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4845 スカラ

東証P
459円
前日比
-1
-0.22%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
23.4 2.01 3.49 3.80
時価総額 81.5億円

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スカラ Research Memo(1):2024年6月期に事業構造改革を実行、2025年6月期に収益V字回復を目指す


■要約

スカラ<4845>は、「価値が溢れ出てくる社会を創る」ことをグループビジョンとして掲げ、DXを基盤として「成長機会の提供を中心とした、人の成長プラットフォーム」となることで社会貢献に取り組んでいる。グループ会社にて、DX事業、人材・教育事業、EC事業、金融関連事業、インキュベーション事業を展開し、M&Aによる事業領域の拡大とシナジー創出を成長戦略の1つに掲げている。

1. 2024年6月期第2四半期累計業績の概要
2024年6月期第2四半期累計(2023年7月-12月)における継続事業※の売上収益は前年同期比10.1%減の5,694百万円、営業損失237百万円(前年同期は136百万円の利益)を計上した。DX事業において特定顧客向けの大型開発案件が顧客事由により一時中断となったほか既存案件も市場環境の変化により縮小したこと、また前年同期の収益に貢献したGo Toトラベル事業の終了や全国旅行支援案件の縮小により、主力のDX事業の売上収益が同21.6%減の2,949百万円、本社費用配賦前利益が同62.5%減の199百万円と大きく落ち込んだことが主因だ。また、人材・教育事業や金融関連事業が先行投資負担により減益となったことも足かせとなった。

※2023年6月期第4四半期に連結子会社の(株)コネクトエージェンシー及びジェイ・フェニックス・リサーチ(株)の両社を非継続事業に分類し、2023年6月期第4四半期にコネクトエージェンシー、2024年6月期第1四半期にジェイ・フェニックス・リサーチの全株式譲渡が完了しており、これら非継続事業を除いた継続事業ベースの売上収益及び営業利益と前年同期比増減率を記載している。


2. 2024年6月期の業績見通し
同社は業績の悪化を受けて2024年1月より大規模な事業構造改革に着手しており、関連費用の計上が見込まれることから2024年6月期の業績見通しを未定とした。コスト削減策としては、事務所費用、システム利用料及び専門家報酬などの固定費削減に加えて、不採算事業の整理とそれに紐づく固定費の削減を進めていく。固定費削減に関わる一時費用や事業整理に関わる手数料などの発生により、営業利益及び税引前利益段階で最大で10~15億円のコスト増を見込んでいるほか、事業整理に伴うのれん及び固定資産の減損、株式売却損、その他資産の評価損で、親会社の所有者に帰属する当期利益において、会計上の損失として最大で20~30億円を見込んでおり、2024年6月期は数十億円規模の損失を計上するものと予想される。ただ、これら事業構造改革の効果として、2025年6月期の営業利益では事業整理による効果で年間約2億円、固定費削減効果として年間約6億円の増益効果を見込んでいる。当面は主力事業であるDX事業を成長軌道に乗せるべく、営業体制並びに開発体制を同事業に傾注していく方針だ。

3. 中期経営計画
同社は2026年6月期までの3年間を「堅実な成長に向けた基盤づくり」を行う期間と位置付け、官民共創による地域課題・社会課題の解決に向けた取り組みを継続し、そのなかから生まれるシステム開発案件などの需要を取り込むことでDX事業を成長ドライバーに業績拡大を目指していく方針だ。既に、デジタルIDと連携した施設予約システムやフレイル※予防管理システムなど自治体向けの受注実績も出始めており、今後の成長が期待される。また、人材・教育事業では「中途転職支援」「学生向けキャリア教育」の2つの新サービスを立ち上げ、事業拡大を目指す。金融関連事業はペット保険商品の販売拡大と事業効率の向上により、2026年6月期の黒字化を目指し、将来的にはペット保険以外の領域への進出も視野に入れている。事業構造改革後の2025年6月期以降はこうした取り組みにより業績もV字回復が期待される。なお、株主還元方針については従来と変わらず、安定的、継続的な配当を実施していくことを基本に増配を目指す考えで、2024年6月期の1株当たり配当金は前期比0.5円増配の37.5円と15期連続の増配を予定している。

※「フレイル」とは、健常な状態と要介護状態(日常生活でサポートが必要な状態)の中間の状態として、一般社団法人日本老年医学会が2014年に提唱した概念。多くの高齢者は健常な状態から、筋力が衰える「サルコペニア」という状態を経て、さらに生活機能が全般に衰える「フレイル」となり、要介護状態に至ると考えられている。


■Key Points
・2024年6月期第2四半期は人材・教育事業やEC事業の好調で増収増益に
・主力のDX事業の収益は悪化するも、共創型の新規プロジェクトが徐々に成果を見せ始める
・大規模な事業構造改革実施により、2024年6月期業績は未定に修正
・開発・営業体制の強化によりDX事業の収益力を回復させ、2025年6月期以降のV字回復を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SO》

 提供:フィスコ

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