GMOメディア Research Memo(1):教育・美容医療関連事業の成長により業績は2ケタ増収増益が続く見通し
■要約
GMOメディア<6180>は、GMOインターネットグループ<9449>のメディア事業会社で、ポイントサイトやHTML5ゲームプラットフォーム等のメディア運営によって広告収入や課金収入等を得るメディア事業と、メディア事業で蓄積したノウハウ・システムを活用して、他社メディアの収益化を支援するサービスやASP※事業が含まれるソリューション事業を展開する。2020年3月にクーポン・チケット購入サイト「くまポン」や「キレイパス」を運営するGMOビューティー(株)(旧GMOくまポン(株))を子会社化した。
※「Affiliate Service Provider」の略で、成功報酬型広告を配信するサービス・プロバイダ。
1. 2023年12月期の業績概要
2023年12月期の連結業績は、売上高で前期比12.1%増の6,266百万円、営業利益で同72.0%増の533百万円と2ケタ増収増益となり、営業利益は過去最高を7期ぶりに更新した。メディア事業のうち、ゲームプラットフォーム事業が広告収入、課金収入ともに前期比2ケタ増と好調に推移したほか、教育関連事業(コエテコ)や美容医療関連事業(キレイパス)といった投資育成事業も順調に拡大し増収要因となった。とりわけ社会人向けプログラミングスクール等のポータルサイト「コエテコcampus」(アフィリエイト広告収益)については、政府のリスキリング支援策等を追い風に急成長した。利益面では、人材投資や開発投資が膨らんだものの、増収効果に加えて前期まで積極投下してきた販促費や広告宣伝費が合わせて約2.5億円減少したことなどが増益に寄与した。同社は2020年12月期からの5ヶ年計画において、既存事業の成長に加えて投資育成事業に積極投資し収益化することで、2024年12月期に営業利益510百万円を目標に掲げていたが、1年前倒しで達成したことになる。
2. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の業績は売上高で前期比10.1%増の6,900百万円、営業利益で同21.7%増の650百万円と2ケタ増収増益が続く見通し。売上高は引き続きゲームプラットフォーム事業や投資育成事業で2ケタ成長を見込んでいる。利益面では、増収効果に加えてAIの活用による業務効率向上によって、利益率の上昇を見込んでいる。投資育成事業のうち、教育関連事業では「コエテコドローン」や「コエテコキャリア」などプログラミング以外の領域にも対象を拡大することで高成長を目指す。また、美容医療関連事業ではチケット販売のさらなる拡大が見込めるほか、美容クリニック向け経営支援プラットフォーム「キレイパスコネクト」も機能拡充により契約件数が増え始めており、第4四半期にも月次べースで黒字化する見通しである。第1四半期業績については前年同期の水準が高かったこともあり成長率が一時的に鈍化する可能性があるが、通期計画については十分に達成可能な水準と弊社では見ている。
3. 成長戦略
今後の成長戦略として、既存の収益事業をベースに成長領域である教育・美容医療関連事業への投資の継続で売上成長を目指すとともに、ストック型ビジネスであるDX事業(SaaS事業)の育成を図り、収益の安定性を高める方針だ。また、ポイントサイトやゲームプラットフォームの運営で培ったノウハウを提携パートナーに横展開するソリューション事業の拡大にも取り組む。ポイントサイトの構築支援ツール「GMOリピータス」は従来、大手サイト運営事業者を顧客ターゲットとしてきたが、顧客層の拡大に向けて、2024年後半を目途に廉価版サービスをリリースする予定だ。これら成長戦略が順調に進めば、年率10%以上の持続的成長が可能になると弊社では見ており、業績は成長ステージが続く見通しだ。
■Key Points
・2023年12月期業績は2ケタ増収増益となり、7期ぶりに過去最高益を更新
・2024年12月期もゲームプラットフォーム事業と投資育成事業がけん引し2ケタ増収増益が続く見通し
・教育・美容医療領域でDX事業の育成に注力、シナジー創出による成長加速を狙う
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《HH》
提供:フィスコ