新晃工業 Research Memo(10):既存市場・製品を起点に新市場・製品へ事業領域を拡大
■新晃工業<6458>の新中期経営計画
3. ターゲット市場と市場戦略
「move.2027」では事業戦略の中で、既存市場や既存製品の拡大を起点に、市場規模が見込める新たな領域への事業拡張を目指す市場戦略を展開する方針である。市場規模250億円と推定されるデータセンター向けソリューションでは、グループのバリューチェーンを生かして製品のみならずソリューションサービスをトータルで提案、安定稼働と環境価値という付加価値の提供を図り、売上高を現在の20億円から40億円へと倍増を目指す。市場規模120億円と言われる個別空調では、「オクージオ」(一体型ヒートポンプAHU)の販売強化と、低GWP(地球温暖化係数)の新冷媒に対応するヒートポンプAHUの開発によって、売上高を20億円から30億円へと拡大する方針である。環境に対しては、水AHUの冷温水だけでなく新しい冷媒の開発に関与する考えである。市場規模2,100億円と推定される空調設備工事メンテナンスでは、サービスパックや定期点検パックによって工事の川下側を積極的に拡充するとともに、空調機のメンテナンス更新に関わる電気工事にも拡張する計画である。同社のターゲットの中でも市場規模が大きいため、自社製品とセットで新晃アトモスのメンテナンスを売り込む考えである。市場規模150億円と言われる再エネ蓄熱水素冷却では、再生可能エネルギー向け蓄熱システムや水素精製プラントでの発熱を抑えるハイスペック冷却システムで市場を開拓する方針である。こうした新市場・新製品による増収分として、同社は45億円のプラスオンを計画している。
同時に、環境価値・建物価値の向上、稼働に対する信頼性、充実したサービスなど、顧客からハイレベルな対応が求められることになるが、これに対しては、業界最高レベルの環境性能の実現や安定稼働による信頼を支えるNo.1品質の追求、空調ノウハウの提供による建物価値の引き上げ、新サービスのリリースによる顧客利便性の向上、空調工事体制の拡充によるハイレベルな工事サービスの提供、蓄エネや水素冷却のニーズを満たす製品の提供によって顧客満足を引き上げることで収益の拡大を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《HH》
提供:フィスコ