後場に注目すべき3つのポイント~ファーストリテの下げが影響も一段安は回避
29日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
・日経平均は続落、ファーストリテの下げが影響も一段安は回避
・ドル・円は伸び悩み、ドル買い一巡後は失速
・値下り寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位はファナック<6954>
■日経平均は続落、ファーストリテの下げが影響も一段安は回避
日経平均は続落。前日比69.25円安(-0.21%)の33470.37円(出来高概算5億4000万株)で前場の取引を終えている。
28日のダウ平均は53.58ドル高(+0.14%)の37710.10ドル、S&P500は1.77ポイント高(+0.04%)の4783.35ポイント、ナスダックは4.04ポイント安(-0.03%)の15095.14ポイントで取引を終了した。来年の早期利下げを期待した買いが続き、寄り付き後は上昇。ソフトランディング期待を受けた買いも目立ち終日、堅調に推移した。しかし、過去最高水準での利食い売りが相場の上値を抑制。また、長期金利が上昇したためハイテクは終盤にかけて下落に転じ、まちまちで終了した。
為替市場の円高進行が一服したことなどを受けて、寄付き後の日経平均は33600円台まで買われたが、米国市場がまちまちだったことなどから失速。指数インパクトが大きいファーストリテ<9983>が、下げ幅をじりじりと広げたことなどが影響して、日経平均も前日比マイナス圏での推移となった。ただ、トヨタ自<7203>など輸出関連銘柄がしっかりした動きを見せていることから、一段安は回避された。
日経平均採用銘柄では、ファーストリテのほか、ファナック<6954>、東エレク<8035>など指数インパクトが大きい銘柄の下げが目立ったほか、出光興産<5019>、住友ファーマ<4506>、ニトリHD<9843>もさえない。一方、楽天グループ<4755>が、楽天モバイルの契約数が600万回線を突破と発表したことから3日続伸したほか、個人投資家を中心とした買い観測などを背景に、任天堂<7974>が16年ぶりに上場来高値を更新。また、SOMPOホールディングス<8630>、DIC<4631>も買われた。
セクターでは、鉱業、海運業、石油・石炭製品、小売業、精密機器などが下落した一方、その他製品、保険業、輸送用機器、パルプ・紙、その他金融業などが上昇した。
後場の日経平均は、大納会で参加者が限られていることなどから方向感の乏しい展開となろう。為替市場では1ドル141円台半ばとドルの円高進行が止まっていることは安心材料である。物色対象として、任天堂の上場来高値更新を受けて、他のゲーム関連にも思惑が波及するか注目したい。個人投資家を中心とした相場付きとなっていることから、短期的な値幅取りの売買が多くなりそうだが、材料銘柄への関心も高めておきたいところ。
■ドル・円は伸び悩み、ドル買い一巡後は失速
29日午前の東京市場でドル・円は伸び悩み、141円25銭から141円66銭まで値を切り上げた後に失速した。仲値にかけて国内勢によるドルの買いが優勢となったが、その後は一巡。前日海外市場で弱含んだ欧州やオセアニアの主要通貨に買戻しが強まった。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は141円25銭から141円66銭、ユーロ・円は156円28銭から156円94銭、ユーロ・ドルは1.1062ドルから1.1084ドル。
■後場のチェック銘柄
・麻生フオームクリート<1730>、岡山製紙<3892>など、5銘柄がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます
・値下り寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位はファナック<6954>
■経済指標・要人発言
【経済指標】
・米・11月卸売在庫速報値:前月比-0.2%(予想:-0.2%、10月:-0.3%←-0.4%)
・米・先週分新規失業保険申請件数:21.8万件(予想:21.0万件、前回:20.6万件←20.5万件)
・米・失業保険継続受給者数:187.5万人(予想:187.5万人、前回:186.1万人←186.5万人)
・米・11月前渡商品貿易収支:-903億ドル(予想-889億ドル、10月―896億ドル←―898億ドル)
【要人発言】
・ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「欧州中央銀行(ECB)、利下げについて今考えるのは時期尚早」
「ECBが2024年に利下げする保証はない」
<国内>
・大納会
<海外>
特になし
《CS》
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