TDCソフト Research Memo(2):新たな潮流に対応した次世代型SI事業を推進
■会社概要
1. 会社概要
TDCソフト<4687>は、金融業界のITソリューションに強みを持つ、独立系システムインテグレーターである。銀行、クレジット、保険などの金融ITソリューション分野が売上の5割弱を占めており、製造業や流通、公共向けの公共法人ITソリューション分野が3割弱を占める。残りをITコンサルティング&サービス分野とプラットフォームソリューション分野が占めている。市場の潜在ニーズを捉え、デジタル技術の新たな潮流に対応した次世代型SI事業を推進するなか、顧客のDX推進に対する最新の要素技術を活用した「高付加価値SIサービスの追求」などにより、ITコンサルティング&サービス分野が急成長している。
2016年に生保業向けシステム開発に強みのある(株)マイソフト(現 TDCフューテック(株))を子会社化し、2019年にはセキュアで高速・大容量なIoTプラットフォームを提供する(株)LTE-X(現 (株)closip)と、ローカル5G分野でのサービス提供に向けた資本・業務提携を締結した。2020年2月にはSAPシステムのコンサルティング及びシステム開発に強みを持つエールビジネスコンサルティング(株)を子会社化し、事業領域を拡大した。2021年5月にはリックソフト(株)と、ビジネスアジリティの分野で世界をリードするフレームワーク「SAFe(R)(Scaled Agile Framework(R):スケールド・アジャイル・フレームワーク)」に関連したビジネス展開において、業務提携契約に向けて基本合意した。同社が提供するSAFe(R)の導入支援サービスとリックソフトが販売する製品を組み合わせ、アジャイル開発ビジネスにおいて新たなサービスを提供する。2021年8月には(株)インターネット総合研究所(IRI)とサイバーセキュリティ分野においてアライアンス契約を締結しており、新しいビジネスモデルを含めたサービスの開発を進めている。
また、パッケージソフトウェアも販売しており、クラウド型のシステム開発ツール「Trustpro(トラストプロ)」や、ストレスチェック支援ソリューション「M-Check+」、クラウド型ワークフローシステム「Styleflow」、LTE over IP技術を活用したクラウド型セキュアアクセスサービス「Tegata」などの自社製品のほか、ServiceNow社の「ServiceNow」、NTTアドバンステクノロジ(株)の「WinActor(R)」など、他社ソフトも導入している。PMP(R)(プロジェクトマネジメントに関する知識や理解度を測ることを目的とした、米国非営利団体PMIが認定する資格試験)取得を社員に推奨しており、プロジェクトマネジメント能力における信頼性が強みである。
2. 沿革
同社は1962年にデータエントリー事業を営む会社として創業した。1967年にソフトウェア開発を、1977年に販売用ソフトウェアの開発・販売を始めた。その後も一貫してシステム開発に取り組み、技術力を磨き上げ、2001年に東京証券取引所(以下、東証)第2部に、2002年には東証第1部に上場するなど、徐々に組織・事業を拡大してきた。また、組織力の強化にも力を入れており、2016年にはCMMI(R)※成熟度のレベル3を、2018年にはレベル4を達成した。なお、中小企業の生産性を高めるためのITツールを提供しているITベンダーとして、2019年4月17日に経済産業省より「認定情報処理支援機関(スマートSMEサポーター)」に認定されている。他にも、2020年2月にはScaled Agile, Inc.のパートナー制度において、日本国内2社目となるGold Partnerの認定を受けた。これは、Scaled Agile, Inc.が指定するコンサルティング力・技術知識などの条件を満たした認定者が5名以上在籍し、効果的に導入顧客をサポートできる企業のみが取得可能な上位のパートナーステータスである。2021年2月には、経済産業省の「DX認定制度」において、情報サービス産業界で初めて認定を取得した。そして2022年4月、東証の市場区分再編に伴いプライム市場に移行し、同年10月に創業60周年を迎えた。
※CMMI(R):能力成熟度モデル統合(Capability Maturity Model Integration)。組織がプロセス改善を行う能力を評価する手法もしくは指標のこと。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
《HH》
提供:フィスコ