ナック Research Memo(7):新商品・サービスの開発・提供に注力、2024年3月期は増収増益を見込む(1)
■今後の見通し
1. 2024年3月期の見通し
2024年3月期の業績は、売上高60,000百万円(前期比5.1%増)、営業利益3,500百万円(同8.3%増)、経常利益3,500百万円(同7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,200百万円(同9.9%増)を見込む。売上高は、レンタル事業において厚生労働省関連の感染症対策受託事業などが収束するため前期比11.9%減を見込むが、クリクラ事業は同1.8%増、建築コンサルティング事業は同33.3%増、住宅事業は同14.2%増、美容・健康事業は同17.2%増を見込み、事業全体では同5.1%増を計画している。通期計画に対する2四半期までの進捗率については、クリクラ事業は51.7%、レンタル事業は52.8%と標準進捗率を上回っているが、建築コンサルティング事業は29.3%、住宅事業は30.3%、美容・健康事業は40.8%と進捗に遅れが出ているため、事業全体では43.0%となっている。ナック<9788>においては、建築コンサルティング事業ではIT導入補助金対象商品が第3四半期以降に売上計上されること、住宅事業では例年第3四半期以降に売上増加が見込まれること、美容・健康事業でもスキンケアなどについては第3四半期以降に売上増加が見込まれることから、現時点での計画修正は想定していない。営業利益は、クリクラ事業が同16.6%減、レンタル事業が同22.0%減を見込むが、建築コンサルティング事業が同59.4%増、住宅事業が同431百万円増で黒字転換を、美容・健康事業は同68.1%増を見込み、事業全体では同8.3%増を計画している。通期計画に対する第2四半期までの進捗率は、クリクラ事業が67.4%、レンタル事業が50.4%と標準進捗率を超えているが、建築コンサルティング事業と住宅事業は損失を計上し、美容・健康事業も11.5%と進捗に遅れが出ているため、事業全体では17.4%となっている。前述のとおり、建築コンサルティング事業、住宅事業、美容・健康事業は第3四半期以降に売上高と利益が偏重する傾向があるため、同社では計画修正は想定していない。
2. セグメント別の見通し
(1) クリクラ事業
クリクラ事業の売上高は15,000百万円(前期比1.8%増)、営業利益は1,350百万円(同16.6%減)を見込む。浄水型ウォーターサーバーの需要が拡大し、顧客獲得競争が厳しさを増す環境下、顧客拡大のためショッピングモールなどでのイベント営業を中心とする販促活動の強化、新商品・新サービスの開発・提供を進める計画だ。具体的には、2023年7月に小型浄水サーバー「putio」をリリースした。他にも同年5月に(株)Secualが提供する簡易型ホームセキュリティサービス「Secual Home」の販売を開始している。同サービスは、設置工事不要で、利用者が自分で簡単に取り付けられることが特長で、月額980円(税込)から始められる。クリクラ事業だけではなく、レンタル事業においてもクロスセルを展開している。また、クリクラブランド全体での販売効率化を進めるため、システムインフラ「CrePF(クリクラプラットフォーム)」の加盟店への導入を推進している。同システム導入により、宅配水業務における営業管理、伝票、精算事務の効率化が可能となる。1日の一人当たりの作業時間が30分以上短縮できるなどの成果が報告されており、コスト削減効果が期待される。2024年3月期は、前期に実施したクリクラボトルの値上げ、事業全体の生産性の向上により計画達成の可能性は高いと弊社では考えている。
(2) レンタル事業
レンタル事業の売上高は16,500百万円(前期比11.9%減)、営業利益は1,600百万円(同22.0%減)を見込む。高齢化の進展のほか、共働き世帯やリモートワークの増加、感染症対策としての除菌意識の高まりを受けて、家事支援サービスや介護関連サービスの需要、市場規模の拡大が想定される。ダスキン事業においては、2018年8月より(株)ダスキンとの資本提携契約に基づきケアサービス部門、ヘルスレント部門のさらなる出店(事業数拡大)を進め、シニア市場におけるサービス網を拡充する計画を推進している。5年間で110のサービス拠点を増設し、今期より投資回収フェーズに入っている。ケアサービス部門では庭木の剪定、エアコンクリーニングなど、年間での定期的な利用が定着してきている。また、ヘルスレント部門でもサービスエリアの拡大に合わせて、一定のエリア内でのストックポイントの確保などを検討中だ。さらに、除菌意識の高まりを受けて空気清浄機やクリンネス商品の販売も強化している。ウィズ事業においては主要顧客である飲食店がインバウンド需要の追い風もあり、コロナ禍前の賑わいを取り戻しており順調に推移することが見込まれる。アーネストにおいては、厚生労働省関連の感染症対策などの受託事業の実績から各省庁とのパイプができ、他省庁からの受託事業の受注も開始しているが、減収は避けられない見通しだ。一方、施設・設備管理業務において、原状回復工事などの施工能力を持つキャンズとのシナジー効果が期待される。第2四半期までの事業全体の業績は堅調に推移しており、計画達成の可能性は高いと弊社では考えている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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提供:フィスコ