シンバイオ製薬---23年12月期は減収、90%を超す医療施設でRI投与への切り替え進む
シンバイオ製薬<4582>は8日、2023年12月期連結決算を発表した。売上高が前期比44.1%減の55.89億円、営業損失が8.11億円(前期は19.63億円の利益)、経常損失が7.36億円(同19.99億円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失が19.62億円(同11.79億円の利益)となった。
2022年度においては、トレアキシンR点滴静注液100mg/4mL[RTD(Ready-To-Dilute)製剤]の投与時間を10分間に短縮するRI(急速静注)投与について、2022年2月に承認事項一部変更承認(一変承認)を取得した。RTD製剤は、従来の凍結乾燥製剤(FD製剤)に比べて手動による煩雑な溶解作業に要する時間を短縮することができ、さらに、RI投与により投与時間が従来の60分から10分へと大幅に短縮されるため、患者及び医療従事者の負担を大幅に低減することが可能となる。また、輸液量も50mLと、従来の250mLから大幅に少なくなることから塩分量も軽減できる。RI投与については、2023年12月末時点において90%を超す医療施設で患者に投与が行われており、RI投与への切り替えが進んでいる。
2022年2月に同社製品トレアキシンRRTD製剤を先発医薬品とする後発医薬品の製造販売承認を4社が取得し、内2社が後発医薬品の販売を開始した。その後、両社がRI(急速静注)の承認を得て販売を開始したことを期して、当該製品のライセンス元であるイーグル社の持つ特許に対する侵害及び同社が同製品について有する独占的な特許実施権に対する侵害の可能性が生じたことから、ライセンス元であるイーグル社と協議し、2022年12月に、イーグル社と共同でファイザー及び東和薬品に対して特許権侵害に基づく後発医薬品の製造販売の差止及び損害賠償請求訴訟を提起した。両社に対する裁判は現在係属中であり、権利保全を目的として鋭意対応中である。
2024年12月期通期の業績予想については、売上高が前期比34.9%減の36.41億円、営業損失が28.37億円、経常損失が28.67億円、親会社に帰属する当期純損失が28.70億円としている。
《SO》
提供:フィスコ