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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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9005 東急

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東京メトロ上場観測で脚光、発車ベル鳴り響く「鉄道設備投資」関連 <株探トップ特集>


―24年度中に上場か、設備投資前向きで鉄道建設や設備会社などにビジネスチャンス―

 1月28日の日本経済新聞朝刊で「東京地下鉄(東京メトロ)が株式上場に向けて動き出した。政府と東京都は2024年度中にも同社株の売却を始め、今夏以降の上場を目指す」と報じられた。東京メトロ(東京都台東区)の上場に関しては、22年5月に主幹事証券5社を選定したことで、「上場近し」と言われていたが、観測報道により期待値は上昇の一途をたどっている。上場となれば政府保有株の市場放出は16年のJR九州 <9142> [東証P]以来となり、時価総額は7000億円前後とも推定されている。久々の超大型IPOというだけでなく、上場により関連企業へのインパクトも大きなものになると予想されるだけに、今から注目しておきたい。

●東京メトロの輸送人員は全国私鉄トップ

 東京メトロは、東京都区部とその周辺の主に地下において、 鉄道事業及び附帯する事業を展開する鉄道事業者。帝都高速度交通営団(営団地下鉄)の民営化により04年に発足した東京地下鉄株式会社法に基づく特殊会社で、資本金は581億円。国が53.4%、東京都が46.6%の株式を所有している。

 現在は東京の地下鉄路線のうち、営団地下鉄から継承した8路線と、東京メトロ発足後に開業した副都心線1路線の計9路線を運営しており、総路線距離は195.0キロメートルに及ぶ。23年3月期の輸送人員は21億7191万人で、全国私鉄の中でも2位の東急 <9005> [東証P]の9億8888万人の2倍以上に当たるトップの輸送人員を誇る。

●完全民営化は既定路線

 東京メトロの完全民営化に関しては、東京地下鉄株式会社法の附則第2条に「できる限り速やかにこの法律の廃止、その保有する株式の売却その他の必要な措置を講ずるものとする」と定められており、国と都が株式を早期に売却し、完全民営化することは設立時点からの既定路線。また、11年12月に施行された「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(復興財源確保法)でも、東京メトロ株の売却益を復興財源に充当することが規定されており、売却期限は27年度までと決められている。

 なお、株式の売り出しに関しては主幹事証券が既に決まっており、財務省と東京都が22年5月、国内区分は野村証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の3社、海外区分はゴールドマン・サックス証券、BofA証券の2社に選定したと発表している。

●積極的な設備投資を計画

 鉄道事業はいうまでもなく多大なコストを要する事業だ。特に東京メトロは地下鉄ならではの他の私鉄以上にトンネルの保守・点検にかかる費用がかさむほか、老朽化した設備の更新も継続的に発生する。そのため東京メトロは2月8日、3月に発行総額100億円の同社初となる「グリーンボンド」を発行すると発表した。調達資金は新型車両の導入や車両の改造・更新、線路・トンネルの整備や改良・更新などに当てる予定で、設備投資に前向きな姿勢をみせている。

 また、東京メトロでは、有楽町線の豊洲~住吉間の延伸や南北線の品川~白金高輪間の延伸を計画しており、30年代半ばの開業を目指している。更に中期経営計画で、不動産事業の拡大や新技術の導入やDXによる鉄道オペレーションの進化などを重点戦略・施策に挙げており、上場をきっかけにこうした事業が加速する可能性も十分にある。いざ上場となれば、 鉄道設備投資に関連した銘柄への関心が高まりそうだ。

●鉄道建設関連企業に注目

 また、東京メトロ以外でもJR各社、大手私鉄とも設備投資計画を拡大させる方向にあり、これも鉄道設備投資関連企業へのビジネスチャンス拡大につながりそうだ。

 ビーアールホールディングス <1726> [東証P]は、鉄道の線路に使われる道床の一種である軌道スラブやコンクリート製枕木などを手掛けている。24年3月期第3四半期累計連結決算は営業利益15億6000万円(前年同期比94.3%増)と大幅増益となった。

 第一建設工業 <1799> [東証S]は、JR東日本 <9020> [東証P]系の建設会社で鉄道工事が主力。売上高の7割以上がJR東日本向けとなっている。24年3月期第3四半期累計単独決算は、営業利益28億100万円(前年同期比29.6%増)と3割近い増益となった。

 鉄建建設 <1815> [東証P]は、JR東日本系の建設会社。鉄道土木・鉄道建築が売上高の約4割を占めており、東京メトロ向け工事実績もある。24年3月期第3四半期累計連結決算で営業利益は9億6100万円(前年同期比33.4%減)となったが、10~12月期では同2.3倍となっており、足もと業績は好調だ。

 東鉄工業 <1835> [東証P]はJR東日本系の建設会社で、売上高の約7割をJR東日本向けが占める。線路メンテナンス工事の最大手であるほか、駅改良工事やホームドア設置工事などの実績も多い。24年3月期第3四半期累計連結決算は、営業利益67億6000万円(前年同期比31.4%増)と大幅増益となった。

 日本リーテック <1938> [東証P]はJR東日本系の電気設備工事会社で、鉄道電気設備大手。24年3月期第3四半期累計連結決算は営業利益が4億6100万円(前年同期8億6200万円の赤字)で、足もとで収益改善が進んでいることから通期業績予想を営業利益で29億6000万円から31億円(前期比15.3%増)へ上方修正している。

 日本電設工業 <1950> [東証P]はJR東日本系の鉄道電気工事会社最大手。売上高の約5割がJR東日本向けだが、他のJR各社や私鉄向け実績も多い。足もとでは採算性の良い大型工事の完成が増えたこともあり、24年3月期第3四半期累計営業利益は31億6300万円(前年同期比49.4倍)と大幅増益となった。

●鉄道関連設備を手掛ける企業にも

 設備面では日本信号 <6741> [東証P]、京三製作所 <6742> [東証P]、大同信号 <6743> [東証S]といった鉄道信号大手が有名だが、鉄道車両向け電気機器大手の森尾電機 <6647> [東証S]、鉄道車両のブレーキシステムやホームドアを展開するナブテスコ <6268> [東証P]、世界初の多能式自動券売機を開発した高見沢サイバネティックス <6424> [東証S]、さまざまな駅務自動システムを提供するオムロン <6645> [東証P]などにも注目したい。

 また、鉄道車両向けの主電動機や制御装置、保安装置などを販売し、24年3月期第3四半期累計営業利益が12億5000万円(前年同期1500万円の赤字)と黒字転換した八洲電機 <3153> [東証P]や、鉄道車両向けに戸閉機械装置などを販売し、24年3月期第3四半期累計連結決算で営業利益が1億5900万円(前年同期7600万円の赤字)と大幅黒字転換したヤシマキザイ <7677> [東証S]、鉄道会社向けに車両用電機品や受変電設備、情報通信機器などを販売し、24年3月期第3四半期累計営業利益が25億9800万円(前年同期比22.2%増)と大幅増益となったカナデン <8081> [東証P]などの商社も好業績の裏付けがあり注目。更に、鉄道運行管理システムなどを手掛ける日本プロセス <9651> [東証S]なども関連銘柄として挙げられよう。

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