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指数に勝った「強い勝ち組」、その人たちが儲けた銘柄&損した銘柄はなに?
24年の日本株戦略はこれだ(データ分析編~その4)
■回答データの分析シリーズ ~ 第1弾
その1-「23年に含み損が最大の銘柄のトップは『ニ』で始まる、では含み益は?」を読む
その2-「上級者・億り人が今年に期待する銘柄のトップはアレと、アレのアレ!?」を読む
その3-「新NISAの成長枠、上級者と億り人の約80%が利用、では運用銘柄はなに」を読む
年明け早々から重たい空気に包まれた日本を、励ますような振る舞いを見せているのが足元の日本株市場だ。
1月15日時点で、日経平均株価は年初から6勝1敗、昨年末比で+7.3%。そしてTOPIX(東証株価指数)は7連勝と同6.7%になっている。
日経平均は2023年に+28%、TOPIXは+25%の上昇となったモメンタム(騰勢)が、今年も保ち続けるとするならば、その波に乗る投資家はどのような人なのか。
それを探ったのが、「株探」編集部が昨年11月下旬から12月上旬に実施したアンケート調査だ。その回答分析の第1弾は、昨年末から年明けにかけて3回に分けて紹介した(上記参照)。
今回からその第2弾を、3回に分けて掲載していく。比較するのは、昨年のリターンが回答時点で+30%以上と上の2指数をアウトパフォームした強い勝ち組さんと、同じくマイナスリターンとなってしまった残念組さんの2つのグループだ。
強い勝ち組さんは全回答者の3273人のうち12.1%の395人、残念組さんは同29.5%の964人になる。今回は、
・2つのグループの属性、
・23年の運用成績、
・投資対象の銘柄サイズ
・平均的な保有期間
・含み益ないし含み損が最大の銘柄(回答時点)
――などを見ていく。
以後、回答結果は原則2つのグループと全回答者(全体)の3つを掲載していく。なお、銘柄関連は2つのグループの結果のみの掲載としている。
強い勝ち組で最も多いのは「中級者」
まず、日本株の個別株の運用額を見ると、強い勝ち組さんは、「1000万~2000万円未満」が最も多く、次に「500万円~1000万円未満」、そして3番目が「5000万円~1億円未満」となっている。運用額が比較的大きい人たちの割合が高く、億り人も9%超の割合になっている。
一方の残念組さんは投資金額が500万円未満の人で約3分の2を占めている。
■日本株(個別)の運用額
注:回答は左から順に395、964、3273
投資の腕前の割合を見ると、残念組さんは想定通り「初級者」が最多だったのに対し、強い勝ち組さんは想定に反して「中級者」が最も多かった(下の表)。
■日本株(個別)投資のレベル
注:回答は左から順に395、964、3273
投資の腕前の定義は、下の表の通り。上級者は投資の知識を獲得済みで、投資スタイルを確立し、満足のいく成果を上げている。
中級者は、知識も投資スタイルも持っているが、満足のいく成果を上げておらず、初級者は知識を身につけたが、投資法は確立途上の状況になっている。
■投資の腕前の定義
強い勝ち組さんは、「バリュー」「大型」「超長期」の割合がトップ
中級者でも、強い勝ち組さんの仲間入りをしたポイントはどこにあるのか?
その理由の一端を示すのが、以下のメーンとする投資戦略、主な投資対象のサイズ(時価総額)、そして保有期間3つだ。
強い勝ち組さんは、「バリュー」派の割合が半数近くになり(下の表)、狙うサイズは「大型株」が最多で、次に中型株となっている(下の下の表)。
■日本株のメーンとする投資戦略
注:回答は左から順に395、964、3273
■日本株の主な投資対象(サイズ)
注:回答は左から順に616、1405、4893。回答は2つまで。割合は回答人数ベース
そして保有期間は3年以上の「超長期」が最多、次に「長期」で、いずれも30%台後半の割合を占めている(下の表)。
■日本株の主な保有期間
注:回答は左から順に594、1421、4788。回答は2つまで。割合は回答人数ベース
これに対して、残念組さんは「グロース」派が最多で、サイズの上位は「中型株」「小型株」の順、そして保有期間は「中長期」「中短期」の順となっており、両者は対称的な状況となっている。
TOPIXのスタイル別指数を見ても、昨年は「大型バリュー」が優位な展開だった(下の図)。その風をうまく受けたスタイルを取ったのが強い勝ち組さん。その風が吹かないところで勝負したのが負け組さん。そのことが回答結果から浮き彫りになった。
■TOPIXのスタイル別指数の23年のパフォーマンス
出所:QUICK・ファクトセット
なお、銘柄サイズと保有期間の定義は以下の通りとなっている。
■銘柄サイズと区分の定義
指数の2倍以上アウトパフォームする人は限られている
強い勝ち組さんと負け組さんの23年の勝敗とプラスおよびマイナスのリターンの分布は以下の通りとなっている。
日経平均やTOPIXをアウトパフォームした強い勝ち組さんのパフォーマンスで最多は、「30%~50%未満」で、70%近い割合となっている(下の下の表)。
同じ表の右端に示している全回答者(全体)の場合、「30%~50%未満」は4位で、その割合は11.9%にとどまっている。この状況から、指数をアウトパフォームするのは、容易でないことがうかがえる。そのことは、先に見たように、強い勝ち組さんのパフォーマンス分布が示している。
「30%~50%未満」が70%近い割合というのは、アウトパフォームの水準が「+20%ポイント」程度が全体の3分の2ほどを占めていることになる。つまり、指数の2倍以上のパフォーマンスを1年で上げられる人はごく限られることを回答結果は示している。
■2023年の日本株(個別)の運用成績
注:回答は左から順に395、964、3273
■2023年のプラスのリターン率
注:回答は左から順に395、0、2238
■2023年のマイナスのリターン率
注:回答は左から順に0、964、964
以下は、各グループの年齢、性別、職業の属性を見たものだ。両者の傾向はほぼ同じだが、残念組さんは、女性の割合がやや多いことが数少ない相違点となっている。
■年齢構成
注:回答は左から順に395、964、3273
■性別
注:回答は左から順に395、964、3273
■メーンとする職業
注:回答は左から順に395、964、3273
含み益と含み損が最大の銘柄のランキングは
最後に、強い勝ち組さんと残念組さんの昨年の含み益および含み損が最大となった銘柄を見ていく(調査回答時点)。
まず残念組さんの含み益で最大となった銘柄を見ていくと、トップは日本たばこ産業<2914>とトヨタ自動車<7203>と大型バリュー株が並んだ。
特徴的なのは、居酒屋チェーンの海帆<3133>が5位に入っていることだ。
■残念組さんが挙げた含み益(左)と含み損が最大の銘柄ランキング(原則30位以内)
注:回答は左から826、894
同社は16年3月期から23年3月期まで8期連続の減益ないし営業赤字で、24年3月期も赤字見通しだ。
■『株探プレミアム』で確認できる海帆の通期業績の成長性推移
23年3月期から増収基調となり、これを評価するように株価も22年末から上昇基調に転じ、足元の週足チャートは短期・中期・長期の移動平均線が共に上向くパーフェクトオーダーとなっている(下のチャート)。
分析シリーズの第1弾で示した全回答者の結果(参照記事)でも、業績不安が払拭されていない海帆株の含み益が最大という人の割合は18番目に多い。
とはいえ、残念組さんの場合は、5番目に多いというのは、その銘柄選びに改善点がある一端を示しているといえる。
■海帆の週足チャート(2019年12月~)
含み損については、ソシオネクスト<6526>、Abalance<3856>のグロース株が上位にきている。
なお、強い勝ち組さんの含み損益の銘柄については、次ページの株探プレミアム会員専用ページで閲覧可能となっている。
次回は今年(2024)の日本株市場の見通しと攻め方、キャピタルゲインやインカムゲインの期待値が高い銘柄ランキングを紹介する。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
...
真弓重孝、高山英聖(株探編集部)
■回答データの分析シリーズ ~ 第1弾
その1-「23年に含み損が最大の銘柄のトップは『ニ』で始まる、では含み益は?」を読む
その2-「上級者・億り人が今年に期待する銘柄のトップはアレと、アレのアレ!?」を読む
その3-「新NISAの成長枠、上級者と億り人の約80%が利用、では運用銘柄はなに」を読む
年明け早々から重たい空気に包まれた日本を、励ますような振る舞いを見せているのが足元の日本株市場だ。
1月15日時点で、日経平均株価は年初から6勝1敗、昨年末比で+7.3%。そしてTOPIX(東証株価指数)は7連勝と同6.7%になっている。
日経平均は2023年に+28%、TOPIXは+25%の上昇となったモメンタム(騰勢)が、今年も保ち続けるとするならば、その波に乗る投資家はどのような人なのか。
それを探ったのが、「株探」編集部が昨年11月下旬から12月上旬に実施したアンケート調査だ。その回答分析の第1弾は、昨年末から年明けにかけて3回に分けて紹介した(上記参照)。
今回からその第2弾を、3回に分けて掲載していく。比較するのは、昨年のリターンが回答時点で+30%以上と上の2指数をアウトパフォームした強い勝ち組さんと、同じくマイナスリターンとなってしまった残念組さんの2つのグループだ。
強い勝ち組さんは全回答者の3273人のうち12.1%の395人、残念組さんは同29.5%の964人になる。今回は、
・2つのグループの属性、
・23年の運用成績、
・投資対象の銘柄サイズ
・平均的な保有期間
・含み益ないし含み損が最大の銘柄(回答時点)
――などを見ていく。
以後、回答結果は原則2つのグループと全回答者(全体)の3つを掲載していく。なお、銘柄関連は2つのグループの結果のみの掲載としている。
強い勝ち組で最も多いのは「中級者」
まず、日本株の個別株の運用額を見ると、強い勝ち組さんは、「1000万~2000万円未満」が最も多く、次に「500万円~1000万円未満」、そして3番目が「5000万円~1億円未満」となっている。運用額が比較的大きい人たちの割合が高く、億り人も9%超の割合になっている。
一方の残念組さんは投資金額が500万円未満の人で約3分の2を占めている。
■日本株(個別)の運用額
順位 | 強い勝ち組 | 割合 | 残念組 | 割合 | 全体 | 割合 |
1位 | 1000万円~2000万円未満 | 17.2% | 100万円~300万円未満 | 25.9% | 100万円~300万円未満 | 18.8% |
2位 | 500万円~1000万円未満 | 13.9% | 100万円未満 | 22.3% | 500万円~1000万円未満 | 17.2% |
3位 | 5000万円~1億円未満 | 13.4% | 300万円~500万円未満 | 16.1% | 1000万円~2000万円未満 | 14.8% |
4位 | 3000万円~5000万円未満 | 12.4% | 500万円~1000万円未満 | 15.8% | 300万円~500万円未満 | 14.1% |
5位 | 2000万円~3000万円未満 | 11.6% | 1000万円~2000万円未満 | 10.9% | 100万円未満 | 13.4% |
6位 | 300万円~500万円未満 | 10.6% | 2000万円~3000万円未満 | 4.6% | 2000万円~3000万円未満 | 6.8% |
7位 | 1億円~3億円未満 | 6.3% | 3000万円~5000万円未満 | 2.1% | 3000万円~5000万円未満 | 6.6% |
8位 | 100万円未満 | 6.1% | 5000万円~1億円未満 | 1.3% | 5000万円~1億円未満 | 5.0% |
9位 | 100万円~300万円未満 | 6.1% | 不明 | 0.8% | 1億円~3億円未満 | 2.2% |
10位 | 10億円以上 | 0.8% | 1億円~3億円未満 | 0.1% | 不明 | 0.6% |
11位 | 3億円~5億円未満 | 0.5% | 5億円~10億円未満 | 0.1% | 3億円~5億円未満 | 0.2% |
12位 | 5億円~10億円未満 | 0.5% | 3億円~5億円未満 | ―― | 10億円以上 | 0.2% |
13位 | 不明 | 0.5% | 10億円以上 | ―― | 5億円~10億円未満 | 0.1% |
投資の腕前の割合を見ると、残念組さんは想定通り「初級者」が最多だったのに対し、強い勝ち組さんは想定に反して「中級者」が最も多かった(下の表)。
■日本株(個別)投資のレベル
順位 | 強い勝ち組 | 割合 | 残念組 | 割合 | 全体 | 割合 |
1位 | 中級者 | 34.4% | 初級者 | 38.6% | 初級者 | 36.6% |
2位 | 上級者 | 28.1% | 中級者 | 32.4% | 中級者 | 32.1% |
3位 | 初級者 | 23.5% | 初心者 | 24.7% | 初心者 | 17.2% |
4位 | 不明 | 5.8% | 不明 | 2.7% | 上級者 | 8.8% |
5位 | 初心者 | 5.6% | 上記以外 | 1.0% | 不明 | 3.8% |
6位 | 上記以外 | 2.5% | 上級者 | 0.6% | 上記以外 | 1.4% |
投資の腕前の定義は、下の表の通り。上級者は投資の知識を獲得済みで、投資スタイルを確立し、満足のいく成果を上げている。
中級者は、知識も投資スタイルも持っているが、満足のいく成果を上げておらず、初級者は知識を身につけたが、投資法は確立途上の状況になっている。
■投資の腕前の定義
レベル | 知識 | 投資法 | 成果 |
初心者 | △ | × | ―― |
初級者 | ○ | △ | ―― |
中級者 | ○ | ○ | △ |
上級者 | ○ | ○ | ○ |
強い勝ち組さんは、「バリュー」「大型」「超長期」の割合がトップ
中級者でも、強い勝ち組さんの仲間入りをしたポイントはどこにあるのか?
その理由の一端を示すのが、以下のメーンとする投資戦略、主な投資対象のサイズ(時価総額)、そして保有期間3つだ。
強い勝ち組さんは、「バリュー」派の割合が半数近くになり(下の表)、狙うサイズは「大型株」が最多で、次に中型株となっている(下の下の表)。
■日本株のメーンとする投資戦略
順位 | 強い勝ち組 | 割合 | 残念組 | 割合 | 全体 | 割合 |
1位 | バリュー | 44.1% | グロース | 33.4% | バリュー | 31.9% |
2位 | グロース | 26.3% | バリュー | 20.5% | グロース | 26.6% |
3位 | 不定 | 8.4% | テクニカル・需給 | 18.6% | 不定 | 13.5% |
4位 | テクニカル・需給 | 7.6% | 不定 | 13.7% | テクニカル・需給 | 13.2% |
5位 | テーマ | 4.6% | テーマ | 4.9% | 株主優待狙い | 6.3% |
6位 | その他 | 3.8% | 株主優待狙い | 4.0% | テーマ | 3.9% |
7位 | 株主優待狙い | 3.0% | イベント | 1.7% | その他 | 2.3% |
8位 | イベント | 1.8% | その他 | 1.5% | イベント | 1.2% |
9位 | オプション・先物 | 0.5% | オプション・先物 | 0.9% | オプション・先物 | 0.6% |
10位 | 不明 | ―― | 不明 | 0.8% | 不明 | 0.5% |
■日本株の主な投資対象(サイズ)
順位 | 強い勝ち組 | 割合 | 残念組 | 割合 | 全体 | 割合 |
1位 | 大型株 | 32.7% | 中型株 | 33.3% | 大型株 | 28.5% |
2位 | 中型株 | 27.6% | 小型株 | 32.2% | 不定 | 28.0% |
3位 | 超大型株 | 25.1% | 不定 | 25.1% | 中型株 | 27.1% |
4位 | 不定 | 22.8% | 中大型株 | 20.1% | 小型株 | 22.7% |
5位 | 中大型株 | 21.5% | 大型株 | 18.9% | 中大型株 | 21.8% |
6位 | 小型株 | 21.5% | 超大型株 | 7.5% | 超大型株 | 15.9% |
7位 | 超小型株 | 4.8% | 超小型株 | 7.5% | 超小型株 | 4.6% |
8位 | 不明 | ―― | 不明 | 1.2% | 不明 | 0.9% |
そして保有期間は3年以上の「超長期」が最多、次に「長期」で、いずれも30%台後半の割合を占めている(下の表)。
■日本株の主な保有期間
順位 | 強い勝ち組 | 割合 | 残念組 | 割合 | 全体 | 割合 |
1位 | 超長期 | 37.7% | 中長期 | 28.3% | 長期 | 29.3% |
2位 | 長期 | 35.2% | 中短期 | 23.8% | 中長期 | 28.7% |
3位 | 中長期 | 25.1% | 長期 | 22.2% | 超長期 | 23.6% |
4位 | 中期 | 17.7% | 中期 | 21.6% | 中期 | 17.8% |
5位 | 中短期 | 14.9% | 短期 | 20.2% | 中短期 | 16.7% |
6位 | 短期 | 8.6% | 超長期 | 12.3% | 短期 | 12.7% |
7位 | 不定 | 7.6% | 不定 | 10.3% | 不定 | 12.7% |
8位 | 超短期 | 3.5% | 超短期 | 8.5% | 超短期 | 4.6% |
9位 | 不明 | ―― | 不明 | 0.2% | 不明 | 0.2% |
これに対して、残念組さんは「グロース」派が最多で、サイズの上位は「中型株」「小型株」の順、そして保有期間は「中長期」「中短期」の順となっており、両者は対称的な状況となっている。
TOPIXのスタイル別指数を見ても、昨年は「大型バリュー」が優位な展開だった(下の図)。その風をうまく受けたスタイルを取ったのが強い勝ち組さん。その風が吹かないところで勝負したのが負け組さん。そのことが回答結果から浮き彫りになった。
■TOPIXのスタイル別指数の23年のパフォーマンス
出所:QUICK・ファクトセット
なお、銘柄サイズと保有期間の定義は以下の通りとなっている。
■銘柄サイズと区分の定義
サイズ | 時価総額 | 区分 | 期間 |
超大型株 | 1兆円以上 | 超長期 | 3年以上 |
大型株 | 3000億円~1兆円未満 | 長期 | 1年以上~3年未満 |
中大型株 | 1000億円~3000億円未満 | 中長期 | 3カ月以上~1年未満 |
中型株 | 300億円~1000億円未満 | 中期 | 1カ月以上~3カ月未満 |
小型株 | 100億円~300億円未満 | 中短期 | 1週間以上~1カ月未満 |
超小型株 | 100億円未満 | 短期 | 1日以上~1週間未満 |
超短期 | 1日未満 |
指数の2倍以上アウトパフォームする人は限られている
強い勝ち組さんと負け組さんの23年の勝敗とプラスおよびマイナスのリターンの分布は以下の通りとなっている。
日経平均やTOPIXをアウトパフォームした強い勝ち組さんのパフォーマンスで最多は、「30%~50%未満」で、70%近い割合となっている(下の下の表)。
同じ表の右端に示している全回答者(全体)の場合、「30%~50%未満」は4位で、その割合は11.9%にとどまっている。この状況から、指数をアウトパフォームするのは、容易でないことがうかがえる。そのことは、先に見たように、強い勝ち組さんのパフォーマンス分布が示している。
「30%~50%未満」が70%近い割合というのは、アウトパフォームの水準が「+20%ポイント」程度が全体の3分の2ほどを占めていることになる。つまり、指数の2倍以上のパフォーマンスを1年で上げられる人はごく限られることを回答結果は示している。
■2023年の日本株(個別)の運用成績
順位 | 強い勝ち組 | 割合 | 残念組 | 割合 | 全体 | 割合 |
1位 | 利益・含み益 | 100.0% | 損失・含み損 | 100.0% | 利益・含み益 | 68.4% |
2位 | 損失・含み損 | 29.5% | ||||
3位 | 不明 | 2.2% |
■2023年のプラスのリターン率
順位 | 強い勝ち組 | 割合 | 残念組 | 割合 | 全体 | 割合 |
1位 | 30%~50%未満 | 67.3% | 5%未満 | ―― | 10%~30%未満 | 43.3% |
2位 | 50%~80%未満 | 17.0% | 5%~10%未満 | ―― | 5%~10%未満 | 24.0% |
3位 | 80%~100%未満 | 8.1% | 10%~30%未満 | ―― | 5%未満 | 12.5% |
4位 | 2倍~5倍未満 | 6.3% | 30%~50%未満 | ―― | 30%~50%未満 | 11.9% |
5位 | 5倍~10倍未満 | 1.0% | 50%~80%未満 | ―― | 50%~80%未満 | 3.0% |
6位 | 10倍~20倍未満 | 0.3% | 80%~100%未満 | ―― | 不明 | 2.5% |
7位 | 2倍~5倍未満 | ―― | 80%~100%未満 | 1.4% | ||
8位 | 5倍~10倍未満 | ―― | 2倍~5倍未満 | 1.1% | ||
9位 | 10倍~20倍未満 | ―― | 5倍~10倍未満 | 0.2% | ||
10位 | 20倍以上 | ―― | 10倍~20倍未満 | 0.0% | ||
11位 | 不明 | ―― | 20倍以上 | 0.0% |
■2023年のマイナスのリターン率
順位 | 強い勝ち組 | 割合 | 残念組 | 割合 | 全体 | 割合 |
1位 | ▲5%未満 | ―― | ▲10%~▲30%未満 | 32.2% | ▲10%~▲30%未満 | 32.2% |
2位 | ▲5%~▲10%未満 | ―― | ▲5%~▲10%未満 | 27.9% | ▲5%~▲10%未満 | 27.9% |
3位 | ▲10%~▲30%未満 | ―― | ▲5%未満 | 17.6% | ▲5%未満 | 17.6% |
4位 | ▲30%~▲50%未満 | ―― | ▲30%~▲50%未満 | 11.5% | ▲30%~▲50%未満 | 11.5% |
5位 | ▲50%~▲80%未満 | ―― | ▲50%~▲80%未満 | 4.1% | ▲50%~▲80%未満 | 4.1% |
6位 | ▲80%~▲100% | ―― | 不明 | 3.6% | 不明 | 3.6% |
7位 | 元本を超える減少 | ―― | 元本を超える減少 | 2.1% | 元本を超える減少 | 2.1% |
8位 | 不明 | ―― | ▲80%~▲100% | 0.9% | ▲80%~▲100% | 0.9% |
以下は、各グループの年齢、性別、職業の属性を見たものだ。両者の傾向はほぼ同じだが、残念組さんは、女性の割合がやや多いことが数少ない相違点となっている。
■年齢構成
順位 | 強い勝ち組 | 割合 | 残念組 | 割合 | 全体 | 割合 |
1位 | 50代 | 28.1% | 60代 | 25.7% | 50代 | 26.4% |
2位 | 60代 | 22.8% | 50代 | 24.2% | 60代 | 26.2% |
3位 | 40代 | 17.7% | 40代 | 19.2% | 40代 | 18.8% |
4位 | 70代以上 | 15.7% | 70代以上 | 17.9% | 70代以上 | 16.7% |
5位 | 30代 | 12.2% | 30代 | 10.0% | 30代 | 9.3% |
6位 | 20代 | 3.0% | 20代 | 2.8% | 20代 | 2.5% |
7位 | 10代 | 0.5% | 10代 | 0.2% | 10代 | 0.2% |
■性別
順位 | 強い勝ち組 | 割合 | 残念組 | 割合 | 全体 | 割合 |
1位 | 男性 | 91.6% | 男性 | 86.0% | 男性 | 87.0% |
2位 | 女性 | 7.8% | 女性 | 13.7% | 女性 | 12.7% |
3位 | その他 | 0.5% | その他 | 0.3% | その他 | 0.3% |
■メーンとする職業
順位 | 強い勝ち組 | 割合 | 残念組 | 割合 | 全体 | 割合 |
1位 | 会社員等 | 42.3% | 会社員等 | 41.9% | 会社員等 | 41.4% |
2位 | 定年退職後 | 18.5% | 定年退職後 | 21.6% | 定年退職後 | 22.5% |
3位 | 自営業 | 10.4% | 自営業 | 12.1% | 自営業 | 10.9% |
4位 | 会社役員等 | 9.4% | パート・派遣社員等 | 7.4% | パート・派遣社員等 | 6.5% |
5位 | 専業投資家 | 6.3% | 会社役員等 | 5.8% | 会社役員等 | 5.8% |
6位 | パート・派遣社員等 | 3.5% | 専業主婦・主夫 | 4.0% | 専業主婦・主夫 | 3.7% |
7位 | 専業主婦・主夫 | 2.8% | 専門職 | 2.6% | 専門職 | 2.8% |
8位 | 専門職 | 2.3% | その他 | 1.9% | 専業投資家 | 2.4% |
9位 | その他 | 2.3% | 専業投資家 | 1.8% | その他 | 2.0% |
10位 | 求職中 | 1.3% | 学生 | 0.5% | 求職中 | 1.1% |
11位 | 学生 | 1.0% | 求職中 | 0.4% | 学生 | 0.7% |
含み益と含み損が最大の銘柄のランキングは
最後に、強い勝ち組さんと残念組さんの昨年の含み益および含み損が最大となった銘柄を見ていく(調査回答時点)。
まず残念組さんの含み益で最大となった銘柄を見ていくと、トップは日本たばこ産業<2914>とトヨタ自動車<7203>と大型バリュー株が並んだ。
特徴的なのは、居酒屋チェーンの海帆<3133>が5位に入っていることだ。
■残念組さんが挙げた含み益(左)と含み損が最大の銘柄ランキング(原則30位以内)
含み益 | 含み損 | ||
順位 | 銘柄名<コード> | 順位 | 銘柄名<コード> |
1位 | JT<2914> | 1位 | ソシオネクス<6526> |
1位 | トヨタ<7203> | 2位 | Aバランス<3856> |
3位 | レーザーテク<6920> | 2位 | ニデック<6594> |
3位 | 三菱UFJ<8306> | 4位 | エムスリー<2413> |
5位 | 海帆<3133> | 5位 | レーザーテク<6920> |
6位 | NTT<9432> | 6位 | 円谷フィHD<2767> |
7位 | ソシオネクス<6526> | 7位 | QDレーザ<6613> |
8位 | ルネサス<6723> | 7位 | WSCOPE<6619> |
8位 | 三菱HCキャ<8593> | 9位 | Eインフィニ<7692> |
10位 | 信越化<4063> | 9位 | マイクロアド<9553> |
10位 | カバー<5253> | 11位 | ギグワークス<2375> |
10位 | 任天堂<7974> | 11位 | SBG<9984> |
10位 | 東エレク<8035> | 13位 | フロンテオ<2158> |
10位 | イオン<8267> | 13位 | アンジェス<4563> |
10位 | みずほFG<8411> | 13位 | サイバー<4751> |
10位 | オリックス<8591> | 13位 | モンラボ<5255> |
17位 | 住石HD<1514> | 13位 | トヨタ<7203> |
17位 | INPEX<1605> | 13位 | マイクロ波<9227> |
17位 | 野村マイクロ<6254> | 19位 | アステラス<4503> |
17位 | 丸紅<8002> | 19位 | 楽天グループ<4755> |
17位 | 郵船<9101> | 19位 | 神戸鋼<5406> |
17位 | 商船三井<9104> | 19位 | ABEJA<5574> |
23位 | ENEOS<5020> | 19位 | ダイキン<6367> |
23位 | 三菱重<7011> | 19位 | 東エレク<8035> |
23位 | 三菱商<8058> | 19位 | 三菱UFJ<8306> |
23位 | 三井住友FG<8316> | ||
27位 | トリドール<3397> | ||
27位 | 霞ヶ関C<3498> | ||
27位 | メルカリ<4385> | ||
27位 | 日本製鉄<5401> | ||
27位 | KDDI<9433> |
同社は16年3月期から23年3月期まで8期連続の減益ないし営業赤字で、24年3月期も赤字見通しだ。
■『株探プレミアム』で確認できる海帆の通期業績の成長性推移
23年3月期から増収基調となり、これを評価するように株価も22年末から上昇基調に転じ、足元の週足チャートは短期・中期・長期の移動平均線が共に上向くパーフェクトオーダーとなっている(下のチャート)。
分析シリーズの第1弾で示した全回答者の結果(参照記事)でも、業績不安が払拭されていない海帆株の含み益が最大という人の割合は18番目に多い。
とはいえ、残念組さんの場合は、5番目に多いというのは、その銘柄選びに改善点がある一端を示しているといえる。
■海帆の週足チャート(2019年12月~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
含み損については、ソシオネクスト<6526>、Abalance<3856>のグロース株が上位にきている。
なお、強い勝ち組さんの含み損益の銘柄については、次ページの株探プレミアム会員専用ページで閲覧可能となっている。
次回は今年(2024)の日本株市場の見通しと攻め方、キャピタルゲインやインカムゲインの期待値が高い銘柄ランキングを紹介する。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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