明日の株式相場に向けて=AI&半導体関連バブルはまだ序章
3連休明けとなった13日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比1066円高の3万7963円と大幅高で3日続伸。前週に日経平均の上昇は別次元と考えておく必要があるという話をしたが、それにしても凄い上げ足で、まさに昇り竜の形容がふさわしい展開となっている。米国株市場の動向はもとより、欧州株市場をみても独DAXや仏CAC40が史上最高値を更新するなど、全体相場が青空圏を飛翔すること自体、世界を俯瞰しても違和感を覚える絵図ではなくなっている。
前週末9日時点で日経平均のPERは16.07倍だった。やや高めに買われているとはいっても、今回の四半期決算発表では3月決算期企業の業績予想の上方修正が結構な数に上っており、一株利益の上昇効果に伴い割高感は緩和される方向が読める。加えて25年3月期の企業業績が更に伸びるという見方が市場関係者の間では優勢で、来期の業績を織り込みに行く過程で3万8915円の史上最高値を更新しても、それは一つのメルクマールを通過したに過ぎないというコンセンサスが出来上がりつつある。海外マネーが最後のオアシスを前にして好機逸すべからずの思いで、ここぞと東京市場に上陸してきた。きょうのプライム市場での6兆円近い売買代金はそれを暗示している。
ただし、個別株を見る限り偏りが目立つのも事実。買われている株とそうではない株が入り交じっている。ひとことで言えば生成AIバブルだが、2000年のITバブルとは異なるとはいえ、AI向け半導体投資は仮需的に極大化している部分もありそうだ。「米オープンAIの資金調達に際しオイルマネーと交渉中のサム・アルトマンCEOが、AI向け半導体を製造するにあたって、その投資額として最大7兆ドル(約1050兆円)が必要という認識を持っていることが伝わり、マーケットが色めき立った」(ネット証券マーケットアナリスト)という。
例えばこれを聞いたグーグルやアマゾンはそれに負けない投資を行わなければ、戦いに勝利することはできないと考える。となれば、ITの巨人たちによって創出される 半導体関連特需は全部ひっくるめて数千兆円規模では到底収まらないことになる。今の時点でそれだけの投資が妥当なのかどうかを判断する材料はないが、仮に“行き過ぎた計画”であったとしても、当分の間、株式市場はAI真理教に洗脳された状態が続くはすだ。
きょうの東京市場では常に群を抜く売買代金をこなしてきたレーザーテック<6920>がソフトバンクグループ<9984>に首位を譲った。レーザーテクは今なお半導体関連の中心軸に位置し人気は佳境にあるといってよいが、AI関連の象徴であるソフトバンクGがそれを上回る売買代金をこなしたことは、投資資金の流れの変化を暗示する。シクリカル・グロースから純正グロース株への見直しムードが醸成されてきた感がある。東証グロース市場にも多く上場する日本の AI関連は、確かに米企業に比べればビジネスモデルの完成度で大差かもしれないが、時価総額はあまりに小さく、それだけ株高への伸びしろは大きい。
10日土曜日のトップ特集「グロース市場リベンジ爆騰の季節へ、輝き放つ超成長株予備軍7選」でエントリーされたグロース市場のAI関連株で、pluszero<5132>、メタリアル<6182>が値を飛ばしたが、これらは週足チャートで眺めることが肝要。まだ初動の域である。このほかではAI関連の好実態株としてARアドバンストテクノロジ<5578>、ティアンドエス<4055>などを挙げておきたい。また、プライム市場では、ユーザーローカル<3984>、ブレインパッド<3655>、フィックスターズ<3687>などに改めて着目してみたい。
あすのスケジュールでは、国内では特に目立ったイベントはないが、脱炭素を進めるために発行するクライメート・トランジョン国債の10年債の入札が午前中に予定されている。大引け後には1月の投信概況が開示される。海外では12月のユーロ圏鉱工業生産指数、1月の英消費者物価指数(CPI)のほか、インドネシア大統領選・議会選が行われる。国内主要企業の決算ではソニーグループ<6758>、オリンパス<7733>、日本郵政<6178>、第一生命ホールディングス<8750>、キリンホールディングス<2503>、SUMCO<3436>、楽天グループ<4755>などがある。なお、この日は中国、台湾、インドネシア、ベトナムの各市場は休場。(銀)
出所:MINKABU PRESS
前週末9日時点で日経平均のPERは16.07倍だった。やや高めに買われているとはいっても、今回の四半期決算発表では3月決算期企業の業績予想の上方修正が結構な数に上っており、一株利益の上昇効果に伴い割高感は緩和される方向が読める。加えて25年3月期の企業業績が更に伸びるという見方が市場関係者の間では優勢で、来期の業績を織り込みに行く過程で3万8915円の史上最高値を更新しても、それは一つのメルクマールを通過したに過ぎないというコンセンサスが出来上がりつつある。海外マネーが最後のオアシスを前にして好機逸すべからずの思いで、ここぞと東京市場に上陸してきた。きょうのプライム市場での6兆円近い売買代金はそれを暗示している。
ただし、個別株を見る限り偏りが目立つのも事実。買われている株とそうではない株が入り交じっている。ひとことで言えば生成AIバブルだが、2000年のITバブルとは異なるとはいえ、AI向け半導体投資は仮需的に極大化している部分もありそうだ。「米オープンAIの資金調達に際しオイルマネーと交渉中のサム・アルトマンCEOが、AI向け半導体を製造するにあたって、その投資額として最大7兆ドル(約1050兆円)が必要という認識を持っていることが伝わり、マーケットが色めき立った」(ネット証券マーケットアナリスト)という。
例えばこれを聞いたグーグルやアマゾンはそれに負けない投資を行わなければ、戦いに勝利することはできないと考える。となれば、ITの巨人たちによって創出される 半導体関連特需は全部ひっくるめて数千兆円規模では到底収まらないことになる。今の時点でそれだけの投資が妥当なのかどうかを判断する材料はないが、仮に“行き過ぎた計画”であったとしても、当分の間、株式市場はAI真理教に洗脳された状態が続くはすだ。
きょうの東京市場では常に群を抜く売買代金をこなしてきたレーザーテック<6920>がソフトバンクグループ<9984>に首位を譲った。レーザーテクは今なお半導体関連の中心軸に位置し人気は佳境にあるといってよいが、AI関連の象徴であるソフトバンクGがそれを上回る売買代金をこなしたことは、投資資金の流れの変化を暗示する。シクリカル・グロースから純正グロース株への見直しムードが醸成されてきた感がある。東証グロース市場にも多く上場する日本の AI関連は、確かに米企業に比べればビジネスモデルの完成度で大差かもしれないが、時価総額はあまりに小さく、それだけ株高への伸びしろは大きい。
10日土曜日のトップ特集「グロース市場リベンジ爆騰の季節へ、輝き放つ超成長株予備軍7選」でエントリーされたグロース市場のAI関連株で、pluszero<5132>、メタリアル<6182>が値を飛ばしたが、これらは週足チャートで眺めることが肝要。まだ初動の域である。このほかではAI関連の好実態株としてARアドバンストテクノロジ<5578>、ティアンドエス<4055>などを挙げておきたい。また、プライム市場では、ユーザーローカル<3984>、ブレインパッド<3655>、フィックスターズ<3687>などに改めて着目してみたい。
あすのスケジュールでは、国内では特に目立ったイベントはないが、脱炭素を進めるために発行するクライメート・トランジョン国債の10年債の入札が午前中に予定されている。大引け後には1月の投信概況が開示される。海外では12月のユーロ圏鉱工業生産指数、1月の英消費者物価指数(CPI)のほか、インドネシア大統領選・議会選が行われる。国内主要企業の決算ではソニーグループ<6758>、オリンパス<7733>、日本郵政<6178>、第一生命ホールディングス<8750>、キリンホールディングス<2503>、SUMCO<3436>、楽天グループ<4755>などがある。なお、この日は中国、台湾、インドネシア、ベトナムの各市場は休場。(銀)
出所:MINKABU PRESS