シンシア Research Memo(2):コンタクトレンズ専業から事業多角化を進める


■会社概要

シンシア<7782>は、使い捨てクリアレンズを中心としたファブレスのコンタクトレンズ製造・販売会社である。クリアレンズの「シンシア S」「L-CON」「Eye Well」ブランドのほか、カラーレンズの「FAIRY」ブランドを展開し、国内ではコンタクトレンズの売上高ランキング上位に位置する。また、クリニックのコンサルティング事業、リユース業界向けPOSシステム開発・販売事業を買収し、事業の多角化、収益基盤の強化を進めている。

同社は2008年9月に設立され、同年11月に親会社(株)キャピタルメディカ(現 (株)ユカリア)(本社:東京都千代田区、病院経営支援、高齢者施設運営、その他医療周辺事業)からコンタクトレンズ製造・販売事業を譲り受けた。当初より、成長カテゴリーであった1日使い捨て、2週間交換、1ヶ月交換タイプの使い捨てコンタクトレンズに注力し、自社ブランド「L-CON」シリーズの販売を中心として、眼鏡量販店や卸売企業などのプライベートブランドのOEM生産を展開してきた。同社はファブレス企業であり、コンタクトレンズ製造はレンズ製造の集積地である台湾や韓国、マレーシアのメーカーと提携し、製造委託している。

2009年に視力補正を目的としないサークルレンズ、カラーレンズが「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、医薬品医療機器等法)の規制対象となったことを契機に、クリアレンズで培ったノウハウをカラーレンズに生かすため、2010年3月に1ヶ月交換カラーレンズ「FAIRY」を発売した。その後は、カラーレンズの需要の高まりとともに、デザイン、使用期限などに対する多様なニーズに対応するため、「L-CON POP」「Ultimate PEARL」「Select FAIRY」など多くのシリーズを発売した。2014年8月には(株)カラコンワークスの株式を100%取得し、カラーレンズの自社ECサイト「FAIRY REPUBLIC」での直販や楽天、アマゾンなどへの出店を強化した。

2017年には、ドラッグストア専用コンタクトレンズ「1 day EyeWell」を発売し、以降ドラッグストアで取扱店舗数は伸びたが、販売は低位で推移していた。2022年2月には、市場での拡販を目的に、ドラッグストア向けにコンタクトケア商品の強い販売チャネルを持つ卸売りの(株)大木(本社:東京都文京区、大木ヘルスケアホールディングス(株)の子会社)と、同社が同年3月発売した「2week Eye Well」の独占販売契約を締結した。その結果、2022年12月期は「Eye Well」シリーズの取扱店舗数が急増し、売上高も前期比38.9%増となった。

2019年2月には、酸素透過率に優れるシリコーンハイドロゲル素材を使用したクリアレンズ「シンシア 1DAY S」を発売した。柔軟性のある滑らかなレンズで、酸素透過率も高く、潤いのあるつけ心地が特色のレンズであり、従来同社の販売が低位にあった、消費者が眼科医の処方箋を持ち込む眼鏡店やコンタクトレンズ専門量販店などの処方施設市場の拡販を狙い投入した。その戦略が奏功し、実際に眼科医、ユーザーから高い評価を受け、現在「シンシア S」シリーズは自社ブランドの6割を占める主力商品に成長している。2021年5月には、サークルレングにおいても同素材を使用した「シンシア 1 Day S Cleche(クレシェ)」を発売した。また、2022年2月には、ECサイト向けに同素材を使用した「pranair(プラネア)」ブランドを発売し、拡販中である。

2021年11月には小田急電鉄<9007>が運営するECサイト「小田急みんなのコンタクト」を展開する(株)ジェネリックコーポレーションの株式を100%取得し、連結子会社とした。現在、ECサイト店舗「みんなのコンタクト」での直販、楽天、アマゾンなどへの出店により販売を強化している。この間、2016年12月に東京証券取引所(以下、東証)マザーズに上場し、2017年12月に東証第一部に移行、2022年4月には東証の市場再編に伴いスタンダード市場に移行している。また、2022年3月より監査等委員会設置会社に移行した。

また、同社では事業の多角化による成長を図るため、新規事業の開発、M&Aを進めており、2022年11月より、コンタクトレンズ事業の品質保証部署において、同社に蓄積されたノウハウを生かして薬事申請コンサルティング及び選任製造販売業者(DMAH)サービスを開始した。また同年11月にM&Aにより、(株)フォー・アイズ(本社:広島市中区)から医療脱毛クリニック運営に関するコンサルティング事業を譲り受けた。同社が持つカラーコンタクトの10~20代向けのブランディングノウハウを生かして、京都、福岡、広島に展開する医療脱毛クリニックのWebマーケティング、経営管理のコンサルティングを同年12月より開始している。

2023年1月には、従前からM&Aと新規事業開発を行ってきたチームが事業推進部として独立し、M&A後のPMIも担当している。加えて2023年11月には、リユース業界向けのクラウドPOSシステム「タロス」を展開するタロスシステムズに51%出資し、連結子会社とした。同社がコンタクトレンズ事業で培ってきたWebマーケティングノウハウとのシナジー効果が期待される。同社としては、今後もM&Aを活用した事業の多角化を進め、事業領域、収益基盤を拡充する方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)

《SO》

 提供:フィスコ

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