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9553 マイクロアド

東証G
444円
前日比
-26
-5.53%
PTS
442円
20:42 06/14
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
21.6 3.57 6.54
時価総額 122億円
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マイクロアド Research Memo(1):2023年9月期も増収増益、「UNIVERSE」好調で営業利益急伸


■要約

マイクロアド<9553>はデータとテクノロジーの力を活用し、顧客が抱えるマーケティング課題の解決に貢献している企業である。具体的には同社のデータプラットフォーム「UNIVERSE」を通じて外部企業とメディアが保有する大量のデータをリアルタイムで分析している。データから多種多様な特性を持つ消費者の購買行動を分析したうえで、データから導出した知見を広告主向けプロダクト「UNIVERSE Ads」を通じて顧客企業に提供している。また、Webメディアにおける総合的な収益化支援を目的としたプロダクト「MicroAd COMPASS」、デジタルサイネージによる広告配信やコンテンツ配信の一元管理を可能にする「MONOLITHS」なども提供している。海外子会社においてはデジタルマーケティングの総合的なコンサルティングサービスも手掛けている。

1. 2023年9月期の業績概要
2023年9月期の連結業績は、売却子会社分を控除した売上高が前期比11.2%増の12,868百万円、営業利益が同32.9%増の833百万円、経常利益が同24.6%増の738百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同13.9%増の565百万円と増収増益だった。収益性の高い自社開発プロダクトの事業拡大に注力するという方針のもと、主力サービスの1つである「UNIVERSE」の業績が引き続き好調に推移したことが業績の拡大に寄与した。特に高収益プロダクトである「UNIVERSE」が好調だったことを受けて、営業利益の成長率は売上高を上回る伸びを見せた。これにより、営業利益率も前期比プラス1.4ポイントの6.5%まで高まっている。また、コンサルティングサービスのメディア向けコンサルティングも前期比で増収増益と好調だった。

同社は提供するサービスを「データプロダクト」と「コンサルティング」の2種類に分類し、「コンサルティング」の事業規模を維持しつつも、自社開発で収益性の高い「データプロダクト」に注力していく方針を打ち出している。こうした戦略のもと、2023年9月期に関してもしっかりと利益を積み上げ、収益性を高めた。

2. 2024年9月期の業績見通し
2024年9月期の業績見通しに関して同社は、売上高で前期比15.3%増の14,837百万円、営業利益で同10.9%減の742百万円、経常利益で同0.1%増の739百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同0.3%増の566百万円を見込んでいる。売上高に関しては、主力サービスである「UNIVERSE」の業績が引き続き好調に推移することに加えて、デジタルサイネージサービスにおいて美容サロン専用タブレットメディアの「OCTAVE」を新たに市場投入することなどにより、2023年9月期の伸びを上回るトップラインの成長率を見込んでいる。一方で、利益面に関しては、デジタルサイネージを提供する(株)MADSでの新サービスへの先行投資や2023年9月期に発生したタクシーサイネージの契約更改などを受け、営業利益が前期比で減益となることを見込んでいる。前述のデジタルサイネージを提供するMADSの業績全体を除いた場合、営業利益は前期比23.0%増、経常利益で同42.4%増、親会社株主に帰属する当期純利益で同28.2%増を見込んでおり、同社単体での事業自体は好調に推移する見通しだ。特に、主力サービスである「UNIVERSE」に関しては引き続き好調な推移を見込んでおり、PostCookieにいち早く対応することにより、下半期にかけて同サービスの業績拡大が加速していくことを想定している。

3. 中長期の成長戦略
中長期の成長戦略として同社は「アドテクノロジーの企業から、総合データカンパニーへ」というスローガンのもとに、データ活用を軸とした成長戦略を描いている。具体的には「データプロダクトの拡大」「2024年のCookie規制への対応」「新領域へのデータ活用」という3つの基本戦略により、業績の拡大と企業価値の向上を目指す。「データプロダクトの拡大」に関しては、自社開発プロダクトであり収穫逓増・高収益が見込める「データプロダクト」に注力する。販売体制の強化と新製品の投入を継続的に実施することによって「UNIVERSE」の稼働アカウント数を増やしていくほか、人材への投資によって付加価値の高い製品を継続的に生み出すことができる質の高い人材プールを構築する方針だ。「2024年のCookie規制への対応」に関しては、2024年末にGoogleが提供するブラウザにおいて、3rd Party Cookieのサポートが停止されることを受け、いち早く対応することによって先行者利益を獲得していく。さらに、最終的には広告サービスという枠にとどまらず、保有している膨大なデータや分析技術を活用し、新領域へ参入することを積極的に模索している。2022年8月には、機関投資家や金融機関が投資判断に活用できるオルタナティブデータの提供を開始し、2023年1月からオルタナティブデータを活用した自己資金での株式投資を開始したほか、2023年1月と4月にはインバウンド関連の新規サービス、2023年2月と5月には越境EC関連の新規サービスを開始するなど、着実に実績を積み上げている。

中長期の成長戦略のもと、利益率の高いデータプロダクトに注力すること、同社の強みを生かせる新プロダクトを開発していくことによって、業績の拡大と収益性の向上が期待される。

■Key Points
・2023年9月期も増収増益
・主力サービスの「UNIVERSE」が好調だったことを受け、営業利益急伸
・2024年9月期は増収も先行投資による減益を想定
先行投資の発生するMADSを除き増収増益の見通し
・中長期の成長戦略のもとで業績の拡大と企業価値の向上を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《SO》

 提供:フィスコ

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