【杉村富生の短期相場観測】 ─引き続いてテック(半導体)が反騰相場を牽引!(訂正)
「引き続いてテック(半導体)が反騰相場を牽引!」
●主軸株は時価総額切り上げの動きが継続!
為替が1ドル=148円台の円安方向に振れている。日銀の金融政策の修正が能登半島地震に配慮し、先送りされた半面、アメリカでは予想される利下げの時期が後ズレ、回数が削減(当初は年内6回→3回に?)されてきた。まあ、揺り戻しとの見方ができる。
とはいえ、株式市場には好材料だ。トヨタ自動車 <7203> [東証P]が商いを伴って上昇している。18日の東京市場の売買代金ランキングで4位だった。ご存知、東京市場の時価総額トップ企業である。しかし、その時価総額は48.1兆円にすぎない。マイクロソフト<MSFT>、アップル<AAPL>は各430兆円を超えている。
テスラ<TSLA>だって、99.7兆円だ。トヨタ自動車は出遅れている? その通りだろう。円高傾向に加え、ダイハツ工業の不祥事があり買いづらかったが、ここにきて米国年金を中心とする外国人が買っている、という。アメリカの機関投資家は中国株での運用が制限されている。公的資金は禁止だ。その資金が日本株に向かっているのだろう。
ちなみに、時価総額上位企業は2位にソニーグループ <6758> [東証P]、3位にNTT <9432> [東証P]、4位に三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、5位にキーエンス <6861> [東証P]、6位に東京エレクトロン <8035> [東証P]が入っている。しかし、時価総額13兆~18兆円にとどまる。
アメリカ企業に比べると、スケール的に小さすぎる。ホンダ <7267> [東証P]は8.6兆円、ダイキン工業 <6367> [東証P]は7.1兆円、ルネサスエレクトロニクス <6723> [東証P]は5.6兆円、ディスコ <6146> [東証P]は4.4兆円だ。これではマグニフィセント・セブン(アメリカ企業の時価総額上位7社)に飲み込まれるぞッ。
●PBR1倍を目指す野村ホールディングス!
なにしろ、マグニフィセント・セブンの時価総額は1700兆円を超えている。日本の主軸企業は時価総額の切り上げが始まった、と思う。証券業界の“雄”とされる野村ホールディングス <8604> [東証P]の時価総額は2.3兆円にすぎない。PBRは0.67倍と1倍を割り込んでいる。長期的にはPBR1倍(1092円)を目指すことになろう。
アメリカ市場はエヌビディア<NVDA>、アップル、マイクロソフトなどハイテク(巨大IT企業)系が強い。半導体関連だ。日本ではフレンド・ショアリング(西側陣営だけでサプライチェーンを完成させる動き)を背景に、製造業の国内回帰→新工場(特に、半導体)の建設ラッシュが加速している。
マイクロソフトのWindows10のサポートは2025年に終了する。PCユーザーは期限前にアップグレードするだろう。インテル<INTC>はPC搭載用半導体、クアルコム<QCOM>はAI(人工知能)搭載のスマホチップを投入、AI市場(年率70%超の成長を見込む)の驚異的な成長を支える。
この分野(大規模言語モデル)の日本勢としてはNTT、NEC <6701> [東証P]、イビデン <4062> [東証P]などがある。さらに、半導体素材供給の巴川コーポレーション <3878> [東証S]、レゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]、デクセリアルズ <4980> [東証P]などが潤うだろう。
さらに、パワー半導体のローム <6963> [東証P]、車載用半導体の検査を手掛けるクオルテック <9165> [東証G]も注目される。半導体テスト工程の受託会社であるテラプローブ <6627> [東証S]は異彩高となっている。熊本に新工場を建設中だ。
なお、エヌビディアはGPU(画像処理半導体)、AIチップではシェア80%以上を有している。生産は台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>が担当、TSMC向けサプライヤーのレゾナック、イビデン、太陽ホールディングス <4626> [東証P]などはそのメリットを享受できる。エヌビディアの関連企業としてはさくらインターネット <3778> [東証P]、NTTデータグループ <9613> [東証P]がある。
2024年1月19日 記
株探ニュース